【現役コンビニオーナーが考察】ファミマ3店舗運営会社が負債4900万円で破産|「もう少し頑張れば」が経営を危険にする【156話】

ファミマ3店舗運営会社の破産を題材に、損益分岐点と人件費上昇、撤退ラインの重要性を考えるコンビニオーナー コンビニ経営

正直、このニュースを見てびっくりしました。

ファミリーマートのFC店舗を3店舗運営していた会社が、約4,900万円の負債を抱えて破産したというニュースです。

どのような経営をしていたのか、詳しい内容までは分かりません。

そのため、この会社の経営方法や撤退のタイミングについて、外から評価することはできません。

ただ、現役コンビニオーナーとして、このニュースを見て一番気になったことがあります。

それは、

「なぜ、もっと早く会社をたたむという判断ができなかったのだろうか?」

ということです。

もちろん、実際には私たちには分からない事情があったはずです。

今回の会社は2023年5月までに事業を停止し、その後、2026年8月に破産手続き開始決定となっています。

だからこそ、事業を停止するまでに、どのような経営判断があったのかを考えてしまいます。

3店舗を経営していても破産する

一般的に考えれば、1店舗より3店舗を経営した方がリスクを分散できます。

1店舗の売上が落ちても、他の店舗でカバーできる可能性があるからです。

これは複数店舗経営の大きなメリットだと思います。

しかし、別の見方もできます。

3店舗すべてが同じチェーンであれば、チェーン全体に共通する問題が発生したとき、3店舗すべてが影響を受ける可能性があります。

つまり、

店舗数を増やすことと、本当の意味でリスクを分散することは同じではありません。

同じチェーンでも売上には大きな差がある

コンビニは、同じチェーンでも店舗によって売上に大きな差があります。

立地。

商圏。

競合店。

客層。

周辺施設。

人の流れ。

これらによって店舗の経営環境は大きく変わります。

同じファミリーマートだからといって、すべての店舗が同じように利益を出せるわけではありません。

だから、

「チェーン全体の売上が安定しているから、自分の店も大丈夫」

とは限りません。

本部の業績と、自分が経営する店舗の利益は分けて考える必要があります。

時期を考えれば、コロナの影響も考えられる

今回の会社は2019年に設立されています。

その翌年の2020年から、新型コロナウイルスの感染拡大が始まりました。

コンビニは生活に必要な店舗として営業を続けましたが、すべての店舗が同じように売上を維持できたわけではありません。

オフィス街や観光地など、人の流れに左右される店舗では、コロナ禍による人流減少が売上に影響した可能性があります。

もちろん、今回の会社が運営していた店舗にコロナがどの程度影響したのかは分かりません。

破産原因として公表されている情報だけで、コロナが原因だったと断定することもできません。

ただ、

2019年に設立
↓
2020年からコロナ禍
↓
2023年5月に事業停止

という時系列を見ると、コロナ禍による売上低迷も経営環境を悪化させた要因の一つだった可能性は考えておく必要があると思います。

そして、コロナが落ち着いてくると、今度は別の問題が出てきます。

売上が同じでも利益は減っていく

コンビニ経営で怖いのは、売上が減ることだけではありません。

売上が同じでも、利益が減ることがあります。

最低賃金の上昇。

アルバイト・パートの時給上昇。

社会保険への対応。

採用コスト。

水道光熱費などの経費。

こうしたコストが少しずつ積み重なります。

例えば人件費が毎年5%上昇すれば、単純計算で5年後には約27.6%の上昇です。

売上が同じだからといって、利益まで同じとは限りません。

24時間営業には「最低限必要な人員」がある

コンビニ経営で特に難しいのが人件費です。

コンビニは基本的に24時間営業を前提としたビジネスモデルです。

すでに最低限の人員で店舗を運営しているのであれば、

「人件費が上がったから、さらに人を減らす」

ということは簡単にはできません。

1人減らせば、残ったスタッフの負担が増えます。

欠勤が出れば、オーナーが穴を埋めることになります。

つまり、

人件費は上がるのに、人員は簡単には削れない。

ここにコンビニ経営の厳しさがあります。

赤字が続くと、経営者は必死になる

赤字になったからといって、すぐに諦める経営者はいないと思います。

まずは売上を上げようとします。

新商品を増やす。

販売方法を工夫する。

キャンペーンを行う。

接客を見直す。

同時に経費も削ろうとします。

人員配置を見直す。

無駄な経費を削る。

仕入れを調整する。

さまざまな改善策を試します。

それでも効果が出ない。

ここからが怖いところです。

「もう少し頑張れば何とかなる」

赤字が続くと、

「来月は売上が戻るかもしれない」

「新しい商品が当たるかもしれない」

「競合店の影響も一時的かもしれない」

「来年になれば状況が変わるかもしれない」

そんな期待を持ってしまいます。

もちろん、本当に状況が改善することもあります。

だからこそ、撤退の判断は難しい。

しかし、改善策を試しても効果が出ない状態が続くと、経営者自身が疲れてしまいます。

そして、

「もう少し様子を見よう」

となってしまう。

そのまま時間だけが過ぎていく。

借入金があれば、返済と利息が発生します。

赤字が続けば、手元資金も減っていきます。

そして気がついたときには、

負債だけが大きくなっている。

私はここが、経営で一番怖いところではないかと思います。

だからこそ「損益分岐点」を把握する

コンビニ経営で重要なのは、売上だけではありません。

「自分の店はいくら売れば利益が出るのか」

これを把握しておく必要があります。

さらに重要なのは、

最低賃金が上昇した場合、損益分岐点がどう変化するのか

まで考えておくことです。

現在は利益が出ていても、人件費が上昇することで損益分岐点が上がり、数年後には利益がほとんど残らなくなる可能性があります。

だから私は、

現在の損益分岐点だけではなく、将来の人件費上昇を考慮した損益分岐点も把握しておく必要がある

と思っています。

「撤退ライン」を決めておく

経営では、

「どうすれば売上を増やせるか」

を考えることも大切です。

しかし、それと同じくらい、

「どこまでなら事業を続けられるのか」

を考えておくことも重要です。

例えば、

利益が一定水準を下回ったら見直す。

人件費が上昇しても利益を確保できるのか確認する。

オーナー自身の労働時間まで考えて利益が残っているかを見る。

改善策を試しても将来的な改善が見込めないのであれば、撤退を検討する。

こうした基準を事前に持っておくことが大切だと思います。

撤退は負けではありません。

これ以上損失を広げないための経営判断です。

約4,900万円の負債を見て考えたこと

今回報じられた負債は約4,900万円です。

もちろん、負債の中身や財務状況について詳細な情報が分かっているわけではありません。

私が最初に感じたのは、

「これだけの負債を抱える前に、何か手を打てなかったのだろうか」

という疑問でした。

もし金融機関からの借入が含まれていたのであれば、金融機関も返済可能性などを考えたうえで融資していたはずです。

それでも最終的に破産まで至る。

そう考えると、

経営というものは、それほど先を読むことが難しいものなのだ

と感じます。

そして今回の破産は、あくまでFC加盟店を運営していた法人の破産です。

ファミリーマート本体が破産したわけではありません。

本部の業績が安定していても、個々の加盟店が経営的に厳しくなることはあります。

だからこそ、最後は自分の店の数字を見る必要があります。

「卵を一つのカゴに盛るな」

投資の世界には、

「卵を一つのカゴに盛るな」

という有名な格言があります。

これは経営にも当てはまるのではないでしょうか。

1店舗から3店舗に増やせば、1店舗の不振を他の店舗でカバーできる可能性があります。

しかし、3店舗すべてが同じチェーンであれば、完全な分散とは言えません。

さらに、自分の収入のほとんどをコンビニ事業に依存していれば、店舗数が増えても事業への依存度は高いままです。

だからこそ、

店舗数を増やすことと、本当の意味でリスクを分散することは違う。

私はそう考えています。

コンビニ経営には「攻め」と「守り」が必要

店舗を増やす。

売上を増やす。

利益を増やす。

これは経営における「攻め」です。

一方で、

損益分岐点を把握する。

最低賃金上昇の影響をシミュレーションする。

借入金を管理する。

撤退ラインを決めておく。

コンビニ事業以外の収入や資産を持つ。

これは「守り」です。

これからのコンビニ経営では、

攻めるだけではなく、守ることも重要になる。

今回のニュースを見て、私は改めてそう感じました。

まとめ

今回のファミリーマートFC運営会社の破産ニュースを見て、正直驚きました。

どのような経営をしていたのか、詳しい内容までは分かりません。

だから、この会社の経営判断を外から批判するつもりはありません。

ただ、現役コンビニオーナーとして、他人事ではないと感じています。

同じチェーンでも、店舗によって売上には大きな差があります。

そして、売上が安定していても、人件費や社会保険などのコストが上昇すれば利益は減っていきます。

さらに24時間営業を前提とするコンビニでは、すでに最低限の人員で運営していれば、人件費上昇に対してさらに人を減らすという逃げ道もありません。

だからこそ、

自店の損益分岐点を把握する。

最低賃金が上昇したとき、損益分岐点がどう変化するのかを把握する。

そして、

「ここを超えたら撤退する」という基準を持っておく。

赤字を黒字に戻す努力は必要です。

しかし、努力しても改善できないのであれば、

撤退することも経営判断です。

「何とかなるだろう」ではなく、

「数字を見て判断する」。

それが、これからのコンビニ経営ではますます重要になるのではないでしょうか。

経営者に必要なのは、頑張って事業を続けることだけではありません。

事業を続けるべきか、改善するべきか、それとも撤退するべきかを判断することも、経営者の大切な仕事です。

今回のニュースを見て、改めてそう感じました。

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