セブンイレブンの最低保証2,000万円は何のため?日販35万円で24時間営業をSEMC検証【第181話】

セブンイレブンの最低保証2,000万円を日販35万円・24時間営業の条件でSEMC検証するイメージ画像 コンビニ経営

コンビニ経営を考えるとき、

「最低収入保証があるから安心」

という言葉を耳にすることがあります。

確かに、一定額の収入が保証されることには意味があります。

しかし、ここで一度考えてみたいことがあります。

その「最低保証」は、いったい何を保証しているのでしょうか?

今回は、私が作成しているSEMCを使って、24時間営業のCタイプ店舗を日販35万円でシミュレーションしました。

すると、最低保証の数字だけでは見えてこない、店舗経営の実態が見えてきました。


セブン-イレブンの最低保証とは?

まず、最低保証について整理します。

最低保証は、オーナーの最終利益を一定額保証するものではありません。

保証されるのは、

オーナー総収入

です。

大まかに言えば、

商品売上
↓
売上総利益(GP)
↓
7-11チャージ
↓
オーナー総収入

というところまでです。

ここからさらに店舗運営に必要な費用を負担します。

  • スタッフの人件費
  • 廃棄
  • 消耗品費
  • 水道光熱費
  • 清掃費
  • 修繕費
  • その他経費

などです。

したがって、

最低保証2,000万円=オーナーが2,000万円儲かる

という意味ではありません。


最低保証2,000万円は日販35万円程度に相当

では、SEMCで実際に計算してみます。

今回の設定は、

  • Cタイプ
  • 24時間営業
  • 1号店
  • 加盟5年未満
  • 地域C
  • 月30日営業
  • 平均日販35万円
  • GP率31.8%

です。

この場合、

商品売上高

1,050万円/月

売上総利益(GP)

333.9万円/月

7-11チャージ

166.37万円/月

オーナー総収入

167.53万円/月

年間では、

約2,010万円

になります。

つまり今回の条件では、

最低保証約2,000万円と、日販35万円の店舗から得られるオーナー総収入がほぼ同じ水準

になりました。

もちろん、これは「最低保証=日販35万円を保証する」という意味ではありません。

あくまで、今回のSEMCの条件で計算すると、最低保証額と日販35万円の店舗のオーナー総収入がほぼ同じになるということです。


日販35万円の24時間営業店舗に必要な人件費

今回のSEMCでは、店舗に必要な労働時間を33時間/日として設定しています。

そして、

  • オーナー:171時間/月
  • 奥様:171時間/月
  • PA:約151時間/月

という勤務時間になっています。

オーナー夫妻の合計は、

342時間/月

です。

一方、PAは、

約22時間/日

です。

つまり今回の条件では、

24時間営業の店舗を維持するために、オーナー夫妻がフルタイムで働き、残りをPAが担当する

という構造になります。


PAの人件費は月約84万円

今回のSEMCでは、PAの給与を、

約83.96万円/月

としています。

これを差し引くと、

項目月額
商品売上高1,050万円
売上総利益333.9万円
7-11チャージ▲166.37万円
オーナー総収入167.53万円
雑収入加算後収入172.53万円
PA給与▲83.96万円
廃棄▲26.25万円
その他経費▲18.50万円
最終利益約41.8万円

となります。

一見すると、

月約41.8万円の利益

が残っています。

しかし、ここで注意しなければならないことがあります。


SEMCの人件費には含まれていない雇用コストがある

今回のSEMCで計算している約84万円は、基本的にPAの給与をベースにした人件費です。

実際の店舗では、スタッフを雇用するために給与以外の負担も発生します。

例えば、

  • 社会保険料の事業主負担
  • 労働保険料
  • 有給休暇取得時の賃金
  • その他の雇用関連コスト

などです。

つまり、

PA給与83.96万円=店舗が負担する人件費のすべて

ではありません。

今回のSEMCでは、これらの費用を別途加算していません。

したがって、

最終利益41.8万円は、すべての雇用関連コストを含めた実際の利益ではありません。

ここはシミュレーションを見るうえで重要な注意点です。


オーナー夫妻の労働も「無料」ではない

さらに考えなければならないのが、

オーナー夫妻自身の労働

です。

今回の設定では、

オーナー171時間+奥様171時間=342時間/月

働いています。

平均時給を約1,297円として、この労働時間を単純に評価すると、

342時間 × 1,297円
= 約44.3万円

になります。

一方、SEMC上の最終利益は、

約41.8万円

です。

単純比較すると、

41.8万円 − 44.3万円
= 約▲2.5万円

となります。

これは、オーナー夫妻の労働をPAと同じように人件費として評価した場合の管理会計上の試算です。

つまり今回の条件では、

オーナー夫妻の労働を最低賃金相当で評価すると、店舗利益はほぼ残らない

という結果になります。


PAを増やせばオーナーの労働時間は減らせる

もちろん、

「オーナー夫妻がそんなに働く必要があるなら、PAを増やせばいい」

という考え方もあります。

これはその通りです。

しかし、PAを増やせば、

PAの給与が増える

ことになります。

さらに実際には、

  • 社会保険料の事業主負担
  • 労働保険料
  • 有給休暇
  • 採用コスト
  • 教育コスト

など、雇用に伴うコストも考える必要があります。

つまり、

オーナー夫妻の労働を減らすほど、店舗側の人件費負担が増える

という関係があります。


日販35万円では「最低保証」と「利益」は別問題

今回のシミュレーションから見えてくるのは、

最低保証があることと、店舗が十分な利益を出せることは別問題

ということです。

今回、

最低保証約2,000万円

と、

日販35万円の店舗のオーナー総収入

がほぼ同じ水準になりました。

しかし、その店舗を24時間営業で維持するためには、

オーナー夫妻がフルタイムで働く

という条件になっています。

そして、その労働を最低賃金相当で評価すると、利益はほぼ残りません。

さらに、PAの給与以外に発生する雇用関連コストを考慮すれば、実質的な利益はさらに小さくなる可能性があります。


では、最低保証は何のためにあるのか?

ここで最初の疑問に戻ります。

最低保証は、何のための制度なのでしょうか?

最低保証には、低日販店舗でも一定水準のオーナー総収入を確保し、事業を継続できるようにするという意味があります。

売上が低ければ、通常はオーナー総収入も低くなります。

そこで一定額を保証する。

これは加盟店にとって一つの安全網になります。

ただし、

安全網と利益保証は同じではありません。

最低保証があっても、人件費や廃棄、その他の経費が増えれば、最終的な利益は変わります。


最低保証2,000万円だけでは店舗経営の実態は分からない

「年間2,000万円保証」

という数字だけを見ると、大きな金額に感じます。

しかし今回のSEMCでは、

最低保証約2,000万円

↓

日販35万円程度の店舗のオーナー総収入

↓

オーナー夫妻342時間/月

↓

PA約22時間/日

↓

24時間営業を維持

という構造になりました。

さらに、PAの給与以外に発生する雇用関連コストや、オーナー夫妻自身の労働を考えると、見た目の利益とは違った景色が見えてきます。


本当に見るべきなのは「最低保証額」ではない

コンビニ経営を考えるとき、

「最低保証はいくらなのか?」

だけを見るのではなく、

「その保証額を得るために、オーナー夫妻はどれだけ働くのか?」

まで見る必要があります。

さらに、

  • 日販
  • GP率
  • 7-11チャージ
  • PA給与
  • 社会保険料
  • 労働保険料
  • 有給休暇
  • 廃棄
  • その他経費
  • オーナー夫妻の労働時間
  • PAの必要時間

まで含めて考える必要があります。


最低保証とは、何を守るための制度なのか?

最低保証そのものに意味がないわけではありません。

低日販店舗でも一定水準のオーナー総収入を確保し、事業を継続するための安全網という意味はあります。

ただ、

最低保証2,000万円=オーナーが2,000万円儲かる

という意味ではありません。

今回のSEMCでは、

最低保証約2,000万円
=日販35万円程度の店舗のオーナー総収入に相当

しました。

そして、その店舗を24時間営業で維持するには、今回の条件ではオーナー夫妻がフルタイムで働き、PAは約22時間/日という設定になりました。

さらに、スタッフの給与だけではなく、社会保険料や労働保険料、有給休暇などの雇用関連コストも考える必要があります。

だからこそ、最低保証を見るときには、

「年間いくら保証されるのか?」

だけではなく、

「その保証額を得るために、オーナーはどれだけ働き、最終的にどれだけの利益と時間が残るのか?」

を見る必要があるのではないでしょうか。

保証額だけでは見えない「労働」と「実質的な収益性」まで見る。

それが、コンビニ経営を考えるうえで重要なのだと思います。

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