インフレ時代のコンビニ経営|売上前年比100%では利益が減る理由【第43話】

現場で考えるのは「次の10年」のこと 数値管理

こんにちは、コンビニ大家です。

日本は長い間、「金利のない世界」が続いてきました。

しかし現在は、金利が少しずつ上昇し、「金利のある世界」へ戻りつつあります。

私は、金利が上がること自体を悲観していません。

それ以上に重要なのは、

経営者自身がデフレ時代の考え方から、インフレ時代の考え方へ頭を切り替えることだと思っています。

私は10年以上コンビニを経営してきました。

その中で強く感じるのは、これからの経営者は「数字の見方」が今まで以上に重要になるということです。


デフレ時代の成功体験では本質を見誤る

日本は約30年間、デフレ経済が続きました。

物価はほとんど上がらず、金利も低い状態が当たり前でした。

そのため、

「前年と同じ売上なら十分」

「前年対比100%なら現状維持」

という考え方でも、大きな問題はありませんでした。

しかし現在は違います。

物価は上昇し、

最低賃金も毎年上昇し、

社会保険料や物流費、光熱費も増え続けています。

つまり、

会社を維持するためのコストそのものが毎年増えているのです。


売上100%でも実質的には後退しているかもしれない

例えば、

年間のインフレ率が3%だったとします。

前年売上

1億円。

今年売上

1億円。

数字だけを見ると、

前年100%です。

一見すると、

「現状維持」

に見えます。

しかし、

物価が3%上昇しているということは、

実質的には会社の成長が物価に追いついていないとも考えられます。

さらに、

人件費。

仕入価格。

電気代。

水道光熱費。

消耗品費。

社会保険料。

これらは前年より増えています。

つまり、

売上100%でも利益は確実に圧迫される可能性があるのです。


私の店舗で考えてみる

私は以前の記事で、

最低賃金が50円上昇した場合のシミュレーションを紹介しました。

その結果、

年間利益は約72万円減少しました。

利益を維持するためには、

平均日販を65万円から67万5千円まで引き上げる必要がある

という結果になりました。

これは、

約3.8%の売上成長になります。

つまり、

利益を増やすためではありません。

利益を維持するためだけに約3.8%の成長が必要ということです。


最低賃金は毎年4〜5%上昇している

近年、日本の最低賃金は毎年約4〜5%のペースで上昇しています。

さらに、

  • 光熱費
  • 物流費
  • 消耗品費
  • 修繕費
  • 保険料

なども物価上昇とともに増えています。

つまり、

経営コスト全体が毎年上昇しています。

例えば、

インフレ率が3%。

最低賃金が5%。

その他経費も2〜3%上昇するとします。

前年売上100%では、

会社全体では実質的に後退している可能性があります。


インフレ率3%なら売上も3%伸びてようやく現状維持

私は、

経営者は名目売上だけを見るべきではないと思っています。

例えば、

インフレ率が3%なら、

売上も3%伸びて、

ようやく前年と同じ価値になります。

さらに、

最低賃金が約5%上昇していることを考えると、

利益を維持するには、

売上3%アップだけでは足りないケースも多くなります。

つまり、

本当に見るべき数字は、

前年対比100%ではなく、

インフレ率を上回る成長ができているかどうかです。


セブン‐イレブンの平均日販を見ると

セブン‐イレブン・ジャパンのIR資料では、

全店平均日販は

年度平均日販
2023年度69.1万円
2024年度69.2万円
2025年度69.9万円

となっています。

数字だけを見ると、

平均日販は伸びています。

しかし、

この期間も最低賃金や物価は上昇しています。

つまり、

売上が増えているように見えても、

利益が同じように増えているとは限りません。

だから私は、

売上より利益。

さらに、

利益より生産性。

この順番で数字を見るようにしています。


本部とオーナーでは見る数字が違う

私は本部社員と話をする機会があります。

もちろん、

本部には優秀な方がたくさんいます。

しかし、

立場が違えば、

重視する数字も違います。

本部は、

チェーン全体。

売上。

シェア。

店舗数。

ブランド価値。

加盟店全体を見ています。

一方、

オーナーは、

利益。

キャッシュフロー。

借入返済。

人件費。

自店の数字を守らなければなりません。

どちらが正しいという話ではありません。

役割が違うだけです。

だから私は、

本部の提案を参考にしながらも、

最後は必ず自分で数字を確認します。

「売上は増えるか。」

ではありません。

「利益は残るか。」

これが私の判断基準です。


私が毎日確認している数字

私が毎日確認している数字は、

たくさんあるようで、

実は三つだけです。

  • 利益
  • 予算達成率
  • 実質的な成長

売上だけを見ても、

会社の本当の姿は分かりません。

利益があるから、

設備投資ができます。

社員へ還元できます。

新しい挑戦もできます。

利益とは、

会社の未来を選ぶ力だと私は思っています。


まとめ

デフレ時代は、

前年100%でも評価できる時代でした。

しかし、

インフレ時代は違います。

物価が3%上昇しているなら、

売上も3%程度伸びて、

ようやく現状維持です。

さらに、

最低賃金は毎年約4〜5%上昇し、

その他の経費も増え続けています。

だから私は、

インフレ率を下回る成長は、本当の成長ではないと考えています。

名目上は売上が伸びていても、

実質的には会社の体力が少しずつ失われている可能性があるからです。

私は10年以上コンビニを経営してきて、一つ確信しています。

売上はお客様が決めるもの。

利益は経営者が残すもの。

そしてこれからの時代は、

「実質的に成長しているか」を見極めることが、経営者に最も求められる力だと考えています。

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