人口減少時代に、売上は増え続けるのか?|損益分岐点を下げる「強い店舗」の作り方【第151話】

人口減少時代のコンビニ経営で人件費上昇に対応し損益分岐点を下げる店舗改革 コンビニ経営

人口減少時代に、コンビニの売上はこれからも増え続けるのでしょうか。

私は、これからのコンビニ経営を考える上で、ここを一度立ち止まって考える必要があると思っています。

人口が減少すれば、働く人が減ります。

コンビニにとっては、人手不足という大きな問題になります。

しかし、人口減少がもたらす問題は、それだけではありません。

お客様も減少します。

つまり人口減少は、

「スタッフを確保する問題」

と同時に、

「売上を確保する問題」

でもあります。

その一方で、最低賃金や人件費は上昇していく。

これからのコンビニは、

売上が伸びにくくなる可能性がある一方で、コストは上昇する

という環境に対応しなければなりません。


  1. 人口減少はスタッフとお客様の両方を減らす
  2. 人口減少は「コスト上昇」と「売上停滞」の両方を引き起こす
  3. 人件費5%上昇を売上だけで吸収すると日販3万円が必要になる
    1. 人件費5%上昇を売上だけで吸収するには、日販を約3万円増やす必要があります。
  4. 売上の未来は誰にも分からない
    1. 売上成長には不確実性があります。
  5. 売上ではなく生産性を高める経営へ
    1. 「人が必要な仕事そのもの」を減らしていく。
    2. 仕組みによって生産性を高める。
  6. 生産性の高い店舗は損益分岐点を下げられる
    1. 損益分岐点を下げられること
    2. 少ない売上でも利益を確保しやすくなる。
  7. 売上が伸びたときは利益を大きく伸ばせる
    1. 増えた粗利益がより大きく利益として残る
  8. 売上が伸びなくても利益を確保しやすい
    1. 生産性の高い店舗は、上振れにも下振れにも強い。
  9. 店舗の必要人時を半分にする
    1. 1店舗を運営するために必要な人時を50%削減する
    2. 人がやらなくてもいい仕事を50%減らす
  10. 深夜スタッフレス化は生産性向上の一つの手段
    1. 24時間営業を維持しながら、24時間人を配置することをやめる
  11. 深夜の売上より利益を重視する
    1. 売上と利益を分けて考える
  12. 深夜スタッフレスだけでは延命処置になる
    1. 店舗全体の生産性を継続的に高めること
  13. 深夜配送と無人荷受けも検討する
    1. 深夜配送+無人荷受け
    2. 人がいる時間に、人が必要な仕事を集中させる。
  14. 本部もOFCの生産性を高められないか
    1. 将来的に担当店舗数を倍にできないか
    2. OFC一人あたりの生産性を2倍にする
  15. AIとデータ活用でOFCの仕事を変える
    1. 「必要な店舗に、必要な時間を投入する」
  16. OFCの担当店舗を倍にすると本部コストも変わる
    1. 本部の生産性向上を、加盟店の生産性向上につなげる。
  17. 高い収益力を持つセブンだからこそ先行投資できるのではないか
    1. 高い収益力を持つセブンだからこそ、業界に先駆けて取り組めるのではないでしょうか。
    2. 10年後の店舗モデルを作るために利益を投資する。
  18. 高収益を「現在の利益」だけでなく「未来の生産性」に使う
  19. 強い店舗は競合にも強い
    1. 人口が減っても利益を残せる店舗
    2. 人件費が上がっても利益を残せる店舗
    3. 競合店が出店しても耐えられる店舗
    4. 利益率の高さそのものが競争力になります。
  20. 強い店舗が強いオーナーを作る
    1. 店舗を強くすることは、オーナーを強くすることでもあります。
  21. 1,000店舗を増やす前に、まず1店舗を強くする
    1. 1,000店舗を増やすためにも、まず既存店舗を強くすることが重要
  22. 人口減少時代は「売上成長」から「生産性成長」へ
    1. 売上を増やし続けることだけに依存する経営から、脱却する必要があります。
    2. 損益分岐点を下げる。
  23. 売上が伸びなくても利益を残せる店舗を作る
    1. 上振れにも強く、下振れにも強い。
    2. 人口減少によって利益が減り続ける店舗構造は変えられます。
    3. 売上が伸びなくても利益を残せる、損益分岐点の低い店舗です。
    4. 1,000店舗を増やす前に、まず1店舗を強くする。

人口減少はスタッフとお客様の両方を減らす

人口減少というと、

「人が採れなくなる」

という問題が最初に思い浮かびます。

確かに、労働力人口が減少すれば、店舗ではスタッフの確保が難しくなります。

採用競争が激しくなれば、賃金にも上昇圧力がかかります。

しかし、店舗経営者にとって重要なのは、それだけではありません。

人口が減れば、

働く人も減る。

そして、

お客様も減る。

ということです。

つまり、

人口減少

↓

スタッフ不足

↓

人件費上昇

と同時に、

人口減少

↓

商圏人口減少

↓

客数減少

という二つの問題が同時に進む可能性があります。

人口減少は「コスト上昇」と「売上停滞」の両方を引き起こす

これまでのコンビニ経営では、

「売上を増やせば利益も増える」

という考え方が基本でした。

しかし、人口減少時代には、

人件費は上がる

一方で、

売上は簡単には増えない

という状況が想定されます。

ここに、これからのコンビニ経営の難しさがあります。


人件費5%上昇を売上だけで吸収すると日販3万円が必要になる

現在の店舗収益を一定の条件でモデル化して考えてみます。

日販が1万円増えると、店舗に残る利益が約2.5万円/月だとします。

一方、月間人件費を150万円とすると、人件費が5%上昇した場合、

150万円 × 5%=7.5万円/月

の負担増になります。

これを売上だけで吸収しようとすると、

7.5万円 ÷ 2.5万円=3

となります。

つまり、

人件費5%上昇を売上だけで吸収するには、日販を約3万円増やす必要があります。

※ここでの数字は、一定の粗利益率や経費などを前提としたモデルケースです。

ここで考えたいのは、

毎年、人件費が上昇するたびに日販を3万円増やす経営を続けられるのか?

ということです。


売上の未来は誰にも分からない

売上を増やす努力は当然必要です。

新商品を販売する。

売場を改善する。

接客を向上させる。

販促を強化する。

こうした取り組みは、これからも必要でしょう。

しかし、

来年の日販がいくらになるのか。

5年後に客数がどうなるのか。

10年後も売上が伸び続けるのか。

これは誰にも分かりません。

人口動態、競合、景気、消費者行動、インフレなど、多くの要因に左右されるからです。

つまり、

売上成長には不確実性があります。

人件費が5%上昇したからといって、必ず日販を3万円増やせるとは限りません。

だから私は、

売上を増やすことだけに頼って、人件費上昇を吸収する経営には限界がある

と考えています。


売上ではなく生産性を高める経営へ

ここから、経営の考え方を変える必要があります。

売上は市場に左右されます。

しかし、

店舗の必要人時

は、仕組みによって減らすことができます。

例えば、

  • セルフレジ
  • キャッシュレス決済
  • AI・自動発注
  • 検品の省力化
  • 品出しの効率化
  • 深夜配送
  • 遠隔監視
  • 店舗業務の自動化

などです。

これらを一つずつ導入し、

「人が必要な仕事そのもの」を減らしていく。

売上を増やすことだけに頼るのではなく、

仕組みによって生産性を高める。

私は、こちらの方が再現性の高い経営戦略にできると考えています。


生産性の高い店舗は損益分岐点を下げられる

生産性を高める最大のメリットは、

損益分岐点を下げられること

です。

店舗の必要人時を減らす。

↓

人件費負担を抑える。

↓

店舗のコスト構造が軽くなる。

↓

少ない売上でも利益を確保しやすくなる。

これが重要です。


売上が伸びたときは利益を大きく伸ばせる

生産性の高い店舗は、売上が伸びたときにも強くなります。

必要人時が少なければ、

売上増加

↓

粗利益増加

↓

追加の人件費などが相対的に少ない

↓

増えた粗利益がより大きく利益として残る

という構造を作りやすくなります。

つまり、

売上が増えたときに、大きな利益を生み出せる店舗

になります。


売上が伸びなくても利益を確保しやすい

一方で、売上が伸びなかった場合も重要です。

人口減少や競合出店などによって、

売上が横ばい

あるいは、

売上が減少

したとしても、

必要人時が少なく、コスト構造が軽ければ、利益を確保しやすくなります。

つまり、

生産性の高い店舗は、上振れにも下振れにも強い。

これが「強い店舗」の大きな特徴だと思います。


店舗の必要人時を半分にする

そこで私は、長期的な目標として、

1店舗を運営するために必要な人時を50%削減する

くらいの明確な目標を設定してもいいのではないかと思います。

これは、

従業員を50%削減する

という意味ではありません。

人がやらなくてもいい仕事を50%減らす

という意味です。

人が必要な仕事には人を配置する。

機械やAIでできる仕事は仕組みに任せる。

そして削減した人時を、

接客

売場改善

商品提案

スタッフ教育

など、人にしかできない仕事へ振り向ける。

その結果として、

人件費が上昇しても利益を残せる店舗

を作っていく。


深夜スタッフレス化は生産性向上の一つの手段

具体策の一つが、深夜スタッフレス化です。

ここで重要なのは、

24時間営業をやめる

という話ではありません。

24時間営業を維持しながら、24時間人を配置することをやめる

という発想です。

入店認証。

キャッシュレス決済。

セルフレジ。

カメラ・センサー。

遠隔監視。

こうした技術を組み合わせることで、深夜時間帯のスタッフレス化を検討できます。

もちろん、防犯、年齢確認、商品補充、トラブル対応など、解決すべき課題はあります。

だからこそ、全店舗一斉導入ではなく、適した店舗から実証していく必要があります。


深夜の売上より利益を重視する

深夜スタッフレス化によって、深夜の売上が一定程度減少する可能性はあります。

しかし、

売上減少による粗利益の減少

よりも、

深夜人件費の削減

の方が大きければ、店舗利益率は改善する可能性があります。

重要なのは、

売上を100%維持することだけを目的にするのではなく、最終的にいくら利益を残せるかを見ることです。

これは、売上を軽視するという意味ではありません。

売上と利益を分けて考える

ということです。


深夜スタッフレスだけでは延命処置になる

ただし、深夜スタッフレス化だけでは、本当の構造改革とは言えません。

深夜人件費を削減しても、

翌年また人件費が上がる。

↓

別のコストを削る。

↓

さらに人件費が上がる。

↓

また何かを削る。

これでは単なる延命処置です。

必要なのは、

店舗全体の生産性を継続的に高めること

です。

発注。

検品。

品出し。

レジ。

清掃。

事務作業。

物流。

店舗にある仕事を一つずつ見直していく必要があります。


深夜配送と無人荷受けも検討する

深夜スタッフレス化を進めるなら、物流も変える必要があります。

店舗にスタッフがいないのに、

配送対応のためだけにスタッフを配置する

のでは、改革として中途半端です。

そこで、

深夜配送+無人荷受け

という仕組みも検討できます。

深夜に商品を納品し、

朝にスタッフが出勤したら、すぐに売場作りを始める。

つまり、

人がいる時間に、人が必要な仕事を集中させる。

これも生産性向上の一つです。


本部もOFCの生産性を高められないか

店舗だけに生産性向上を求めるのではなく、本部側も同じように変える必要があります。

現在、OFCが1人あたり7~8店舗を担当する仕組みを前提とするなら、

将来的に担当店舗数を倍にできないか

という発想です。

7~8店舗を、

14~16店舗

担当する。

もちろん、単純にOFCの仕事量を2倍にするという意味ではありません。

OFC一人あたりの生産性を2倍にする

という考え方です。


AIとデータ活用でOFCの仕事を変える

例えば、

店舗データをAIで分析する。

↓

問題のある店舗を早期に発見する。

↓

問題のない店舗はデジタルで支援する。

↓

OFCは、本当に人間の判断が必要な店舗に集中する。

という仕組みです。

これまでの、

「すべての店舗を同じ密度で支援する」

という考え方から、

「必要な店舗に、必要な時間を投入する」

という考え方へ変えていく。

これができれば、OFC一人あたりの担当店舗数を増やせる可能性があります。


OFCの担当店舗を倍にすると本部コストも変わる

仮にOFCの諸経費込み年間コストを600万円とします。

8店舗を担当している場合、

600万円 ÷ 8店舗=75万円/店舗

です。

これが16店舗になれば、

600万円 ÷ 16店舗=37.5万円/店舗

となります。

もちろん、これは単純計算です。

OFCの人数を単純に半分にするという話ではありません。

重要なのは、

人を減らすことではなく、1人あたりが生み出す価値を高めることです。

そこで生まれた余力を、

店舗DX

AI

省人化設備

システム開発

などに再投資する。

本部の生産性向上を、加盟店の生産性向上につなげる。

これが重要です。


高い収益力を持つセブンだからこそ先行投資できるのではないか

ここまでの改革には、当然お金がかかります。

システム開発。

設備投資。

実証実験。

失敗からの改善。

全国展開。

短期的にはコストになります。

しかし、だからこそ、

高い収益力を持つセブンだからこそ、業界に先駆けて取り組めるのではないでしょうか。

現在の利益を維持するだけではなく、

10年後の店舗モデルを作るために利益を投資する。

実証店舗を作る。

失敗する。

改善する。

成功した仕組みを全国へ展開する。

チェーン店舗を大量に持つセブンだからこそ、成功した仕組みを一気に横展開できます。


高収益を「現在の利益」だけでなく「未来の生産性」に使う

営業利益率20%以上という水準は、上場企業の中でもかなり高い部類に入ります。

だからこそ、

高い収益力を持つ企業には、将来の生産性向上へ先行投資する余力がある。

と考えることができます。

新規出店も重要です。

しかし、

既存店舗の生産性向上

にも大きな投資余力を振り向ける。

これによって、

加盟店の利益率

と

本部の利益率

の両方を高めることができるのではないでしょうか。


強い店舗は競合にも強い

ここまで生産性を高めると、店舗そのものが強くなります。

強い店舗とは、

単純に日販が高い店舗

ではありません。

人口が減っても利益を残せる店舗

人件費が上がっても利益を残せる店舗

競合店が出店しても耐えられる店舗

です。

利益に余裕があれば、

売場改善

設備投資

スタッフ待遇改善

販促

などにも再投資できます。

つまり、

利益率の高さそのものが競争力になります。


強い店舗が強いオーナーを作る

利益が残らない店舗では、

オーナーが現場に入る

↓

自由な時間が減る

↓

2店舗目に挑戦できない

という状態になりやすい。

一方、

利益が残る

↓

時間と資金が残る

↓

人材を育てられる

↓

2店舗目に挑戦できる

という循環が生まれます。

つまり、

店舗を強くすることは、オーナーを強くすることでもあります。


1,000店舗を増やす前に、まず1店舗を強くする

ここで、1,000店舗出店という話にもつながります。

私は、店舗数を増やすこと自体を否定しているわけではありません。

むしろ、

1,000店舗を増やすためにも、まず既存店舗を強くすることが重要

だと考えています。

強い店舗

↓

強いオーナー

↓

複数店経営

↓

加盟希望者増加

↓

出店しやすくなる

という循環です。

つまり、

出店する前に、「出店したくなる店舗」を作る。

その結果として、店舗数が増えていく。


人口減少時代は「売上成長」から「生産性成長」へ

人口減少によって、

働く人が減る。

そして、

お客様も減る。

一方で、

人件費は上昇する。

売上の未来は分かりません。

だからこそ、

売上を増やし続けることだけに依存する経営から、脱却する必要があります。

売上を増やす努力は続ける。

しかし、それだけに頼らない。

必要人時を減らす。

業務を自動化する。

本部の生産性を高める。

OFC一人あたりの生産性を高める。

そして、

損益分岐点を下げる。


売上が伸びなくても利益を残せる店舗を作る

生産性の高い店舗には、

売上が伸びたとき

→ 増えた粗利益がより大きな利益になる。

売上が伸びないとき

→ コスト負担が小さいため利益を確保しやすい。

という特徴があります。

つまり、

上振れにも強く、下振れにも強い。

これが人口減少時代に必要な店舗ではないでしょうか。


まとめ|店舗を強くすることがチェーンを強くする

人口減少を止めることはできません。

お客様の減少を、店舗の努力だけで止めることもできません。

しかし、

人口減少によって利益が減り続ける店舗構造は変えられます。

売上を増やす。

それだけではなく、

仕組みで生産性を高める。

必要人時を減らす。

損益分岐点を下げる。

深夜スタッフレス化を検討する。

深夜配送を効率化する。

OFC一人あたりの生産性を高める。

こうした改革を積み重ねる。

売上は未来が分からない。

しかし、生産性は仕組みによって変えられる。

だからこそ、これからのコンビニに必要なのは、

売上を増やし続けなければ利益が残らない店舗

ではなく、

売上が伸びなくても利益を残せる、損益分岐点の低い店舗です。

そして、売上が伸びたときには、その増加分をより大きな利益に変える。

高い収益力を持つセブンだからこそ、こうした店舗構造への転換に先行投資できるのではないでしょうか。

1,000店舗を増やす前に、まず1店舗を強くする。

強い店舗が増えれば、強いオーナーが増える。

強いオーナーが増えれば、複数店経営が増える。

加盟希望者も増える。

そして結果として、出店が増えていく。

店舗を強くすることこそ、チェーンを強くすることではないでしょうか。

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