競合店ができたらどうする?|現役コンビニオーナーが実践する「慌てない経営」の考え方【第119話】

現場で考えるのは「次の10年」のこと 体験談

競合店の出店は、コンビニオーナーにとって最も大きな経営リスクの一つです。

「近くにドラッグストアができるらしい。」

「同じ道路沿いにコンビニがオープンする。」

そんな情報が入るだけで、不安になるオーナーは少なくありません。

私自身も、これまで商圏内に何度も競合店が出店する経験をしてきました。

結論から言えば、競合店ができれば売上も利益も影響を受けます。

これは避けることはできません。

だからこそ、「どうすれば売上を落とさないか」を考えるのではなく、「売上が下がることを前提に、どう経営していくか」を考えることが重要だと私は考えています。

競合店は非常に怖い存在

競合店ができると、多くの場合、売上や利益は低下します。

私の経験でも、競合店ができた年は売上が**昨対93%**まで下がりました。

経営者としては決して小さな数字ではありません。

一般的にコンビニの商圏は約500m前後と言われています。

特に住宅地や店舗が密集している地域では、同じ商圏内に競合店ができると影響はさらに大きくなります。

一方で、大型幹線道路や河川、線路など、人の流れを分断する要素がある場合は、比較的影響が小さいケースもあります。

競合はコンビニだけではありません。

大型スーパー、ドラッグストア、小型スーパーも強力なライバルです。

特に価格ではスーパーやドラッグストアに勝つことは簡単ではありません。

コンビニ同士でも取り扱う商品は似ているため、大きな差別化は難しいのが現実です。

信頼関係だけでは売上は守れない

「常連のお客様が多いから大丈夫。」

「接客には自信がある。」

そう考えたい気持ちはよく分かります。

しかし、私はそうは思いません。

どれだけお客様との信頼関係を築いていても、売上は影響を受けます。

現在のお客様は、一つのお店だけを利用する時代ではありません。

価格が安い商品はドラッグストアで購入し、食品はスーパーで買い、必要な時だけコンビニを利用する。

そんな買い回りが当たり前になっています。

お客様が求めているのは、接客だけではありません。

「近い」「便利」「必要な商品がある」「価格に納得できる」。

こうした利便性も、お店を選ぶ大きな理由です。

だからこそ、競合店ができたときは「売上が下がるのは当然」と受け入れることが、最初の一歩だと私は考えています。

最初の2週間は何もしない

競合店がオープンすると、多くのオーナーは焦ります。

発注を変える。

セールを始める。

スタッフへ「もっと頑張ろう」と声を掛ける。

しかし、私は最初の約2週間は普段どおり営業することをおすすめします。

オープン直後は、オープンセールや物珍しさで競合店へお客様が集中します。

この期間だけの数字で判断すると、誤った対策を取る可能性があります。

まずはデータを集めること。

焦らず、冷静に現状を把握することが最優先です。

競合店出店後の行動フロー

時期やることやってはいけないこと
出店前家計・納税資金・年間予算を確認する「何とかなる」と楽観視する
オープン~約2週間普段どおり営業し、売上・客数などのデータを集める発注やシフトを大きく変更する
約2週間後データを分析し、発注や基本スケジュールを見直す感覚だけで判断する

データが集まってから判断する

約2週間が経過すると、売上や客数、カテゴリーごとの変化が見えてきます。

そこで初めて、

  • 発注数量
  • 基本スケジュール
  • 人員配置
  • 商品構成

などを見直します。

私は、競合店ができても感情で動くことはしません。

数字を見て判断し、必要なことだけを修正します。

競合店ができたときに一番避けたいのは、オーナーが慌てることです。

オーナーの不安は、そのままスタッフにも伝わります。

だからこそ、冷静にデータを集め、普段どおり営業を続けることが、結果的に店舗全体の安定につながると私は考えています。

店舗の本当の実力が分かるのは1~2年後

競合店がオープンすると、多くのオーナーは「今月の売上」に目が行きます。

しかし、私はオープン直後の数字だけで店舗を評価することはありません。

小売業では、前年と比較した昨対比で店舗の状況を判断するのが基本です。

オープン直後は、オープンセールや物珍しさで競合店へお客様が集中します。

その数字だけを見て、「失敗した」「このまま売上が戻らない」と判断するのは早すぎます。

私が本当に店舗の実力が分かると考えているのは、競合店がオープンして1~2年後です。

もちろん、商圏内に大きな人口変動や再開発などがないことが前提ですが、2年目以降に売上や客数が回復傾向にあれば、自店が競合店より支持され始めている可能性があります。

逆に、1年以上経過しても地区全体の動向より悪い状態が続くのであれば、店舗運営を見直す必要があります。

自店だけで判断してはいけない

売上を分析するときは、自店の数字だけを見るのでは不十分です。

私が必ず確認するのは、地区全体の昨対比です。

もし、自店の昨対比が地区全体を下回っているのであれば、店舗運営に改善できる点があるかもしれません。

反対に、自店の数字が地区全体より良ければ、自店だけの問題ではなく、チェーン全体の動向や市場環境など、外部要因の影響を受けている可能性があります。

つまり、「売上が下がった」という結果だけを見るのではなく、「地区全体と比較してどうなのか」を確認することが重要です。

昨対比の判断基準

判断材料考えられる要因
自店昨対が地区昨対を下回る店舗運営や品揃え、発注、販売方法など内部要因を確認する
自店昨対が地区昨対とほぼ同じ商圏全体や市場環境の影響が大きい可能性がある
自店昨対が地区昨対を上回る競合店に対して優位に営業できている可能性が高い

※商圏内に大きな人口増減や再開発がないことを前提としています。

私の店舗で実際に起きたこと

私の店舗でも、これまで商圏内に複数の競合店が出店しました。

最も影響を受けたときは、**売上が昨対93%**まで下がりました。

もちろん、不安がなかったと言えば嘘になります。

しかし、その時に私が考えたのは、「競合店を意識しすぎないこと」でした。

発注や基本スケジュールを数字に合わせて少しずつ修正しながら、スタッフには普段どおり営業してもらうことを心掛けました。

焦った雰囲気は、お客様にもスタッフにも伝わります。

だからこそ、オーナーが冷静でいることが大切だと思っています。

その結果、2年目以降は売上が少しずつ回復し始めました。

そして5年後には、競合店が出店する前の売上水準まで戻すことができました。

一方、その競合店だった大手ドラッグストアは閉店しました。

その後、半年ほど空いた同じ場所に、現在は大手小型スーパーが出店しています。

競合は変わっても、経営の基本は変わりません。

数字を分析し、慌てず改善を積み重ねる。

私は、それが長く店舗を守るための一番確実な方法だと考えています。

私の店舗の実例

時期状況
競合店出店商圏内に大手ドラッグストアがオープン
初年度売上は昨対93%まで低下
2年目以降売上・客数ともに徐々に回復
5年後競合店出店前の売上水準まで回復
その後ドラッグストアは閉店
現在同じ場所に大手小型スーパーが出店

競合店ができたら、最初に見直すのは予算管理

競合店ができると、多くのオーナーは売上ばかり気にしてしまいます。

しかし、私が最初に見直すのは売上ではありません。

予算管理です。

売上が下がれば利益も減ります。

だからこそ、「今の利益で何を守らなければいけないのか」を最初に整理しておく必要があります。

私が最優先で確保するのは、家計と納税資金です。

特に注意しなければならないのが税金です。

税金は今年の売上ではなく、前年の利益を基に計算されます。

つまり、昨年の業績が好調だった場合、今年は競合店の影響で利益が減っていても、高い税金を納めなければなりません。

「利益が減ったから払えません。」

これは通用しません。

だからこそ、競合店の出店が決まった時点で、まず納税資金を確保することが重要です。

次に、家計の年間予算を見直します。

年間で生活費はいくら必要なのか。

そのためには、毎月最低いくらの利益を確保しなければならないのか。

最低限必要な利益が見えれば、その数字を基準に店舗予算を組み直します。

競合店ができても、経営者が冷静な判断を続けられるのは、この予算管理ができているからです。

慌てて動かないことが最大の対策

競合店ができると、不安になるのは当然です。

しかし、その不安はオーナーだけのものではありません。

オーナーが焦れば、その空気はスタッフにも伝わります。

スタッフが不安になれば、接客や店舗の雰囲気にも影響します。

だから私は、競合店ができても普段どおり営業することを心掛けています。

コンビニで扱う商品は、どのチェーンも似ています。

価格だけを比較すれば、スーパーやドラッグストアに勝つことは簡単ではありません。

だからといって、一時的な値引きや無理な販売施策を続けても、長く続けられなければ意味がありません。

私は加盟店として、チェーンのブランドを信じ、自店でできることを積み重ねるしかないと考えています。

競合店は変えられません。

しかし、自店の運営は変えることができます。

数字を見て改善を続けること。

スタッフを動揺させないこと。

そして、いつもどおり営業を続けること。

これが、私が何度も競合店を経験してたどり着いた答えです。

最後に

競合店は非常に怖い存在です。

売上も利益も、ほぼ確実に影響を受けます。

だからこそ、現実から目を背けず、まず受け入れることが大切です。

慌てて行動するのではなく、データを集め、分析し、必要な改善だけを積み重ねる。

私は、この姿勢が結果として店舗を守ることにつながると考えています。

そして、もう一つ忘れてはいけないことがあります。

それは加盟契約の違いです。

同じように売上が5%下がったとしても、Aタイプ契約とCタイプ契約では利益への影響は大きく異なります。

売上だけを見て経営判断をすると、本当に守るべき利益を見誤る可能性があります。

競合店対策では、「売上」ではなく「利益」を見ることが重要です。

この契約条件の違いについては、次回の記事で実際のシミュレーションを使いながら詳しく解説したいと思います。

競合店は避けられません。

しかし、正しい知識と冷静な判断があれば、乗り越えることはできます。

私はこれからも、数字と向き合いながら、一歩ずつ店舗経営を続けていきたいと思います。

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