コンビニの口コミは信用できる?|現役オーナーが感じる口コミとの向き合い方【第87話】

体験談

コンビニを経営していると、店舗の口コミが気になることがあります。

「店員の態度が悪かった」

「接客が最悪だった」

「この店には二度と行かない」

そんな口コミを見れば、経営者として気になるのは当然です。

もちろん、口コミには店舗を改善するための大切な情報も含まれています。

しかし、10年以上コンビニを経営してきた私が感じているのは、口コミだけでは、その店舗の本当の姿は分からないということです。

口コミには、お客様から見た一つの出来事は書かれていても、そこに至った背景や店舗側の事情までは書かれていないことが多いからです。

今回は、現役コンビニオーナーとして、口コミをどう捉え、悪い口コミからスタッフをどう守るのかについて考えてみます。

良い口コミは「期待値を上回ったとき」に生まれる

そもそも、良い口コミはどんなときに書かれるのでしょうか。

私は、お客様が事前に持っていた期待値を上回る出来事があったときに、良い口コミが生まれやすいと考えています。

「店員さんがとても親切だった」

「困っていたら助けてもらった」

「想像以上に気持ちの良い接客だった」

こうした体験です。

一方、普通に商品を購入できたからといって、

「このコンビニは普通に買い物できました!」

と口コミを書く人は、ほとんどいません。

期待通りのサービスは、お客様にとって「当たり前」だからです。

コンビニはパッケージ化されている

ここが、コンビニという業態の特徴です。

コンビニの商品やサービスは、かなりパッケージ化されています。

どの店舗でも一定の商品を取り扱い、決められたルールの中で営業し、一定水準の接客や店舗環境を提供することが求められます。

これはコンビニの大きな強みです。

全国どこへ行っても、ある程度同じような商品やサービスを利用できる。

お客様にとって、この**「いつもの安心感」**は非常に重要です。

しかし、その一方で、店舗ごとに大きく差別化することは簡単ではありません。

飲食店なら、料理の味や店内の雰囲気、接客などで「ここに行きたい」という理由を作れます。

しかしコンビニの場合、

「接客がものすごく良いから、わざわざ遠くの店舗まで行こう」

という人は、それほど多くないでしょう。

コンビニの最大の価値は、特別な体験よりも利便性にあるからです。

悪い口コミは「期待を下回ったとき」に生まれやすい

一方、悪い口コミはどうでしょうか。

私は、良い口コミよりも悪い口コミの方が、発生するエネルギーが強いと感じています。

お客様が、

「自分が期待していた対応をしてもらえなかった」

と感じると、不満が生まれます。

「挨拶をしてくれなかった」

「対応が冷たかった」

「融通が利かなかった」

などです。

ただし、店舗側からすると、意図的に冷たい対応をしたわけではない場合もあります。

スタッフは別のお客様への対応中だった。

声を掛けられたことに気付かなかった。

店舗のルール上、対応できないことだった。

あるいは、お客様が求めていることと、スタッフが理解した内容が違っていた。

つまり、人が対応する以上、コミュニケーションギャップはどうしても発生します。

同じ出来事でも、お客様とスタッフでは受け止め方が違うことがあるのです。

そして、不満や怒りは「誰かに伝えたい」という気持ちにつながりやすい。

そのため、良い口コミより悪い口コミの方が目立ちやすいのだと思います。

自動販売機は「期待値を上回らないし、下回らない」

この違いを考えるとき、私は自動販売機をイメージします。

お金を入れて、商品を選び、飲み物が出てくる。

これは当たり前です。

期待値を大きく上回ることも、下回ることもほとんどありません。

だから、

「この自動販売機は最高だった!」

と口コミを書く人は、ほとんどいません。

ところが、お金を入れたのに商品が出てこなかったらどうでしょう。

「お金を返してほしい」

「この自動販売機は最悪だ」

と、不満を誰かに伝えたくなるでしょう。

つまり、

期待値を上回っても、口コミにはなりにくい。

期待値を下回ると、口コミになりやすい。

これが、悪い口コミが目立ちやすい理由の一つだと思います。

そしてコンビニは自動販売機と違い、「人」が対応しています。

そこに接客とコミュニケーションが加わるため、期待値のズレはさらに起こりやすくなります。

「悪い口コミ=悪い店」とは限らない

もちろん、悪い口コミを無視していいという話ではありません。

同じ内容の口コミが何度も繰り返されているのであれば、店舗側に改善すべき問題がある可能性があります。

「店内がいつも汚れている」

「商品の補充がされていない」

「スタッフの対応が毎回悪い」

など、複数のお客様から同じ指摘を受けているのであれば、真剣に向き合う必要があります。

一方で、一件の口コミだけを見て、

「この店は悪い店だ」

と判断するのも危険です。

実際に、防犯カメラを確認したり、スタッフに話を聞いたりすると、口コミに書かれた内容とは違う事実が分かることもあります。

お客様からは見えていなかった事情があったり、店舗側にも対応できない理由があったりするからです。

もちろん、店舗側が常に正しいわけではありません。

だからこそ、口コミを見たら感情的に反応するのではなく、まず事実を確認することが重要なのです。

本当に怖いのは「サイレントクレーマー」

私が悪い口コミ以上に怖いと感じているのが、何も言わずに離れていくお客様です。

不満があっても口コミを書かず、何も言わずに二度と来店しなくなる。

これが一番分かりません。

もし、

「ここが嫌だった」

「こうしてほしかった」

と教えてもらえれば、店舗側は改善できます。

しかし、何も言わずに離れてしまえば、原因が分かりません。

本当は改善できた問題だったかもしれない。

スタッフの対応を少し変えるだけで、また利用してもらえたかもしれない。

それでも、何も伝えてもらえなければ、店舗側には改善する機会すらありません。

だから私は、口コミを書くお客様以上に、何も言わずに離れていく「サイレントクレーマー」の方が怖いと感じています。

スタッフを守ることも経営者の仕事

口コミについて、もう一つ気になるのが、スタッフの個人名が書かれているケースです。

店舗への意見や接客への不満を書くことと、そこで働いているスタッフの個人名をインターネット上に残すことは、別の問題だと思います。

名前を書かれた本人にとっては、大きな精神的負担になる可能性があります。

ネット上に残った情報が広がれば、いわゆるデジタルタトゥーにつながる可能性もあります。

店舗側としては、こうした場合に何もせず放置するのではなく、スタッフを守るための対応も必要です。

口コミを削除してもらうには?

まず知っておきたいのは、低評価だからという理由だけで口コミを削除できるわけではないということです。

Googleマップなどでは、口コミがポリシーに違反している場合、店舗側から報告して削除を求めることができます。

基本的には、

  1. 該当する口コミを確認する
  2. 「不適切なコンテンツとして報告」などの報告機能を使う
  3. 該当する理由を選択する
  4. Googleなど運営会社の審査を受ける

という流れです。

スタッフの個人名が掲載されている場合など、問題があると思われる投稿については、スクリーンショット、投稿URL、投稿日などを保存してから削除依頼をすることをおすすめします。

ただし、個人名が書かれているからといって必ず削除されるとは限りません。

削除できるかどうかは、それぞれの口コミサイトの規約や投稿内容によって判断されます。

大切なのは、感情的に削除を求めるのではなく、どの部分が問題なのかを具体的に伝えることです。

お客様の意見は受け止める。

改善すべきことは改善する。

その一方で、スタッフ個人が必要以上に攻撃される場合には、経営者として守る。

これも店舗運営の重要な仕事だと私は考えています。

コンビニは「口コミ」より「利便性」が大きい

私は、口コミを軽視する必要はありませんが、口コミだけで店舗の評価が決まる業態ではないと考えています。

コンビニにとって大きな価値は、

「自宅や職場から近い」

「通勤途中にある」

「必要な商品をすぐ買える」

「いつでも利用できる」

といった利便性です。

つまり、コンビニの強みは、

「特別な体験」より「いつもの安心感」

にあります。

一つの口コミが悪かったからといって、その店舗を利用する理由がすべてなくなるわけではありません。

もちろん、接客の悪さが繰り返されれば、お客様が離れていく可能性はあります。

だからこそ、口コミを無視するのではなく、店舗を改善するための一つの情報として利用することが重要なのです。

口コミは「評価」ではなく「改善の材料」

私は、口コミを「良い」「悪い」という単純な二択で見る必要はないと思っています。

大切なのは、その口コミから何が分かるのかです。

改善すべき問題なのか。

一時的な出来事なのか。

コミュニケーションの行き違いなのか。

店舗側から見えていなかった問題なのか。

そして、同じ問題が繰り返されているのか。

そこを確認することが、経営者の仕事です。

良い口コミを増やすことも大切です。

しかし、それ以上に、

「なぜ悪い口コミが生まれたのか」

を考えることが、店舗改善につながります。

そして、口コミに書かれなかったお客様の声にも目を向ける必要があります。

まとめ

口コミは、店舗を改善するための貴重な情報です。

しかし、口コミだけで店舗のすべてを判断することはできません。

良い口コミは、期待値を上回ったときに生まれやすい。

一方で、悪い口コミは、期待値を下回ったときに生まれやすい。

そして、人が接客するコンビニでは、そこにコミュニケーションギャップも加わります。

だからこそ、一つの悪い口コミだけを見て「悪い店」と判断するのではなく、その背景まで考えることが大切です。

スタッフの個人名が掲載されるなど、スタッフを守る必要がある場合には、口コミサイトのルールに沿って削除依頼などの対応をする。

そして本当に怖いのは、口コミを書くことすらなく、何も言わずに離れていくお客様です。

コンビニの最大の価値は、特別なサービスではありません。

「いつもの商品を、いつものように買える安心感」

そして、それを支える再現性と利便性です。

一つの口コミに振り回されるのではなく、改善すべきことは改善する。

事実と異なることは冷静に確認する。

スタッフを守るべきときは守る。

そして、毎日変わらない品質とサービスを積み重ねる。

私は、それこそがコンビニ経営における口コミとの向き合い方だと考えています。

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