銀行の店舗やATMが減少しています。
「近くの銀行がなくなった」
「窓口で相談できなくなった」
「以前より不便になった」
そう感じる人もいるでしょう。
実際、窓口で直接相談したい顧客は今でもいます。
しかし、銀行の店舗やATMが減少していることを、単純に「サービスの低下」と考えるべきではないと私は思います。
その背景には、日本企業が「規模の戦い」から「精度の戦い」への移行を迫られていることがあります。
そして、この変化は銀行だけではありません。
少子化と人件費上昇に直面するコンビニにも、同じことが起きています。
- 長いデフレからインフレへ、日本企業を取り巻く環境が変わった
- 少子化で経営資源が限られ、すべてを維持できなくなる
- 銀行の窓口対応には大きなコストがかかる
- デジタル化は顧客の時間も増やしている
- デジタル化してもセキュリティコストは増え続ける
- 銀行の競争力を守ることも顧客サービスである
- これからは「規模」より「精度」が重要になる
- コンビニは省人化しても店舗維持コストが上昇している
- 低日販という数字だけで店舗の価値を判断してはいけない
- 店舗網・物流・ブランドもコンビニの競争力
- コスト削減のために競争力を削れば本末転倒
- 重要なのは「店舗の数」ではなく「店舗の価値」
- 省人化の目的は「人を減らすこと」ではない
- まとめ|限られた経営資源をどこに使うのか
長いデフレからインフレへ、日本企業を取り巻く環境が変わった
日本は長いデフレ経済を経験してきました。
物価や賃金が上がりにくい環境では、企業もこれまでの仕組みを維持しやすい面がありました。
しかし現在は、物価や人件費など、企業を取り巻く環境が大きく変わっています。
海外との競争を考えても、日本企業はこれまで以上に生産性を高めなければ、競争力を維持することが難しくなっています。
だからこそ、
生産性の向上は「できればやるもの」ではなく、生き残るための条件
になっているのではないでしょうか。
少子化で経営資源が限られ、すべてを維持できなくなる
日本には、さらに大きな制約があります。
少子化です。
働く人が減っていく中で、
「すべての店舗を維持する」
「すべての仕事を人が行う」
「すべてのサービスを従来通り提供する」
という経営には限界があります。
経営資源は無限ではありません。
人も、お金も、時間も限られています。
だからこそ、
何を残すのか。
何を機械に任せるのか。
何をやめるのか。
という取捨選択が必要になります。
これからの経営では、規模を大きくすること以上に、
限られた経営資源を、どこに投入するのか。
その判断の精度が重要になっていくと思います。
銀行の窓口対応には大きなコストがかかる
銀行の窓口には、人が必要です。
店舗を構え、スタッフを配置し、受付や事務処理を行う。
そこには、
- 人件費
- 店舗の家賃・維持費
- 光熱費
- システム費用
- 防犯・警備費用
など、多くのコストが発生します。
もちろん、窓口を必要とする顧客はいます。
相続、資産運用、融資、複雑な手続きなどでは、直接人に相談できることに大きな価値があります。
だから、
「窓口をすべてなくせばいい」
という話ではありません。
問題は、
すべての顧客を、すべての手続きで人が対応し続ける必要があるのか
ということです。
デジタル化は顧客の時間も増やしている
店舗や窓口の減少に対して、厳しい声が出ることもあります。
しかし、銀行のデジタル化によって、多くの顧客の利便性は大きく向上しています。
以前なら、
銀行へ行く
↓
順番を待つ
↓
窓口で手続きする
↓
帰る
という時間が必要でした。
現在では、残高確認や振込など、多くの手続きをスマートフォンから行えます。
営業時間を気にする必要もありません。
待ち時間もありません。
つまり、
銀行の省人化は、銀行側のコスト削減だけではありません。
顧客自身の時間も増やしているのです。
「店舗が減った」という事実だけを見れば不便に感じます。
しかし、「銀行に行かなくてもいい」ということを考えれば、サービスそのものは大きく進化しています。
デジタル化してもセキュリティコストは増え続ける
一方で、デジタル化すればコストがなくなるわけではありません。
デジタルサービスが増えるほど、
- システム投資
- サイバーセキュリティ
- 不正アクセス対策
- 本人確認
- 不正取引の監視
- データ管理
など、新たなコストが必要になります。
つまり、
店舗コストが減る一方で、デジタル・セキュリティコストが増えている。
コストがなくなるのではなく、
コストをかける場所が変わっている
のです。
銀行の競争力を守ることも顧客サービスである
窓口を必要とする顧客がいるからといって、従来と同じ店舗網や人員を維持し続ければ、銀行のコストは高いままです。
その結果、銀行自身の競争力が低下してしまえば、長期的には顧客も困ります。
デジタルサービスへの投資も、セキュリティへの投資も、新しいサービスへの投資も十分にできなくなるかもしれません。
つまり、
「顧客のために窓口を残す」ことが、長期的には顧客の利益にならない場合もある。
銀行そのものの競争力を維持することも、重要な顧客サービスなのです。
これからは「規模」より「精度」が重要になる
これからの日本企業は、単純な規模の拡大だけでは生き残りにくくなります。
店舗を増やす。
従業員を増やす。
設備を増やす。
しかし、人が減っていく日本では、すべてを増やし続けることはできません。
だからこそ、
限られた人材をどこに配置するのか。
限られた資金をどこに投資するのか。
どの業務を自動化するのか。
どの店舗を残すのか。
という判断が重要になります。
これから企業に求められるのは、
規模の拡大だけではなく、経営資源を配分する「精度」
なのだと思います。
コンビニは省人化しても店舗維持コストが上昇している
そして、この問題はコンビニにもそのまま当てはまります。
コンビニは、すでにさまざまな省人化を進めています。
- 発注システム
- セルフレジ
- キャッシュレス決済
- 物流の効率化
- デジタルを活用した店舗運営
人が行っていた仕事を、機械やシステムに移してきました。
それでも、最低賃金が上昇すれば、人件費負担は増えていきます。
つまり、
省人化しても、店舗を維持するコストそのものが上昇している。
ここに現在のコンビニ経営の難しさがあります。
低日販という数字だけで店舗の価値を判断してはいけない
企業から見れば、低日販店舗は利益を出しにくい店舗です。
人件費を吸収できなければ、
低日販
↓
利益が少ない
↓
人件費負担が重い
↓
閉店
という判断になります。
店舗単体の採算を考えれば、合理的な判断です。
しかし、コンビニには店舗単体の利益だけでは測れない価値があります。
それが、
「近くて便利」
というブランドそのものです。
店舗網・物流・ブランドもコンビニの競争力
コンビニは、店舗が地域に広く存在することで価値を生み出しています。
例えば、
- 顧客との接点
- ブランドの浸透
- 物流ネットワーク
- 新しいサービスの展開
- 店舗間のネットワーク
などです。
一つの店舗だけを見れば採算が厳しくても、その店舗が企業全体のネットワークにどんな価値を与えているのかは別の問題です。
だからこそ、
「低日販だから閉店」
という一つの数字だけで判断するのは危険です。
もちろん、すべての低日販店を維持すべきという意味ではありません。
重要なのは、
その店舗が企業全体にどれだけ貢献しているのか
まで含めて判断することです。
コスト削減のために競争力を削れば本末転倒
店舗を減らせば、短期的にはコストを削減できます。
しかし、店舗を減らしすぎれば、
「近くて便利」
というコンビニ最大の強みそのものが弱くなる可能性があります。
店舗網が縮小すれば、物流効率やブランド浸透、新しいサービスの展開にも影響するかもしれません。
だから、
コスト削減のために競争力の源泉まで削ってしまえば、本末転倒です。
これは銀行にも共通しています。
銀行も店舗を減らしすぎれば、顧客との接点を失います。
コンビニも店舗を減らしすぎれば、「近くて便利」という強みを失う可能性があります。
重要なのは「店舗の数」ではなく「店舗の価値」
これからのコンビニ経営で重要なのは、
何店舗あるか
だけではありません。
その店舗網が、企業全体にどれだけの価値を生み出しているのか。
ここを見る必要があります。
店舗単体の損益だけではなく、
店舗網としての価値
物流効率
ブランド価値
顧客との接点
将来のサービス展開
まで含めて判断する必要があります。
これはまさに、
「規模」から「精度」への転換
です。
省人化の目的は「人を減らすこと」ではない
銀行でもコンビニでも、重要なのは単純な人員削減ではありません。
人が必要な仕事に、人を集中させること。
そして、
機械やシステムでできる仕事は、機械やシステムに任せること。
そこで生まれた人・時間・資金を、より価値の高いところへ振り向ける。
これが本当の意味での生産性向上ではないでしょうか。
まとめ|限られた経営資源をどこに使うのか
銀行の店舗やATMが減少しています。
一部の顧客にとっては、確かに不便になる部分があります。
しかし、多くの顧客にとっては、デジタル化によって銀行へ行く時間が減り、利便性は大きく向上しています。
一方で銀行は、店舗コストを削減するだけではありません。
デジタルサービスやセキュリティなど、新しい分野にもコストを投入しなければなりません。
つまり、
コストをなくすのではなく、限られた経営資源を、より必要なところへ移しているのです。
そして、これはコンビニにも同じことが言えます。
少子化によって人材が限られ、最低賃金が上昇する中、コンビニも省人化だけでは店舗を維持することが難しくなっています。
だからこそ、
規模の戦いから、精度の戦いへ。
何でも残すのではなく、何でも削るのでもない。
どの店舗を残すのか。
どこを省人化するのか。
どこに人を配置するのか。
どこに投資するのか。
その判断が重要になります。
低日販だからという理由だけで店舗を減らせば、短期的には効率化できるかもしれません。
しかし、「近くて便利」というコンビニ最大の強みまで失ってしまえば、企業そのものの競争力を弱めることになります。
コスト削減のために競争力を失えば、それこそ本末転倒です。
これからの日本企業に求められるのは、規模を追い続けることではありません。
限られた経営資源を、どこに使うのか。
そして、
何を残し、何を変え、何をやめるのか。
その「選択の精度」を高めることこそが、これからの生き残りの条件になっていくのではないでしょうか。
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