現役オーナーが考える次の10年
※この記事は一加盟店オーナーである私の個人的な考えです。経営学や企業戦略を論じるものではなく、現場で働く中で日々感じていることをまとめました。
現場で考えるのは「次の10年」のこと
私は一加盟店オーナーです。
ニュースでは「ステークホルダー経営」「コーポレートガバナンス」「M&A」など、大企業の経営戦略が語られています。
しかし正直に言えば、それらを詳しく語れるほどの知識はありません。
私が毎日考えているのは、もっとシンプルなことです。
「この先10年、コンビニというビジネスはどうすれば持続可能になるのだろう。」
現場で働く一人として、この問いを何度も自分に投げかけています。
デフレ時代の成功体験では限界が来る
現在のコンビニ業界は、大きな転換点にあると感じています。
本部の業績は決して悪いわけではありません。
売上や利益は横ばいで推移し、新商品やキャンペーンなどで数字が伸びる年もあります。
一方、加盟店では最低賃金の上昇、人手不足、物流費や光熱費の高騰など、運営コストは毎年増え続けています。
売上は伸びても利益が残りにくい。
これが現場で経営している私の実感です。
平均日販80万円という目標もあります。
もちろん売上を伸ばすことは重要です。
しかし、その80万円は本当の成長でしょうか。
インフレによって商品の価格が上がれば、販売数量が変わらなくても売上金額は増えます。
数字だけを見れば成長しているように見えても、本当に見るべきなのは利益であり、生産性です。
私は、現在のビジネスモデルはデフレ時代に最適化された仕組みだと思っています。
だからこそ、インフレ時代には同じ延長線上の改善だけでは限界が来るのではないでしょうか。
「仕事はいくらでもある」という言葉
以前、本部社員からこんな言葉をかけられたことがあります。
「オーナーの仕事は探そうと思えばいくらでもありますよ。」
その時は、「確かにその通りだ」と思いました。
売場づくり、発注、清掃、教育、販促、鮮度管理…。
改善できることは無数にあります。
しかし、その後に一つの疑問が浮かびました。
目的のない行動は、本当に仕事なのだろうか。
忙しいことと、生産性が高いことは違います。
そして、
自己満足のための仕事と、お客様が本当に求めている仕事も必ずしも一致しません。
お客様に価値を届けない仕事が増えれば、忙しさだけが増えていきます。
経営資源には限りがあります。
時間、人、お金。
だからこそ、
何を増やすかより、何をやめるか。
そして、
どこに目的を置くのか。
これが経営では最も重要だと思っています。
改善ではなく「構造改革」が必要
本部はこれまで時短什器や新しい設備など、多くの改善を進めてきました。
その結果、作業は確かに楽になりました。
しかし現場では、
「作業は楽になった。でも総労働時間はあまり減っていない。」
そんな感覚があります。
つまり目的が「作業を楽にすること」になっていて、「総労働時間を減らすこと」にはなっていないのではないでしょうか。
私はAmazonの「10倍改善」という考え方が好きです。
10%改善ではなく、ゼロから考え直す発想です。
コンビニも同じではないでしょうか。
例えば現在、多くの店舗では1日45〜50時間程度の総労働時間で店舗運営をしています。
私が考えたいのは、
「24時間で現在と同じ品質の店舗運営ができるとしたら、どんな店舗設計になるのか。」
という発想です。
もちろん現在のやり方では実現できません。
発注、売場づくり、教育、設備、AI活用、商品構成、OFCの役割…。
すべてを一度ゼロベースで考え直す必要があります。
だからこれは改善ではありません。
構造改革です。
もし、このような店舗運営が実現できればどうでしょう。
最低賃金がこれからも上昇し、時給が現在の2倍近い水準になったとしても、健全な店舗経営を維持できる可能性があります。
私は人件費を削りたいわけではありません。
むしろ逆です。
生産性を高めることで、一人ひとりの従業員へ今より高い賃金を支払いながら、加盟店も利益を確保できる。
そんな経営こそ、これから目指すべき姿ではないでしょうか。
OFCの仕事もゼロベースで考える
この考え方はOFCにも当てはまります。
私はOFCが不要だと言いたいわけではありません。
店舗によっては欠かせない存在です。
一方で、ほとんど相談することなく運営できている店舗もあります。
だから一律ではなく、
本当に価値を生む仕事は何か。
そこから考える必要があると思います。
私が言いたいのは、
担当店舗数を8店舗から10店舗へ増やそうという話ではありません。
もし本当に生産性を高めるのであれば、担当店舗数を2倍、3倍にできる仕組みをゼロベースで考えるべきではないか。
もちろん現在の仕事をそのまま続けながら担当店舗数だけ増やせば破綻します。
だからこそ、
AIに任せられる仕事。
システム化できる仕事。
人でなければ価値を生まない仕事。
これらを一つずつ整理し、本当に加盟店の経営改善につながる仕事へ集中する。
その結果として担当店舗数が2倍、3倍になるのであれば、それは無理な効率化ではありません。
構造改革の成果です。
生産性が未来を変える
もう一つ、私が感じていることがあります。
セブン‐イレブンは世界でもトップクラスの小売企業です。
だからこそ、加盟店だけでなく、本部で働く社員も「この会社で働いて良かった」と思える企業であってほしいと思います。
人材不足の時代だからこそ、優秀な人材に選ばれる企業であり続けることは非常に重要です。
そのためには待遇改善も欠かせません。
私は、その原資は単純な売上拡大だけでは生まれないと思っています。
本部も加盟店も、生産性を高めることで新たな利益を生み出し、その成果を加盟店の利益改善や社員の待遇改善へ還元していく。
そうした好循環が生まれれば、企業全体はさらに強くなるはずです。
まとめ
私は一加盟店オーナーです。
この考えが正しいかどうかは分かりません。
ただ一つ感じていることがあります。
デフレ時代に成功したビジネスモデルを、そのままインフレ時代へ持ち込むだけでは、いずれ限界が来るということです。
改善を積み重ねることも大切です。
しかし、それ以上に必要なのは、
「何のためにその仕事をするのか。」
という目的を見直すことではないでしょうか。
自己満足のための仕事ではなく、お客様に価値を届ける仕事へ経営資源を集中する。
そのために、店舗も本部も、これまでの常識を一度ゼロベースで見直す。
私は、その発想の転換こそが、コンビニ業界が次の10年、さらにその先も成長し続けるための鍵になると、現場から感じています。
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