なぜブラックな企業は生まれる?【第170話】

最低賃金上昇と人手不足の中で人を守りながら利益を出すコンビニの未来を考えるイメージ コンビニ経営

ブラックな企業が生まれる2つのパターン

ブラックな企業が生まれる背景には、大きく2つのパターンがあるのではないでしょうか。

① 損益 > 人

必要な人員を配置すると利益が出ない。

つまり、

「人を増やしたくても、増やせば赤字になる」

という状態です。

少ない人数で仕事を回すことで、現場に負担が集中します。

② 利益 > 人

利益を増やすことを優先し、

「もっと人件費を削れないか?」

「もっと少ない人数でできないか?」

と考える。

つまり、

「利益を増やすために、人を減らす」

という考え方です。

①は利益が出ないから人を増やせない。

②は利益を増やすために人を減らす。

どちらも結果として、現場に無理が生じます。

だからこそ、

人を削ることではなく、人を守りながら利益を出せる構造を作ること

が重要なのではないでしょうか。


努力で解決できる問題と構造的な問題は違う

経営には、

努力で改善できる問題

と

努力だけでは変えられない構造的な問題

があります。

接客、発注、教育、売場改善、業務効率化。

こうした部分は、経営者や現場の努力で改善できます。

一方で、

・人口減少
・人手不足
・最低賃金
・商圏人口
・店舗立地

などは、一店舗の努力だけでは変えられません。

努力で解決できる問題と、構造的な問題は分けて考えるべきです。


なぜ最低賃金は上昇しているのか

日本では最低賃金が引き上げられる方向にあります。

これは単なる企業への負担増ではありません。

働く人の所得を引き上げるとともに、

企業に賃金上昇に対応できる経営を求める政策でもあります。

企業は、これまでと同じやり方を続けるだけでは、対応が難しくなっていきます。


最低賃金上昇で企業には生産性向上が求められる

最低賃金が上がれば、

人件費↑
→ 利益↓

となります。

だから企業には、生産性を高めることが求められます。

無駄な作業を減らす。

テクノロジーを活用する。

業務を効率化する。

付加価値を高める。

つまり、

「人を削る」のではなく、「仕事のやり方を変える」

ことが重要になります。


最低賃金上昇に対応できない企業はどうなるのか

最低賃金が上がっても、

売上を増やせない。

価格を見直せない。

生産性を上げられない。

それでも利益を維持しようとすれば、

人を削る

という選択に向かいやすくなります。

しかし、人を削ることにも限界があります。

結果として、

最低賃金の上昇に対応できない企業は、事業継続が難しくなっていく。

市場では、こうした企業の退出や再編が進む可能性があります。


なぜコンビニは「損益 > 人」になりやすいのか

コンビニは、

人を増やせば、その分だけ売上が増える

というビジネスではありません。

レジ、品出し、清掃、発注など、一定の人員が必要です。

しかし、売上が十分でなければ、その人員を配置することで利益が圧迫されます。

つまり、

「必要な人を配置すると利益が出ない」

という問題が起こりやすい。

最低賃金が上がれば、

人件費↑
→ 損益分岐点↑
→ 店舗利益↓

となります。

これは、一店舗の努力だけでは解決しにくい問題です。


コンビニの生産性向上は本部の重要な役割ではないか

加盟店にも改善できることはあります。

しかし、一店舗の努力には限界があります。

一方、本部は多くの店舗に影響する仕組みを変えることができます。

・発注システム
・AI
・セルフレジ
・店舗オペレーション
・物流
・商品政策
・業務そのものの削減

などです。

一店舗の努力より、多くの店舗の仕組みを変えるほうが、生産性向上の効果は大きい。

だからこそ、

本部による生産性向上は、これからますます重要になるのではないでしょうか。


売上に応じたビジネスモデルを提示できるのか

ここが重要な問題です。

例えば、

「この売上なら、この人員が必要」

しかし、

「その人員を配置すると利益が出ない」

という店舗があったとします。

では、人を減らすのか。

それとも、

ビジネスモデルそのものを変えるのか。

私は後者を考える必要があると思います。

売上に応じて、必要な人員を確保しながら利益を出せる店舗モデル。

これを本部が提示できるかが重要になります。


労働問題を加盟店だけの責任にできるのか

必要な人員を配置すると利益が出ない。

しかし、人員を減らせば従業員の負担が増える。

この矛盾があるなら、

「加盟店の努力不足」だけでは説明できません。

もちろん、加盟店側の努力も必要です。

しかし、

努力では変えられない構造的な問題まで、加盟店だけの責任にしてはいけない。

その店舗の売上規模で、

「人を守りながら利益を出せる仕組みになっているのか」

を検証する必要があります。


難しい問題だからこそ、加盟店に未来を示してほしい

これは非常に難しい問題です。

少子化・人口減少が進み、

人手不足は続く。

最低賃金も上昇する。

そして、

時間はどんどん過ぎています。

だからこそ、本部には少なくとも、

「これからコンビニをどのような店舗モデルにしていくのか」

を加盟店に示してほしいと思います。

・人手不足にどう対応するのか
・最低賃金上昇をどう吸収するのか
・どこまで生産性を高めるのか
・売上規模に応じて、どのような店舗モデルを作るのか
・加盟店が将来も利益を確保できる仕組みをどう作るのか

答えが簡単ではないことは分かっています。

しかし、

難しい問題だからこそ、考えている未来を加盟店に説明する必要があるのではないでしょうか。

加盟店に求められるのは、努力だけではありません。

本部に求められるのは、

未来を示し、その未来に向けて仕組みを変えていくこと。

そして最終的には、

「人を削って利益を出す」のではなく、
「人を守りながら利益を出せるコンビニ」に変えていくこと。

これが、これからのコンビニ経営に必要なのではないでしょうか。

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