本部の改善には期待する。でも、本部と心中はしない
- 結論|利益があるうちに「店舗以外の資産」を作る
- 物価上昇で売上が増えても、利益が増えるとは限らない
- 人件費の上昇が利益を圧迫する
- 世間の賃上げと、コンビニオーナーの利益は同じではない
- オーナーの収入は「最後に残った利益」
- 利益があるうちに資産形成を始める
- 節税は「利益があってこそ」
- 利益が減ると「節税」と「資産形成」の両方が難しくなる
- コンビニオーナーには「時間」もない
- 早く始める最大のメリットは「時間」
- 資産形成は「店舗以外の資産」を作ること
- 「店舗を続けるしかない」から「選べる」へ
- 本部の改善には期待する。でも、本部と心中はしない
- 本部に期待しながら、自分でも備える
- 「本部と心中しない」という考え方
- 資産形成は「余ったお金」でするものではない
- まとめ|自分の将来は、自分でも守る
- 本部の改善には期待する。でも、本部と心中はしない
結論|利益があるうちに「店舗以外の資産」を作る
第144話では、利益が厚い店舗ほど経営の選択肢が増えるという話をしました。
人を増やす。
設備に投資する。
売上を伸ばす。
オーナーの時間を作る。
将来に備える。
そして、その利益の一部を店舗以外の資産に変えていくことも、重要な経営判断の一つです。
私は、コンビニオーナーほど資産形成を早く始めたほうがいいと考えています。
理由は、単純に「複利が効くから」だけではありません。
現在のコンビニ経営では、
- 物価が上昇している
- 人件費が上昇している
- 人手不足が続いている
- オーナー自身の時間が少ない
という問題があります。
物価上昇によって売上が増えても、人件費などのコスト上昇がそれ以上に大きければ、オーナーの手元に残る利益は圧迫されます。
だからこそ、
利益があるうちに、資産形成の仕組みを作っておく。
これが重要だと私は考えています。
物価上昇で売上が増えても、利益が増えるとは限らない
インフレになると、商品の販売価格も上がります。
例えば、以前100円だった商品が110円になれば、同じ数量を販売しても売上金額は増えます。
コンビニの場合、
商品価格上昇
↓
客単価上昇
↓
日販上昇
という効果が期待できます。
セブン-イレブンの2025年度全店平均日販は69.9万円です。
しかし、
売上が増えた=利益が増えた
ではありません。
ここが、現在のコンビニ経営を考えるうえで重要なポイントです。
人件費の上昇が利益を圧迫する
コンビニ経営では、人件費は大きな経費の一つです。
スタッフの時給が上がれば、人件費が増えます。
人手不足になれば、より高い時給を提示しなければ人が集まらないこともあります。
さらに、
- 採用費
- 教育コスト
- 人員確保のための追加勤務
- 人手不足によるオーナー自身の勤務
なども経営に影響します。
つまり、
売上が増える
一方で、
人件費も増える。
もし、
売上の増加率 < 人件費・その他経費の増加率
となれば、
売上は増えているのに利益は減る
ということが起こります。
物価上昇による売上増加よりも、コスト上昇のほうが速ければ、オーナーにとってはインフレがそのまま追い風になるとは限りません。
世間の賃上げと、コンビニオーナーの利益は同じではない
日本では賃金上昇が続いています。
会社員などの場合、
物価上昇
↓
賃上げ
となれば、生活費の上昇をある程度吸収できます。
もちろん、物価上昇が給与上昇を上回れば、実質的な負担は増えます。
それでも、
給与を受け取る側
と
給与を支払う側
では、インフレの影響が違います。
コンビニオーナーは、スタッフの時給が上がっても、それによって自分の収入が自動的に増えるわけではありません。
むしろ、
スタッフの賃上げは、店舗側から見ると人件費の上昇です。
そのため、世間で給与が上昇しているからといって、コンビニオーナーの手元利益も同じように増えるとは限りません。
物価上昇による売上増加よりも、人件費やその他経費の上昇が大きければ、
物価が上がっているのに、オーナーの実質的な収入が下がる
という状況も起こり得ます。
オーナーの収入は「最後に残った利益」
コンビニオーナーの場合、売上がそのまま収入になるわけではありません。
店舗の売上から、
- 商品原価
- 本部チャージ
- 人件費
- 水道光熱費
- 廃棄・不良品
- 修繕費
- 消耗品
- その他経費
などを考慮し、
最後に残った利益
がオーナー経営を支える重要な資金になります。
だから、
見るべきなのは日販だけではなく、最終的にいくら残るか。
です。
第144話で考えた「日販65万円」という標準モデルも、結局は、
その売上からどれだけ利益を残せるのか
を見るための出発点です。
利益があるうちに資産形成を始める
ここで資産形成の話につながります。
利益が十分にある時期なら、
店舗運営に必要な資金を確保する
↓
税金を支払う
↓
将来の修繕などに備える
↓
残った資金の一部を資産形成へ回す
ということができます。
しかし、利益そのものが減れば、当然、資産形成に回せるお金も減ります。
だから、
「もっと余裕ができてから資産形成を始めよう」
と考えるのではなく、
利益があるうちに、少額でも仕組みを作っておく。
これが重要です。
節税は「利益があってこそ」
コンビニオーナーにとって、節税は重要なテーマです。
しかし、
節税は利益を生み出すものではありません。
利益が100万円ある。
↓
そこに対して税金が発生する。
↓
必要な経費や各種制度を適切に活用する。
↓
課税所得を抑える。
というのが基本です。
そもそもの利益が少なければ、節税によって減らせる税額も小さくなります。
だから、
「節税できた=経営が良くなった」ではありません。
利益が減った結果として、税金も減っている可能性があります。
つまり、
税金を減らすことより、利益を残すことのほうが先です。
利益が減ると「節税」と「資産形成」の両方が難しくなる
利益が十分にあるときは、
利益
↓
納税
↓
節税策を検討
↓
それでも残った資金で資産形成
という選択肢があります。
ところが利益が減ると、
税金も減る
一方で、
資産形成に回せる資金も減る
ことになります。
つまり、
税金が少なくなったことだけを見て「得をした」と考えてはいけない。
利益そのものが減っているのであれば、
経営としてはむしろ注意すべき状態
かもしれません。
コンビニオーナーには「時間」もない
もう一つ、コンビニオーナー特有の問題があります。
それは、
時間がないこと。
人が足りなければ自分が現場に入る。
スタッフが休めば代わりに入る。
設備が壊れれば対応する。
クレームがあれば対応する。
店舗の改善も考える。
経営者でありながら、現場スタッフとして働く時間も多い。
その結果、
資産形成について考える時間
そのものがなくなってしまいます。
だからこそ、
自動的に積み立てる仕組み
などを作っておくことには意味があります。
早く始める最大のメリットは「時間」
資産形成では、
お金
だけではなく、
時間
が重要です。
例えば、毎月3万円を積み立てると、元本だけでも、
- 10年間 → 360万円
- 20年間 → 720万円
- 30年間 → 1,080万円
になります。
さらに長期間運用すれば、運用益を再投資することで複利効果も期待できます。
もちろん、投資には価格変動があり、元本割れする可能性もあります。
だからこそ、
無理のない金額で長く続ける
ことが重要です。
そして、
時間だけは、後から買い戻せません。
資産形成は「店舗以外の資産」を作ること
コンビニオーナーは、どうしても店舗への依存度が高くなります。
店舗の売上。
店舗の利益。
人手不足。
競合店。
商圏人口。
人件費。
これらすべてが事業に影響します。
だからこそ、
店舗で稼ぐ力と、店舗以外で資産を育てる力を両方持つ。
という考え方が重要になります。
店舗から生まれた利益の一部を、
- 現金
- NISA
- 株式
- 不動産
- その他の資産
などへ移していく。
資産形成の目的は、コンビニを辞めることではありません。
「店舗を続けるしかない」から「選べる」へ
資産形成が進めば、将来、
「店舗を続けたい」
と思えば続けられる。
「少し仕事を減らしたい」
と思えば、その選択肢を検討できる。
「新しい事業を始めたい」
と思えば、その資金を使える。
つまり、
資産形成とは、将来の選択肢を増やすこと
だと私は考えています。
第144話では、
利益の厚み=経営の選択肢
という話をしました。
第145話では、
利益を資産に変えることで、将来の選択肢をさらに増やす。
という話です。
本部の改善には期待する。でも、本部と心中はしない
私は、セブン-イレブン本部による加盟店支援や制度改善には期待しています。
加盟店が長く事業を続けていくためには、
本部と加盟店の双方が利益を確保できる仕組み
が必要です。
人件費が上がる。
物価が上がる。
人手不足が続く。
こうした環境の中で、
加盟店だけの努力には限界があります。
だからこそ、
本部には、これからも加盟店の収益環境を改善してほしい。
これは、一人のオーナーとして当然の期待です。
しかし、
本部の改善に期待することと、自分の将来を本部だけに委ねることは別です。
本部がいつ、どこまで制度を改善するのか。
それは自分では決められません。
だから、
自分でできる準備は、自分でしておく。
本部に期待しながら、自分でも備える
本部の制度が改善されれば、加盟店の利益環境が良くなる可能性があります。
それは大いに期待したい。
しかし、
「本部が何とかしてくれるまで待つ」
という経営では、自分の将来を守ることはできません。
自分の店舗で、
- 利益を改善する
- 人件費を適正化する
- オペレーションを改善する
- オーナーの時間を作る
- 手元資金を確保する
- 資産形成を始める
できることを進めていく。
そして、
店舗への依存度を少しずつ下げる。
これが重要だと思います。
「本部と心中しない」という考え方
私は本部と対立したいわけではありません。
むしろ、
本部が強くなれば加盟店も強くなる。
加盟店が強くなれば、
セブン-イレブンというブランドも強くなる。
これが理想だと思っています。
だから、
本部の改善には期待する。
でも、
自分の将来まで本部に預けるつもりはない。
そのために、
店舗で稼ぐ力と、店舗以外で資産を育てる力を両方持つ。
私は、このくらいの距離感が必要だと考えています。
資産形成は「余ったお金」でするものではない
忙しいオーナーほど、
「今月余ったら投資しよう」
となりがちです。
しかし、
店舗の修繕がある。
税金がある。
人件費が増える。
設備が壊れる。
そうすると、
「今月はやめておこう」
となります。
これを繰り返していると、何年経っても資産形成が進みません。
だからこそ、
資産形成を「余ったらやる」から「最初から仕組みに組み込む」へ変える。
もちろん、事業に必要な運転資金や生活防衛資金を確保したうえでです。
まとめ|自分の将来は、自分でも守る
コンビニオーナーにとって、現在の経営環境は、
物価上昇
人件費上昇
人手不足
など、さまざまな負担があります。
物価上昇によって売上が増えても、
人件費などのコスト上昇がそれ以上に大きければ、利益は圧迫されます。
世間では賃金が上昇していても、コンビニオーナーは、
賃金を受け取る側ではなく、支払う側
でもあります。
そのため、
世間の給与が上がっているのに、オーナーの手元利益は増えない、場合によっては減る。
という状況が起こり得ます。
そして利益が減れば、
資産形成に回せるお金も減る。
さらに、
節税できる金額も小さくなる。
だからこそ、
利益があるうちに、資産形成の仕組みを作る。
これが大切です。
店舗で利益を出す。
↓
必要な資金を確保する。
↓
人を雇ってオーナーの時間を作る。
↓
利益の一部を店舗以外の資産へ移す。
↓
時間を味方につけて資産を育てる。
↓
将来の選択肢を増やす。
これが、
「店舗だけに依存しない経営」
につながっていきます。
本部の改善には期待する。でも、本部と心中はしない
私は、本部の制度改善や加盟店支援が進むことを期待しています。
本部と加盟店がともに利益を確保し、長く事業を続けられる仕組みになることが理想です。
しかし、
本部が変わるのを待つだけでは、自分の将来を守れません。
だから、
本部には期待する。
でも、
自分でも準備する。
店舗経営を改善する。
オーナーの時間を作る。
手元資金を確保する。
そして、
店舗以外の資産を少しずつ育てる。
私は、
「本部と心中しない」というのは、本部を信用しないことではない。
自分の将来を、本部だけに預けないということ。
だと考えています。
コンビニ経営で利益を生み出し、その利益を、
時間・安心・成長・資産
へ変えていく。
そして10年後、20年後に、
「店舗を続けるしかない」
ではなく、
「自分で選べる」
状態を作っておく。
それが、これからのコンビニオーナーにとっての資産形成ではないでしょうか。
資産形成は、余裕ができてから始めるものではない。
余裕があるうちに、将来の選択肢を作るものです。
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