コンビニを10年以上経営してきて、最近、改めて感じることがあります。
それは、
私たちが当たり前のように享受している便利さや安心・安全は、決して当たり前のものではない
ということです。
24時間営業のコンビニがある。
深夜でも女性が一人で買い物に来ることができる。
財布を落としても、誰かが拾って届けてくれる。
事件やトラブルが起きれば、警察官が現場に来てくれる。
私たちは、こうした環境を普段あまり意識せずに生活しています。
しかし、コンビニ経営をしていると、その裏側には多くの人の仕事があることを実感します。
その中でも、今回改めて考えたいのが警察官の仕事です。
- 警察官の仕事は、私たちが思っている以上に大変
- 万引き犯一人でも、警察官の仕事は終わらない
- 強盗や重大事件になれば、さらに大きな対応になる
- 店舗だけでは対応できない瞬間がある
- 「警察を呼ぶ」と伝えても、収まらないことがある
- 酔っ払いの対応をお願いしたときのこと
- 警察に頼ることと、警察に丸投げすることは違う
- 警察官にも、守らなければならないものがある
- 警察官の担い手も減っている
- 犯罪への対応も簡単ではなくなっている
- 安心・安全を警察だけに任せてはいけない
- コンビニ一つとっても、日本の治安に支えられている
- 深夜に女性が一人で買い物できることも、決して当たり前ではない
- 私たちは、あまりにも安全な環境に慣れすぎているのかもしれない
- 怖いのは「当たり前」になりすぎること
- 感謝することと、何でも肯定することは違う
- もっと警察官に感謝してもいいのではないか
- 当たり前の安心を、当たり前だと思わない
警察官の仕事は、私たちが思っている以上に大変
コンビニを経営していると、警察官にお世話になる機会があります。
万引き。
置き引き。
落とし物。
酔っ払い。
お客様同士のトラブル。
そして、強盗などの重大な事件。
店舗側からすると、
「警察に連絡する」
という一つの行動です。
しかし、警察官が現場に到着した後には、さまざまな仕事があります。
被害状況の確認。
関係者からの事情聴取。
防犯カメラの確認。
現場の確認。
必要に応じた現場検証。
書類の作成。
その後の捜査や手続き。
一つの事件を処理するだけでも、多くの時間と労力が必要になります。
万引き犯一人でも、警察官の仕事は終わらない
例えば、コンビニで万引きが発生したとします。
犯人を確保した。
被害商品も確認した。
店舗側からすると、
「これで終わりかな」
と思ってしまうかもしれません。
しかし、実際にはそうではありません。
事件として正確に確認するために、警察官が一つ一つ状況を確認していきます。
場合によっては、一人の万引き犯に対して複数の警察官が対応することもあります。
店舗側から見れば「商品数点の万引き」でも、警察官にとっては一つの事件です。
事実関係を確認し、必要な手続きを進めなければなりません。
一つの万引き事件の裏側にも、私たちが想像する以上の仕事があります。
強盗や重大事件になれば、さらに大きな対応になる
コンビニで起こるのは万引きだけではありません。
強盗や暴行など、従業員やお客様の安全に関わる事件が発生する可能性もあります。
その場合、店舗だけで対応することはできません。
警察への通報。
現場の確認。
関係者からの事情聴取。
防犯カメラなどの確認。
現場検証。
そして、その後の捜査。
事件の規模が大きくなれば、それだけ警察官の負担も大きくなります。
私たちがニュースで見るのは、事件の一部分です。
その裏側では、警察官が多くの時間を使って対応しています。
店舗だけでは対応できない瞬間がある
コンビニを長く経営していると、普通の接客では対応できないような要求をしてくるお客様に遭遇することがあります。
もちろん、できることなら、お客様の要望にはできるだけ応えたい。
しかし、安全上できないことや、店舗のルール上できないこともあります。
それを説明すると、納得していただけないことがあります。
中には、
「いつか復讐してやる」
「今度刺してやる」
など、従業員に危害を加えることをほのめかす言葉を口にする人もいます。
さらに、店内で大声を出して怒鳴り続ける。
そうなると、本人との問題だけではありません。
他のお客様が怖がってしまいます。
普通に買い物に来ただけのお客様が、怒鳴り声を聞いて萎縮してしまう。
ここまで来ると、単純な「接客トラブル」ではありません。
「警察を呼ぶ」と伝えても、収まらないことがある
こうした状況では、
「これ以上続くようでしたら警察に連絡します」
と伝えることがあります。
しかし、それでも、
「呼んでみろ」
と怒鳴られることがあります。
こうなると、店舗側だけでは対応できません。
店長や従業員が説得して解決できる段階を超えています。
むしろ、従業員が無理に対応し続けることのほうが危険です。
従業員とお客様の安全を最優先にして、警察に対応をお願いする。
それは、警察に仕事を押し付けることではありません。
店舗だけでは対応できない事態になったときに、専門的な対応をお願いするということです。
酔っ払いの対応をお願いしたときのこと
以前、酔っ払いの対応を警察官にお願いしたことがあります。
そのとき私は、
「このようなお願いをして申し訳ありません」
と伝えました。
すると、その警察官は、
「そのように言っていただけるだけありがたいです」
と話してくれました。
そして続けて、
「対処できないことは、遠慮なく頼ってください」
と言ってくれました。
私は、この言葉が今でも印象に残っています。
店舗を経営していると、
「これくらい自分たちで対応しなければ」
と思ってしまうことがあります。
しかし、すべてを店舗だけで解決する必要はありません。
特に、暴力や脅迫につながる可能性がある場合はなおさらです。
自分たちで対処できないことは、遠慮せず警察に頼る。
これは、従業員やお客様を守るために必要な判断だと思います。
警察に頼ることと、警察に丸投げすることは違う
一方で、何でも警察に任せればいいとも思いません。
店舗の防犯。
従業員の安全確保。
防犯カメラの管理。
不審な状況への注意。
トラブルを大きくしないための店舗運営。
私たちにもできることがあります。
警察に頼ることと、警察に丸投げすることは違います。
自分たちでできることは自分たちで行う。
そして、自分たちでは対処できないことは、遠慮なく警察に頼る。
このバランスが大切なのだと思います。
警察官にも、守らなければならないものがある
私たちは「警察だから対応して当然」と考えてしまいがちです。
しかし、現場に来る警察官も一人の人間です。
危険な現場に向かうこともあります。
事件の対応をした後には、事情聴取や書類作成などもあります。
一つの事件が終われば、また次の通報があります。
その繰り返しです。
さらに現在の警察活動では、人権を尊重しながら事実関係を確認し、適正な手続きを踏んで対応することが求められます。
それは私たちの権利を守るために必要なことです。
一方で、現場では一つ一つの確認や記録が必要になります。
安心・安全を守りながら、同時に適正な手続きを守る。
決して簡単な仕事ではありません。
警察官の担い手も減っている
そして今、警察を取り巻く環境も変わっています。
警察庁によると、警察官採用試験の受験者数は平成22年度の13万6,845人から、令和6年度には4万3,059人まで減少しました。
競争倍率も9.5倍から3.5倍へ低下しています。
警察庁は、少子高齢化や人口減少に加え、若年層人口の減少などを背景に、警察官の採用情勢が極めて厳しい状況にあるとしています。
つまり、
警察に求められる仕事はなくならないのに、それを担う人材を確保することは簡単ではなくなっている。
ということです。
犯罪への対応も簡単ではなくなっている
犯罪情勢も変化しています。
警察庁によると、刑法犯認知件数は戦後最少となった令和3年の56万8,104件から増加し、令和6年には73万7,679件となりました。
凶悪犯も令和3年の4,149件から令和6年には7,034件となっています。
また、警察庁は、SNSなどを悪用した強盗、SNS型投資・ロマンス詐欺、匿名・流動型犯罪グループなど、新たな形態の犯罪についても厳しい情勢にあるとしています。
昔ながらの万引きや強盗だけではありません。
犯罪の形そのものが変わり、警察に求められる対応も複雑になっています。
安心・安全を警察だけに任せてはいけない
だからこそ、私たちも考えなければならないと思います。
「何かあれば警察が対応してくれる」
これは非常に大切な安心感です。
しかし、
「安全は警察が作ってくれるもの」
と考えてしまってはいけないのではないでしょうか。
店舗の防犯。
従業員の安全確保。
地域での見守り。
不審な状況への注意。
犯罪を起こさせない環境づくり。
私たち一人一人にもできることがあります。
警察に頼るべきときには、ためらわず頼る。
しかし、警察だけに安全を丸投げしない。
私は、このバランスが大切だと思います。
コンビニ一つとっても、日本の治安に支えられている
私は、ここが今回一番伝えたいところです。
はっきり言って、
コンビニ一つとっても、警察がいなければ今のような形では成り立たないと思っています。
もちろん、コンビニの安全を支えているのは警察だけではありません。
防犯カメラ。
セキュリティシステム。
従業員。
店舗設備。
地域とのつながり。
さまざまなものがあります。
しかし、犯罪や重大なトラブルが発生したとき、私たちが頼る重要な存在の一つが警察です。
だからこそ、コンビニという24時間営業の業態も、日本の治安という大きな土台に支えられているのだと思います。
深夜に女性が一人で買い物できることも、決して当たり前ではない
例えば、深夜0時。
女性が一人でコンビニに入り、買い物をして帰る。
日本では珍しい光景ではありません。
しかし、これは世界のどこでも当たり前にできることではありません。
深夜でも店舗が営業できる。
従業員が働ける。
お客様が来店できる。
そして、何かあれば警察に通報できる。
こうした環境があるからこそ、私たちは深夜でもコンビニを利用できます。
24時間営業という便利さの背景にも、日本の安心・安全があります。
私たちは、あまりにも安全な環境に慣れすぎているのかもしれない
日本で生活していると、
夜でも街を歩ける。
深夜でも買い物ができる。
落とし物を届けてもらえる。
事件が起きれば警察が対応してくれる。
こうしたことを、いつの間にか当たり前だと思うようになります。
しかし、私たちが当たり前のように享受している便利さや安心・安全は、世界のどこでも当たり前に存在するものではありません。
安全であることそのものが、私たちにとって大きな財産なのだと思います。
怖いのは「当たり前」になりすぎること
私は、ここが一番怖いところだと思っています。
便利であることに慣れる。
安全であることに慣れる。
そして、その環境を誰かが支えていることを忘れてしまう。
「警察が来るのは当たり前」
「犯罪を捜査するのは当たり前」
「夜でも安心して生活できるのは当たり前」
そんな感覚になってしまったら、私たちは本当に大切なものを失ってしまうのではないでしょうか。
当たり前に見えているものほど、多くの人の努力によって維持されています。
感謝することと、何でも肯定することは違う
もちろん、警察組織にも改善すべきことはあるでしょう。
警察官の対応について疑問を感じることがあれば、それを伝えることも必要です。
しかし、
問題があれば改善を求めることと、日頃の仕事に感謝することは両立できます。
私はそう思っています。
もっと警察官に感謝してもいいのではないか
コンビニを10年以上経営してきた私が、警察官と関わる中で感じるようになったことがあります。
それは、
日本の治安を維持するために、警察官が担っている仕事は決して小さくない
ということです。
万引き。
置き引き。
落とし物。
酔っ払い。
詐欺。
強盗。
そして、店舗だけでは対応できないトラブル。
その一つ一つに、警察官が向き合っています。
私たちが安心して暮らしている日常の裏側には、こうした仕事があります。
だから私は、
もう少し警察官に感謝してもいいのではないか
と思います。
以前、酔っ払いの対応をお願いしたときに言われた、
「対処できないことは、遠慮なく頼ってください」
という言葉。
私は、この言葉を忘れないようにしたいと思っています。
必要なときには頼る。
自分たちでできることは自分たちで行う。
そして、日々私たちの安全を守ってくれている人たちへの感謝を忘れない。
それが大切なのだと思います。
当たり前の安心を、当たり前だと思わない
24時間営業のコンビニ。
深夜に一人で買い物ができること。
安心して街を歩けること。
落とし物を届けてもらえること。
事件が起きれば警察官が駆けつけてくれること。
これらは、決して自然に存在しているものではありません。
多くの人が、それぞれの立場で社会を支えています。
その中で、警察官が担っている役割は非常に大きいと思います。
当たり前の安心を、当たり前だと思わない。
そして、支えてくれている人たちへの感謝を忘れない。
もし私たちが、便利さや安心を当然のものとして受け取り、支えてくれている人たちをないがしろにしてしまえば、いつか本当に大切なものを失ってしまうかもしれません。
コンビニを10年以上経営してきた一人として、私はそう感じています。
最後に、警察官の皆さんへ。
日本の安心・安全を守っていただき、本当にありがとうございます。
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