「やりがい」を給料の代わりにしない|スタッフの時間を大切にするコンビニ経営【第32話】

コンビニ経営

こんにちは、コンビニ大家です。

私は10年以上コンビニを経営してきました。

これまでの記事でも、

「スタッフを大切にすること」

について何度か書いてきました。

では、スタッフを大切にするとは、具体的にどういうことなのでしょうか。

私は現在、経営判断をするときに、

「これは人としてどうあるべきなのか?」

ということを一つの基準にしています。

利益を出すことは、経営者として当然必要です。

しかし、利益を優先するあまり、スタッフの善意や「やりがい」に頼る経営になってはいけない。

私はそう考えています。


本部社員からスタッフへのお願い

以前、店舗でこんなことがありました。

本部社員からスタッフに、

「店頭に飾るPOPを作ってもらえませんか?」

とお願いすることがありました。

スタッフの中には、

「やってみたいです。」

「こういうのが好きなので作ります。」

と、快く引き受けてくれる人もいます。

実際に、無償でもやってくれるスタッフはいました。

私は、その気持ちを否定するつもりはありません。

自分が好きなことに挑戦する。

お店を良くしたいと思って、自主的に取り組む。

それは、とても素晴らしいことだと思います。

しかし、

経営者側から「お願いする仕事」となると、話は別です。


「やりがい」と「給料」は別のもの

仕事にやりがいを感じてもらうことは、とても大切です。

スタッフが成長することも、お店にとって大きな価値があります。

しかし、

やりがいと給料は別のものです。

スタッフ自身が、

「やってみたい」

「経験してみたい」

と思って自主的に取り組むのであれば、それは本人の意思です。

一方で、

「お店に必要だから、あなたにお願いしたい」

と経営者が依頼するのであれば、私はそれを仕事として考えます。

仕事としてお願いするのであれば、

きちんと給料を支払う。

これが基本だと思っています。


「やってくれるからお願いする」は違う

コンビニには、責任感の強いスタッフがいます。

頼めば嫌な顔をせずにやってくれる。

オーナーに協力してくれる。

お店のことを考えてくれる。

本当にありがたい存在です。

しかし、

「この人ならやってくれるからお願いしよう」

という考え方には注意が必要です。

その人の優しさや責任感に頼ってしまえば、

本来は会社が負担すべき仕事を、スタッフの善意に任せることになってしまうからです。

スタッフが断らないからといって、

無償でお願いしていいわけではありません。

私は、そこを経営者が勘違いしてはいけないと思っています。


スタッフの時間にも価値がある

私は、人件費を単純な「コスト」として考えていません。

スタッフが働く時間そのものに価値があります。

例えば、

スタッフが2時間働き、

人件費が2,500円かかったとします。

「2,500円ならたいした金額ではない」

と考えてしまうかもしれません。

しかし、コンビニ経営では、人件費2,500円を使ったからといって、2,500円の売上を作れば元が取れるわけではありません。

売上には仕入原価があり、本部チャージなども発生します。

私の店舗では、

人件費2,500円を回収するためには、約3万円程度の売上が必要になる

という感覚で考えています。

もちろん、必要な売上額は粗利率や契約条件などによって変わります。

ここでは、あくまで私の店舗での経営判断の考え方です。

つまり、

「2,500円の仕事だからやってもらおう」

ではありません。

「その仕事にスタッフの2時間を使うだけの価値があるのか?」

と考える必要があります。


費用対効果がなければお願いしない

例えば、本部から、

「店頭POPをもっと増やしましょう。」

という提案があったとします。

そのためにスタッフが2時間かけてPOPを作る。

人件費は2,500円。

そのPOPによって売上が増える可能性がある。

もし、それ以上の効果が期待できるのであれば、私は人件費を払ってでも実施します。

しかし、

ほとんど効果が期待できないのであれば、

そもそも、その仕事をお願いしません。

私はこれが経営者の仕事だと思っています。

人件費を削ることが目的ではありません。

使った人件費以上の価値を生み出せる仕事に、人件費を使う。

その判断が大切なのです。


必要な仕事なら、きちんと給料を払う

私はスタッフに、

「これはお店に必要な仕事だからお願いしたい。」

と考えたのであれば、

その仕事に対してきちんと給料を払うべきだと思っています。

POP作成でも、

売場づくりでも、

教育でも、

新しい取り組みでも、

同じです。

必要な仕事なら、

仕事として評価する。

必要なら、

人件費を予算に入れる。

そして、

その仕事によってどれだけの効果が期待できるのかを考える。

これが経営だと思っています。


人件費は安ければいいわけではない

経営者になると、

「人件費をどう削るか」

を考えてしまいがちです。

もちろん、無駄な人件費を減らすことは大切です。

しかし、

人件費を安くすることだけを考えてしまうと、

優秀なスタッフが辞める。

仕事の質が下がる。

教育に時間がかかる。

お客様へのサービスが低下する。

結果として、店舗全体の利益が減ることもあります。

だから私は、

人件費を削るのではなく、人件費の使い方を考える

ことが大切だと思っています。


人件費は「投資」にもなる

優秀なスタッフに仕事を任せることで、

売場が良くなる。

接客が良くなる。

新人が育つ。

作業効率が上がる。

お客様の満足度が上がる。

こうした効果が生まれれば、人件費は単なるコストではありません。

将来の利益につながる投資になります。

だから私は、

必要な人件費まで削るつもりはありません。

むしろ、

効果が期待できるのであれば、

必要なところにはしっかり人件費を使います。


スタッフを大切にするとは何か

私は以前、

「スタッフはお客様を大切にする。オーナーはスタッフを大切にする。」

と書きました。

今回の話も、その考え方の延長です。

スタッフを大切にするとは、

何でも自由にさせることではありません。

何でも仕事をお願いすることでもありません。

そして、

「やりがいがあるから給料はいらない」

ということでもありません。

スタッフの時間を尊重する。

必要な仕事には適切な対価を支払う。

必要のない仕事はお願いしない。

自主的に挑戦したいことがあれば応援する。

私は、

これがスタッフを大切にするということだと思っています。


経営者はスタッフの時間を預かっている

コンビニ経営では、

売上や利益に目が向きがちです。

しかし、オーナーが預かっているのはお金だけではありません。

スタッフの時間も預かっています。

1時間。

2時間。

5時間。

スタッフが働く時間には、それぞれの人生があります。

その時間を使って仕事をしてもらうのであれば、

「その仕事には、それだけの価値があるのか?」

と考える責任が経営者にはあると思っています。

これは、スタッフを安く働かせるための考え方ではありません。

むしろ逆です。

スタッフの時間を安く扱わないための考え方です。


「人としてどうあるべきか?」を基準にする

私は最近、経営判断をするとき、

「利益になるか?」

だけではなく、

「人としてどうあるべきか?」

と考えるようになりました。

スタッフが自主的にやりたいことを応援する。

しかし、

経営者が仕事としてお願いするのであれば、

その時間に対して正しく対価を払う。

そして、

費用対効果が合わないのであれば、

そもそもその仕事をお願いしない。

利益だけを見れば、

スタッフの善意に頼った方が短期的には得なのかもしれません。

しかし、

私はそれを正しい経営だとは思いません。


まとめ

10年以上コンビニを経営してきて、私は、

「人としてどうあるべきか?」

を経営判断の一つの基準にしています。

スタッフが自主的にやりたい仕事なら、私は応援します。

しかし、

経営者が必要な仕事としてお願いするのであれば、

それは仕事として評価し、必要な対価を支払う。

これが基本だと思っています。

人件費が2,500円なら、

単純に2,500円の売上を作ればいいわけではありません。

私の店舗では、

約3万円程度の売上が必要になる

という感覚で費用対効果を考えています。

だから、

必要な仕事にはお金を払う。

効果があるなら、人件費を惜しまない。

費用対効果が合わないなら、お願いしない。

そして、

スタッフの「やりがい」を給料の代わりにはしない。

これが、私が10年以上コンビニ経営を続けてきて、スタッフとの向き合い方についてたどり着いた考え方です。

スタッフを大切にすることと、利益を残すことは矛盾しません。

むしろ、

スタッフの時間を正しく評価しながら、利益を残せる仕組みをつくることこそ、オーナーの仕事だと思っています。

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