こんにちは、コンビニ大家です。
前回は、開業当初の厳しい時期を乗り越え、年間利益1,000万円を達成し、本部からの借入金を完済するまでのお話をしました。
開業当初は、
「借金さえ返せば、少しは楽になる。」
そう思っていました。
実際、資金繰りの不安は大きく減りました。
しかし、経営が安定しても、悩みがなくなったわけではありません。
むしろ、お金の問題が落ち着いたことで、次の課題がはっきり見えてきました。
それは、
「人」の問題です。
自分が現場に入り続けなければ、お店が回らない。
スタッフが急に休めば、自分がシフトに入る。
発注もする。
売場も見る。
スタッフ教育もする。
クレームにも対応する。
利益が出ても、経営者の時間が自由になるわけではありませんでした。
そこで私は、
「誰かに店を任せる」
という次の課題に向き合うことになります。
前職の部下との再会
その社員とは、コンビニで初めて出会ったわけではありません。
前職で、私の部下として一緒に働いていた人物です。
会社での評価が特別高かったわけではありません。
しかし、私の前では素直で、一生懸命仕事に取り組む部下でした。
私が指導するようになってからは、少しずつ仕事の実績も上がっていきました。
周囲からの評価も徐々に良くなり、責任者候補として名前が挙がるまでになりました。
ところが、その後、免許停止中の運転が原因で会社から降格処分を受けることになります。
もちろん、ルールに反する行動については、本人が責任を負う必要があります。
ただ私は、その出来事だけで、それまでの努力や仕事に対する姿勢まで否定することはできませんでした。
私がコンビニを始めて半年ほど経った頃、彼から連絡がありました。
「今の会社では評価されません。」
「コンビニで頑張ります。」
「将来、店長をやらせてください。」
その言葉を聞いたとき、前職で一緒に働いていた頃の姿を思い出しました。
努力できる人間であることは知っています。
だから私は、採用を決めました。
そして、一つの約束をしました。
「頑張れば、必ず店長を任せる。」
能力はある。でも気になる部分があった
彼は仕事を覚えるのが早く、数字にも強い社員でした。
発注も覚え、店舗運営についても理解していきました。
能力だけを見れば、優秀な社員だったと思います。
しかし、一緒に働くようになって、少しずつ気になる部分も見えてきました。
それは、
人との接し方です。
スタッフへの接し方が、時々上から目線になることがありました。
コンビニの仕事を、どこか軽く見ているように感じる場面もありました。
「しょせんコンビニ店員だから。」
そんな考えが、言葉や態度の端々から伝わってくることがあったのです。
私は、そこが気になりました。
店長になれば、自分一人で仕事をするわけではありません。
スタッフに仕事を教える。
ミスをしたスタッフをフォローする。
意見の違う人とも話し合う。
時には、スタッフの悩みに耳を傾ける。
そして、最終的には店舗全体の責任を負う。
だから私は、
仕事ができることと、人を任せられることは別の能力だ
と考えるようになりました。
「頑張れば店長を任せる」と約束した
それでも、私は彼を簡単に見放すことはできませんでした。
なぜなら、私は本人に、
「頑張れば店長を任せる」
と約束していたからです。
彼自身も、店長になることを目標に頑張っていました。
仕事も覚えていきました。
数字も理解していきました。
一生懸命働いていました。
そして私自身も、二号店の出店を考えるようになりました。
本部から二号店を出店できる権利をいただき、
「いよいよ店長を任せる時期が来たのかもしれない。」
そう考えるようになりました。
しかし、そこで大きな迷いが生まれます。
本当に、この人に店を任せていいのだろうか。
仕事ができることと、人を任せられることは違う
私は、店長という役職を改めて考えるようになりました。
店長は、
「一番仕事ができる人」ではありません。
もちろん、仕事を覚えていることは重要です。
数字を見る力も必要です。
発注能力も必要です。
売場を管理する能力も必要です。
しかし、それだけでは足りません。
店長は、
人を動かす立場です。
スタッフが困っていれば助ける。
新人には仕事を教える。
ミスをしたら一緒に考える。
意見が違えば話し合う。
そして、自分の判断に責任を持つ。
だから私は、
「自分が仕事をできること」と「人に仕事を任せられること」は違う
と思っています。
自分一人で100点を取れる人より、
周りのスタッフと一緒に80点、90点の仕事を続けられる人の方が、店長には向いている場合もあります。
店長という仕事は、
自分が頑張る仕事から、周りの人が力を発揮できる環境をつくる仕事へ変わる
のだと思います。
任せたい。でも任せられない
彼には能力がありました。
努力する姿勢もありました。
本人も店長を希望していました。
私も、できれば約束を守りたいと思っていました。
しかし、
「任せたい」気持ちと、「任せるのが怖い」気持ちが両方ありました。
もし店長を任せてうまくいかなかったらどうなるのか。
スタッフとの関係が悪くなったらどうするのか。
店舗の雰囲気が悪くなったらどうするのか。
二号店の経営が失敗すれば、本人だけの問題ではありません。
スタッフの生活にも影響します。
店舗の利益にも影響します。
会社全体にも影響します。
だからこそ、経営者として簡単には決断できませんでした。
私は何度も話し合いました。
改善してほしいことも伝えました。
「スタッフとの接し方を考えてほしい。」
「立場が上だからといって、相手を下に見てはいけない。」
「店長になれば、今まで以上に人との関係が重要になる。」
何度も伝えました。
それでも、人の考え方は簡単には変わりません。
人を任せるということ
この経験を通して、私は一つのことを強く考えるようになりました。
人を任せるということは、仕事だけを任せることではない。
その人に、
店舗の未来。
スタッフとの関係。
お客様との信頼。
そして、会社の信用まで預けることです。
だから、
「仕事ができるから任せる。」
だけでは判断できません。
私はその人が、
「自分以外の人を大切にできるか」
を、とても重要視するようになりました。
そして同時に、
「任せること」と「丸投げすること」は違う
とも考えるようになりました。
任せた後も、経営者として見守る。
必要なときには助ける。
問題があれば一緒に考える。
それも、経営者の責任です。
最後は店長を任せる決断をした
それでも最終的に、私は彼に店長を任せる決断をしました。
理由は一つではありません。
これまでの努力を見てきたこと。
仕事を覚える能力があったこと。
本人が店長になることを強く希望していたこと。
そして、
「責任ある立場を経験することで、さらに成長できる可能性がある」
と考えたことです。
もちろん、不安はありました。
「本当に大丈夫だろうか。」
何度も考えました。
それでも私は、
経営者がすべてを抱え込んでしまえば、いつまで経っても自分が現場から離れることはできません。
人を育てるためには、
信じて任せることも必要です。
ただし、任せたからといって放置するわけではありません。
本人が困ったときには支える。
必要なことは伝える。
そして、本人にも責任を持ってもらう。
そうした形で、私は店長を任せることにしました。
経営者として学んだこと
今振り返っても、あの時の判断が正しかったのか、簡単には答えられません。
数字なら答えがあります。
売上。
利益。
人件費。
廃棄。
数字を見れば、結果は分かります。
しかし、
人には正解がありません。
一人ひとり性格が違います。
価値観も違います。
成長するスピードも違います。
だから経営者は、
「この人なら大丈夫」
と判断した後も、育て続けなければなりません。
任せる。
見守る。
必要なら助ける。
間違っていれば伝える。
そして、また任せる。
人を育てるというのは、そういう繰り返しなのだと思います。
経営で一番難しいのは「人」だった
開業当初、私が一番苦しかったのはお金でした。
利益が15万円しか残らない。
借金を返せるか分からない。
資金繰りが不安。
それを乗り越えて、借金を完済しました。
ところが、経営が安定すると、
今度は「人」の問題が出てきました。
そこで私は気づきました。
経営で一番難しいのは、お金ではない。
人を見極め、人を育て、人を任せることです。
お金は数字で管理できます。
でも、人は数字だけでは判断できません。
だからこそ、経営者には、
人を見る力。
信じる力。
任せる力。
そして、必要な時に決断する力が必要なのだと思います。
次回予告
私は最終的に、彼に二号店を任せました。
「これで自分も少し現場から離れられる。」
そんな期待もありました。
しかし、現実は私が想像していたものとは違いました。
店長を任せたことで、
新しい問題が起きたのです。
そして私は、経営者としてこれまで経験したことのない、苦しい判断を迫られることになります。
次回は、二号店を任せた後に起きた出来事と、私が経営者として最も苦しかった経験についてお話しします。
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