コンビニオーナーって休める?|10年以上経営してたどり着いた私の答え【第116話】

現場で考えるのは「次の10年」のこと 体験談

コンビニオーナーは本当に休めるのか

「コンビニオーナーって休めるんですか?」

コンビニオーナーになってから、何度も聞かれてきた質問です。

テレビやインターネットでは、「24時間365日働き続けるコンビニオーナー」というイメージで紹介されることも少なくありません。

確かに、そのような働き方をしているオーナーもいます。

しかし、私の答えは少し違います。

「休めます。ただし、人を育てる経営ができたオーナーだけです。」

コンビニ経営には、利益を優先する経営と、時間を優先する経営があります。

もちろん、利益も時間も両方手に入れば理想です。

しかし、現実には最初からその両方を最大化することはできません。

利益を増やそうと思えば、自分が現場へ入る時間は増えます。

反対に、自分の時間を増やそうと思えば、その分だけ人件費が必要になります。

つまり、利益と時間はある程度トレードオフの関係にあるのです。


私が利益を優先した5年間

私は開業当初、利益を最優先に考えました。

最初の約5年間は、ほとんど休みなく働いていました。

深夜勤務にも入り、急な欠勤があれば自分で現場へ向かい、自分でできる仕事はできる限り自分で行いました。

決して楽ではありません。

しかし、それは最初から計画していたことでした。

まず利益を残す。

経営基盤を安定させる。

借入金を返済する。

そして、その利益を資産形成へ回す。

私は、この順番を決めて経営していました。

当時の私にとって、深夜勤務は単なる労働ではありません。

利益を生み出すための投資でした。

オーナーが自分で働けば、その分だけ人件費を抑えられます。

その利益を借入金の返済や将来への投資に回すことができます。

だから私は、「今だけ頑張ればいい」と自分に言い聞かせながら働いていました。

もちろん、この働き方をすべての人に勧めるつもりはありません。

家族構成も年齢も、体力も、それぞれ違います。

大切なのは、自分が何を優先するのかを決めることです。

利益を優先する時期なのか。

時間を優先する時期なのか。

経営者には、その判断が求められます。


現在は時間を優先する経営へ

現在の私は、当時とは経営方針が変わりました。

社員とも何度も話し合いを重ね、今では時間を優先する経営へ少しずつ移行しています。

オーナー夫婦は基本的に週休二日。

社員も基本的に週休二日。

夏季休暇や冬季休暇も取得できる体制を整えています。

もちろん、労働基準法を守り、残業時間にも配慮しています。

しかし、この体制は一夜にしてできたものではありません。

利益を積み重ね、人へ投資し、人を育て、少しずつ組織を作ってきた結果です。


時間を生み出す経営は人を育てる経営

私は、利益を残す経営よりも、時間を生み出す経営の方が難しいと思っています。

なぜなら、利益はオーナー一人でもある程度作ることができます。

しかし、時間は一人では作れません。

時間を生み出すためには、人を育てるしかないからです。

オーナーが抱える日々の判断

オーナーが現場へ入れば、多くの問題はその場で解決できます。

  • 発注
  • 売場づくり
  • クレーム対応
  • 新人教育
  • シフト変更
  • 設備トラブル

店舗では毎日のように判断しなければならないことがあります。

しかし、オーナーが休むためには、それらを現場だけで判断できる組織を作らなければなりません。

だから私は、時間を作る経営とは、人を育てる経営だと考えています。

スタッフの熟練度が時間を生み出す

そして、その中でも最も重要なのがスタッフの熟練度です。

熟練度は一朝一夕では身につきません。

経験を積み重ね、失敗を繰り返し、その中で判断力が身についていきます。

ところが、人の入れ替わりが激しい店舗では、その熟練度はなかなか上がりません。

育ったスタッフが辞めれば、また新人教育からやり直しになります。

これでは店舗全体の力は上がりません。

だから私は、人材育成だけでなく、人材定着も経営者の重要な仕事だと考えています。

待遇が悪ければ、人は長く働きません。

安心して働ける環境があって初めて、経験が積み重なり、店舗全体の力になります。

また、責任者には責任者としての役割を明確にしています。

どこまで判断し、どこまで責任を持つのか。

そして、その責任に見合った待遇を用意することも欠かせません。

責任だけが増えて待遇が変わらなければ、責任者になりたいと思う人は育ちません。

責任・権限・待遇。

この三つのバランスが取れて初めて、人は安心して責任を引き受け、成長できるのだと私は考えています。

「電話が鳴る休み」は本当の休みではない

もう一つ、私が大切にしている考えがあります。

「電話が鳴る休みは、本当の休みではない。」

重大な事故や事件、大きなクレームなど、オーナーや店長が対応しなければならない場面は当然あります。

しかし、日常業務の細かな判断まで毎回オーナーへ電話がかかってくるようでは、本当に休んでいるとは言えません。

そこで私の店舗では、現場で解決できることは現場で解決することを基本にしています。

もちろん、すべてを現場だけで判断するわけではありません。

判断に迷う場合は、オーナーや店長へ連絡する前に、本部の**OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)**へ相談するルールにしています。

この運用については事前にOFCとも話し合い、協力をお願いしています。

OFCからの助言で解決できれば、その内容を後から報告してもらうだけです。

日頃からスタッフの判断力を育て、本当に判断が難しい案件だけOFCへ相談する。

この積み重ねが、スタッフの成長につながり、店舗全体の対応力も高めていきます。


オーナーが休むために必要な人件費

こうした体制を作るには、当然コストもかかります。

私の店舗では、オーナーが週に1日休める体制を作るためには、月に約8万~9万円の人件費が必要だと考えています。

私の店舗で計算した人件費

この金額は、私自身が担当していた勤務をスタッフへ置き換えた場合の試算です。

私が担当していたのは、主に22時から翌6時までの深夜勤務です。

私自身は一人で勤務していましたが、スタッフが担当する場合は労働基準法に基づく休憩時間を確保する必要があります。

そのため、2人体制でそれぞれ1時間ずつ休憩を取得すると、店舗として必要な労働時間は合計14時間になります。

内訳は次のとおりです。

  • 深夜時間帯(22時~5時)
     時給1,375円 × 12時間 = 16,500円
  • 早朝時間帯(5時~6時)
     時給1,100円 × 2時間 = 2,200円

合計すると、1日あたり約18,700円になります。

これを月4.5日休むと、

18,700円 × 4.5日 = 約84,150円

つまり、私の店舗ではオーナーが週に1日休める体制を作るために、毎月約8万~9万円の人件費が必要になります。

週休二日に必要なコスト

さらに、週休二日を実現しようとすれば、この金額は約17万~18万円になります。

社会保険料や有給休暇なども考慮すると、実際には約20万円前後の負担になると私は考えています。

決して小さな金額ではありません。

だからこそ、「休みたい」という気持ちだけでは実現できません。

利益を生み、その利益を人へ投資するという経営判断が必要になります。

しかし私は、この費用を単なるコストとは考えていません。

人への投資です。

時間への投資です。


利益は時間を生み、選択肢を生む

スタッフが育ち、責任者が育ち、現場の熟練度が高まれば、オーナーが毎日店舗へ勤務しなくても店舗運営ができる体制を作ることができます。

もちろん、重大な事故や大きなクレームなど、経営者として対応しなければならない場面はあります。

しかし、日々の店舗運営そのものは組織として安定して回るようになります。

ここまでくれば、オーナーは初めて利益と時間のバランスを自分で選択できるようになります。

利益をさらに追求するために現場へ入るのか。

利益の一部を人へ投資し、自分や家族との時間を増やすのか。

どちらを選ぶかは経営者自身です。

私は、どちらが正しいとは思いません。

大切なのは、自分で選択できる状態を作ることです。

私は開業当初、利益を優先しました。

利益を積み重ね、人へ投資し、人を育て、組織を作ってきました。

その結果、今では利益だけでなく、時間も選択できるようになりました。

私は昔から、**「利益は選択肢を生むもの」**だと考えています。

利益があるから、人を雇える。

利益があるから、人を育てられる。

利益があるから、休みを作れる。

利益があるから、新しい挑戦ができる。

利益があるから、家族との時間を選ぶこともできる。

コンビニ経営とは、単に売上を追いかける仕事ではありません。

利益を生み、その利益によって人生の選択肢を増やしていく仕事です。

私はこれからも、この考え方を大切にしながら経営を続けていきたいと思っています。

おすすめ記事

コンビニオーナーは儲かる?|10年以上経営した現役オーナーが本音で答えます【第3話】
コンビニオーナーは本当に儲かるのでしょうか。売上や利益だけでは分からない経営の現実や収入の考え方、メリット・デメリットを、10年以上経営する現役セブン‐イレブンオーナーが実体験をもとに本音で解説します。
“114” の検索結果 | コンビニ大家のリアル経営禄
経営歴10年越えの現役コンビニオーナーが語る コンビニ経営のリアルと成功・失敗体験
コンビニ社員の採用で私が能力より「信用」を選んだ理由|経営者が背負う責任【第21話】
コンビニ社員の採用で私が重視したのは能力ではなく「信用」でした。採用基準や人材育成、経営者としての責任について、10年以上経営する現役セブン‐イレブンオーナーが実体験をもとに詳しく解説します。
店長と社員の間で起きた「パワハラ騒動」|信頼関係が崩れた組織で学んだこと【第22話】
こんにちは、コンビニ大家です。新しい社員が入社したことで、会社はようやく最悪の状況を脱することができました。それまで休みなく働き続けていた店長も、少しずつ睡眠時間を確保できるようになり、週に一度は休める体制が整い始めました。もちろん、一人社…
コンビニ経営は副業でもできる?|現役オーナーが未来を考える【第55話】
コンビニ経営は本業である必要があるのでしょうか。10年以上コンビニを経営してきた現役オーナーが、本業・副業という考え方ではなく、経営者として成功するために必要な姿勢や店舗との向き合い方について実体験を交えて解説します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました