コンビニの事業承継で一番大切なこと|子どもに店ではなく考え方を残したい【第54話】

現場で考えるのは「次の10年」のこと 体験談

こんにちは、コンビニ大家です。

コンビニ本部の地区責任者と話をしていると、よく聞かれることがあります。

「将来、息子さんがお店を継ぐ予定はありますか。」

10年以上コンビニを経営してきた私の答えは、いつも同じです。

「本人が自分で選ぶのであれば反対はしません。ただ、私から勧めることはありません。」

そう答えると、不思議そうな表情をされることがあります。

しかし、それが私の本当の気持ちです。


事業承継には大きなメリットがある

経営だけを考えれば、親から店舗を引き継ぐことには大きなメリットがあります。

私が契約している制度では、契約年数に応じて本部チャージが軽減される仕組みがあり、現在では契約当初と比べて毎月約40万~50万円程度、年間では約500万~600万円程度利益が改善しています。

ゼロから開業する人と比較すれば、とても大きなアドバンテージです。

さらに、

  • 長年築いてきた地域のお客様との信頼
  • 育成してきたスタッフ
  • 店舗運営のノウハウ
  • 取引先との信用

こうした目に見えない資産も引き継ぐことができます。

数字だけを見れば、親の店舗を承継することは非常に合理的な選択だと思います。


それでも私は勧めません

10年以上前、まだ小学生だった息子が私にこう言いました。

「将来、コンビニオーナーになりたい。」

私は迷わず答えました。

「コンビニオーナーは、お父さんが選んだ人生だよ。君が選ぶ人生じゃない。」

私はコンビニ経営を後悔していません。

苦しい時期もありました。

楽しいことも数多くありました。

今でも、この仕事を選んで良かったと思っています。

しかし、それは自分で選んだ人生だからです。

だから私は、子どもにも自分で考え、自分で選び、その結果に責任を持つ人生を歩んでほしいと思っています。

親が歩んできた道が、子どもにとって最良の道とは限りません。

人生は利益だけで選ぶものではないと思っています。


本当に引き継ぐべきもの

私は、子どもへ残したいものは店舗ではありません。

数字を見る力。

信用を積み重ねる姿勢。

約束を守ること。

問題が起きても逃げずに向き合うこと。

そして、

自分で考え、自分で選択し、その結果に責任を持つこと。

これこそが、本当に引き継ぐべき財産だと思っています。

店舗は時代とともに変わります。

業界も変わります。

しかし、考える力や判断する力は、どんな仕事にも通用します。

私は、その力を身につけてほしいと思っています。


血縁だけが事業承継ではない

私が契約している制度では、契約上のメリットを承継できるのは基本的に血縁者です。

一方で、何十年も会社を支え、利益に貢献してくれた店長や社員へ、同じ条件で承継することはできません。

私は、この制度には少しもったいなさを感じています。

人口減少が進み、人材不足が深刻になるこれからの時代。

本当に必要なのは、

「誰の子どもか」

ではなく、

「誰が会社を守れる人材なのか」

という視点ではないでしょうか。

長年会社へ貢献し、地域のお客様から信頼され、経営を理解している人材へ事業承継できる仕組みも、今後は必要になると私は考えています。


私が本部へ提案していること

私は以前から本部へ、

「コンビニ経営が副業として成立する仕組みを目指してほしい。」

と提案しています。

現在のコンビニ経営は、オーナーが店舗に長時間関わることを前提としたビジネスモデルです。

しかし、人口減少が進むこれからの時代、この仕組みだけでは限界があると感じています。

AIやDXがさらに進化し、本部による経営支援が充実すれば、オーナーは現場作業ではなく経営判断へ集中できるようになります。

そうなれば、

本業を持ちながらコンビニを経営する。

複数の収入源を持ちながらコンビニを経営する。

そんな新しい経営スタイルも十分実現できるはずです。

私は、副業としてコンビニ経営を選ぶことには賛成です。

本業による安定した収入があれば、コンビニ経営も長期的な視点で判断しやすくなります。

加盟を考える人にとっても、大きな安心材料になるでしょう。


一つの会社だけに依存する時代ではない

私は、これからの時代は一つの会社や一つの収入源だけに依存すること自体が大きなリスクだと考えています。

人口減少。

インフレ。

最低賃金の上昇。

AIの進化。

社会は今、大きく変化しています。

コンビニ経営も例外ではありません。

加盟店は本部のブランドや物流、商品開発など多くの恩恵を受けています。

一方で、制度変更や経営方針など、本部の影響を大きく受ける事業でもあります。

だからこそ私は、

経営者は常に複数の選択肢を持っておくべきだと思っています。

会社員であれば、自分自身の事業を持つ。

個人事業主であれば、複数の収入源を育てる。

コンビニオーナーであれば、コンビニ以外にも収益の柱をつくる。

私は、それがこれからの時代の自己防衛だと考えています。

実際に私自身も、不動産やブログなど、コンビニ以外の収入源を少しずつ育てています。

これはコンビニ経営を否定しているからではありません。

コンビニ経営を長く続けたいからこそ、選択肢を増やしているのです。

一つに依存しなければ、目先の利益だけにとらわれず、冷静な経営判断ができます。

私は、これからの経営者に最も必要なのは、**「選択肢を持つ力」**だと思っています。


まとめ

事業承継には、大きな経済的メリットがあります。

しかし、人生は利益だけで決めるものではありません。

親の人生を歩くことではなく、

自分の人生を自分で選ぶこと。

それが何より大切だと思っています。

私は子どもに店を残したいのではありません。

本当に残したいのは、

  • 数字を見る力
  • 信用を積み重ねる姿勢
  • 自分で考え、自分で選択し、その結果に責任を持つ力

です。

そして、私自身も一つの会社や一つの収入だけに依存しない生き方を実践しています。

これからの時代は、会社員でも経営者でも、複数の選択肢を持つことが最大のリスク管理になると私は考えています。

その考え方こそ、店舗や制度よりも、次の世代へ本当に引き継ぎたい財産です。

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