コンビニ最大の価値は「時間」|私がスタッフへ最初に伝えること【第56話】

現場で考えるのは「次の10年」のこと 体験談

こんにちは、コンビニ大家です。

私はコンビニ経営を続ける中で、多くの企業の経営を学んできました。

その中でも、とても共感した考え方があります。

それがAmazonの

「競合ではなく、お客様を起点に考える(Start with the customer and work backwards)」

という考え方です。

一般的に企業は、競合他社の価格や新商品、サービスを分析しながら戦略を立てます。

もちろん、それも大切です。

しかしAmazonは、

「お客様は本当に何を求めているのか。」

を出発点に考えます。

価格競争ではなく、価値競争。

私は、この考え方はコンビニ経営にもそのまま当てはまると思っています。


コンビニ最大の価値は「時間」

私は、コンビニが提供している最大の価値は、

「時間」

だと考えています。

時間は誰にとっても平等であり、一度過ぎれば取り戻すことができません。

例えば、本当においしいパンを食べたいなら、有名なパン屋さんへ行くでしょう。

並ぶ時間も、その体験も価値の一つです。

一方で、

「今日はそこそこでいい。」

「今すぐ食べたい。」

そんな日もあります。

その時に近くのコンビニですぐ購入できる。

私は、この時間を節約できることこそ、コンビニ最大の価値だと思っています。


「近くて便利」の本当の意味

セブン‐イレブンには、

「近くて便利」

という理念があります。

私は、この言葉の本当の意味は、

「欲しい商品を、欲しい時に、欲しい数だけ、ストレスなく購入できること」

だと考えています。

商品を探し回らない。

レジで待たない。

欲しい商品が欠品していない。

ATMや宅配便、公共料金の支払いまで一か所で済む。

これらすべてが、お客様の時間というコストを減らしています。

つまりコンビニは、

商品を売る仕事ではありません。

時間という価値を提供する仕事なのです。


セブンカフェが支持された理由

例えば、セブンカフェです。

超高級コーヒーではありません。

しかし、

「値段に対して品質の高いコーヒーを、飲みたいと思った瞬間に購入できる。」

この価値が、多くのお客様から支持されています。

価格だけなら、もっと安いコーヒーもあります。

品質だけなら、専門店の方が高いかもしれません。

しかし、

価格。

品質。

利便性。

時間。

そのすべてを考えた結果、

お客様は、

「この価格なら納得できる。」

と判断したのです。

私は、これこそが価値競争だと思っています。


私がスタッフへ最初に伝えること

私は、新人スタッフへ最初に必ず質問します。

「良い接客とは何だと思いますか。」

多くの人は、

「笑顔で感じの良い接客です。」

と答えます。

もちろん、それも大切です。

しかし私は、その前に伝えることがあります。

コンビニが提供している価値は、

「近くて便利」

です。

だから接客で一番大切なのは、

迅速・正確・感じよく。

私は、この順番だと思っています。

まず待たせないこと。

次に間違えないこと。

そして最後に感じの良い接客です。

どれだけ笑顔でも、

レジで長く待たせれば、お客様の時間という価値を失ってしまいます。

迅速さも、サービス品質の一つなのです。


私が感じる違和感

近年、本部は接客向上に力を入れる方針を打ち出しています。

もちろん、接客を良くすることは大切です。

私も、その取り組み自体を否定するつもりはありません。

しかし私は、Amazonの成功事例を見ていると、

本質はそこではない

と感じています。

Amazonは笑顔で接客をしているわけではありません。

それでも世界中のお客様から支持されています。

その理由は、お客様の時間や手間というストレスを徹底的に減らしているからです。

検索しやすい。

注文しやすい。

届くのが早い。

返品しやすい。

すべてが、お客様起点で設計されています。

私は、セブン‐イレブンも本来目指すべき方向は同じだと思っています。


経営資源はどこへ投資するべきか

企業が持つ経営資源には限りがあります。

人材。

時間。

資金。

どれも無限ではありません。

だからこそ経営で重要になるのは、

限られた経営資源を、どこへ優先的に投資するかです。

私は接客を軽視しているわけではありません。

しかし現在のコンビニ業界は、

人口減少。

人手不足。

最低賃金の上昇。

インフレ。

社会保険料の増加。

こうした大きな環境変化に直面しています。

こうした時代だからこそ、本部が最も力を入れるべきなのは、

「近くて便利」をさらに進化させることではないでしょうか。

例えば、

セルフレジのさらなる進化。

AIを活用した発注精度の向上。

レジ待ち時間の短縮。

省人化を実現する新しいオペレーション。

デジタル技術を活用した店舗運営。

こうした仕組みづくりは、お客様の利便性を高めるだけではありません。

加盟店の生産性向上にもつながります。

結果として、人手不足や最低賃金上昇への対応にもなります。

私は、本部の経営資源をこうした分野へ重点的に投資することが、加盟店、本部、お客様の三者にとって最も大きな価値を生むと考えています。


時代に合わせて「近くて便利」を進化させる

デフレ時代のコンビニは、

店舗数を増やし、

商品を増やし、

サービスを増やすことで成長してきました。

しかし現在は、

インフレ社会へ移行し、

人件費や物流費など、あらゆるコストが上昇しています。

私は、

「近くて便利」

という理念そのものは変わらないと思っています。

変えるべきなのは、

その実現方法です。

時代が変われば、

お客様が求める便利も変わります。

だからこそ、

本部は時代に合わせた新しい利便性を提案し続ける必要があります。

私は、それこそがセブン‐イレブンらしさであり、他社との差別化につながると考えています。


まとめ

私は、コンビニは特別な日に利用する場所ではないと思っています。

毎日の生活を、

少し便利に。

少し快適に。

少し豊かにする。

そんな社会インフラです。

だから私は、

スタッフへ今でも、

「迅速・正確・感じよく。」

という言葉を伝え続けています。

その一つひとつの積み重ねが、

「近くて便利」

という価値を守ることにつながるからです。

Amazonの

「お客様を起点に考える」

という考え方も、

セブン‐イレブンの

「近くて便利」

という理念も、

本質は同じだと私は考えています。

商品を売ることが目的ではありません。

お客様の時間という、最も貴重な価値を提供することです。

そして、その価値を時代に合わせて進化させるために、本部は限られた経営資源をどこへ投資するのかを考え続ける必要があります。

接客を磨くことも大切です。

しかし、それ以上に、

「近くて便利」をさらに進化させる仕組みをつくること。

それが、お客様の満足度を高め、加盟店の生産性を向上させ、本部・加盟店・お客様の三者がともに成長できる未来につながると、私は信じています。

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