- はじめに
- 1.インフレ・円安・社会保障負担
- 2.賃金が上がっても、オーナー利益が増えるとは限らない
- 3.セブン‐イレブンでは加盟店利益が2年連続で減少
- 4.Cタイプでは、この問題をさらに考える必要がある
- 5.5年間の推移を数字で考えてみる
- 前半のまとめ
- 6.本部も次の時代に向けて動き始めている
- 7.新制度は既存店にそのまま適用されるわけではない
- 8.新契約タイプでは何が変わるのか
- 9.第134話でも述べた「延命処置」という側面
- 10.私は、本部が次世代の仕組みを作ることを信じている
- 11.「まだ戦える」からこそ、今から準備する
- 12.資産形成には「新NISA」を活用する
- 13.夫婦でNISAを活用する
- 14.2,400万円を5%で運用するとどうなるか
- 15.年間120万円あれば、2年以上の利益減少を補える
- 16.資産形成は「利益が減ってから」では遅い
- 17.資産形成によって「時間」を買う
- 18.真面目に働いても、未来を見据えた計画がなければ追い込まれる
- 19.資産形成は「コンビニを辞めるため」ではない
- 20.本部を信じることと、自分で備えることは両立できる
- おわりに
はじめに
「真面目に働いていれば、将来は何とかなる」
私自身、長年コンビニ経営を続けてきましたが、以前はそう考えていました。
店舗をしっかり経営する。
売上を伸ばす。
経費を管理する。
利益を残す。
真面目に仕事を続けていれば、将来も何とかなる。
しかし、今の日本を取り巻く環境を見ると、少し考え方を変える必要があると感じています。
インフレ、円安、高齢化による社会保障負担、人手不足、最低賃金の上昇。
これらは私たちの生活だけでなく、コンビニ経営にも直接影響しています。
だから私は、これからのコンビニオーナーには、
「本業を頑張る」だけではなく、「未来を見据えて資産を作る」ことも必要
だと考えています。
1.インフレ・円安・社会保障負担
インフレになると、同じ100万円を持っていても、以前と同じ量の商品やサービスを購入できなくなります。
食料品、水道光熱費、日用品など、生活に欠かせないものの価格が上昇すれば、家計への負担は増えていきます。
円安も同じです。
日本はエネルギーや原材料などを海外から輸入しているため、円の価値が下がれば輸入コストが上昇する要因になります。
さらに、高齢化が進む中では、税金や社会保険料などの負担についても考えなければなりません。
つまり、
収入が増えることだけを考えていては、将来の生活を守れない可能性がある
ということです。
2.賃金が上がっても、オーナー利益が増えるとは限らない
最近は賃金上昇のニュースをよく目にします。
働く側にとって、賃金が上がることは重要です。
しかし、コンビニオーナーにとっては、スタッフの賃金上昇は人件費の増加でもあります。
そのため、
賃金上昇=オーナー利益の増加
ではありません。
売上の伸びより人件費の上昇が速ければ、利益は圧迫されます。
ここが、これからのコンビニ経営を考えるうえで非常に重要なポイントです。
3.セブン‐イレブンでは加盟店利益が2年連続で減少
実際に、セブン‐イレブンでは売上が伸びる一方で、加盟店利益が2年連続で減少したと報じられています。
2025年度の全店平均日販は69万9,000円で、前年度から7,000円増加しました。
それにもかかわらず、加盟店利益は2年連続の減少となりました。
利益減少には、人件費だけでなく水道光熱費など、さまざまな要因が考えられます。
その中でも大きいのが、
人件費の上昇に対して、売上の伸びが十分ではなかったこと
です。
2025年度の最低賃金は前年比6.3%上昇した一方、セブン‐イレブンの平均日販の増加は7,000円でした。
参考:ITmedia ビジネスオンライン「セブン‐イレブン、加盟店利益が2年連続減」
もちろん、加盟店利益の減少を一つの要因だけで説明することはできません。
しかし、
売上が増えても利益が増えるとは限らない
という現実は、コンビニ経営者として無視できません。
4.Cタイプでは、この問題をさらに考える必要がある
セブン‐イレブンのCタイプは、本部が土地・建物を用意することで、比較的少ない自己資金から開業できるというメリットがあります。
一方で、オーナーが人件費などの営業費を負担するため、売上や粗利益が伸びても、それがそのまま利益として残るわけではありません。
特に、
インフレによる売上・粗利益の上昇より、最低賃金の上昇ペースが速い
という状態が続けば、時間が経つほど利益が圧迫される可能性があります。
第134話でも、この問題について詳しく書きました。
5.5年間の推移を数字で考えてみる
では、この問題を数字で考えてみます。
以下は、
- 平均日販・GP:年2%程度上昇
- 時給:年5%程度上昇
という一定の条件を置いたシミュレーションです。
| 現在 | 1年後 | 2年後 | 3年後 | 4年後 | 5年後 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 平均日販 | 65.0万 | 66.3万 | 67.6万 | 69.0万 | 70.4万 | 71.8万 |
| 月間GP | 604.5万 | 616.6万 | 628.9万 | 641.5万 | 654.3万 | 667.4万 |
| 時給 | 1,200円 | 1,260円 | 1,323円 | 1,389円 | 1,459円 | 1,532円 |
| Aタイプ利益 | 194.6万 | 193.4万 | 191.9万 | 190.3万 | 188.3万 | 186.1万 |
| 現行Cタイプ利益 | 88.7万 | 84.7万 | 80.3万 | 75.7万 | 70.8万 | 65.5万 |
| 新制度利益 | 81.7万 | 76.2万 | 70.4万 | 64.3万 | 57.8万 | 50.9万 |
※一定の条件を置いた試算であり、実際の店舗利益を保証するものではありません。
ここで注目してほしいのは、
平均日販も月間GPも増えているのに、Cタイプの利益は減っている
ことです。
平均日販は、
65万円 → 71.8万円
月間GPは、
604.5万円 → 667.4万円
まで増えています。
それでもCタイプ利益は、
88.7万円 → 65.5万円
まで減少します。
新制度の場合も、
81.7万円 → 50.9万円
という試算です。
つまり、
「売上を伸ばせば大丈夫」という時代ではなくなりつつある
ということです。
前半のまとめ
これからのコンビニ経営で怖いのは、売上が減ることだけではありません。
売上が増えているのに、利益が減ることです。
インフレによって売上が伸びても、最低賃金や人件費の上昇がそれを上回れば、オーナーの利益は徐々に圧迫されます。
そして、これが何年も続けば、真面目に経営しているオーナーでも少しずつ余裕を失っていく可能性があります。
では、本部はこの問題にどう対応しようとしているのでしょうか。
そして、私たちオーナーは、まだ利益を出せている今、何をしておくべきなのでしょうか。
後半では、新制度をどう考えるのか、そして新NISAなどを活用して、なぜ今から資産形成をする必要があるのかを考えます。
6.本部も次の時代に向けて動き始めている
前半では、インフレや最低賃金の上昇によって、コンビニオーナーの利益が圧迫される可能性について考えました。
では、本部は何も対策をしていないのでしょうか。
私は、そうは考えていません。
2026年6月、セブン‐イレブン・ジャパンは新しい契約タイプを発表しました。
本部は、新契約タイプについて、複数店経営や新規加盟の促進、加盟店と本部双方の持続的成長を目的としていると説明しています。
開始は2027年秋ごろの予定です。
セブン‐イレブン・ジャパン「新たな加盟店契約タイプの導入について」
私は、この制度変更を否定するつもりはありません。
むしろ、本部が環境変化を認識し、制度を変えようとしていることは評価しています。
7.新制度は既存店にそのまま適用されるわけではない
ここは非常に重要です。
新契約タイプが発表されたからといって、現在営業している既存店の契約が新制度に変わるわけではありません。
公式発表では、既存店への適用予定はなく、既存オーナーが新たに複数店を出店する場合、その新規店舗に新契約タイプが適用されます。
つまり、
「新制度が発表された=現在の店舗の利益が改善される」
ということではありません。
現在Cタイプで営業しているオーナーは、現在の契約条件を前提に将来を考える必要があります。
8.新契約タイプでは何が変わるのか
現行Cタイプでは、
- 250万円以下の部分:56%
- 250万円超~400万円以下の部分:66%
- 400万円超~550万円以下の部分:71%
- 550万円超の部分:76%
というチャージ体系です。
一方、新契約タイプでは、
- 400万円以下の部分:53%
- 400万円超の部分:67%
となります。
さらに、
- 契約期間:15年 → 10年
- 24時間営業:月額20万円減額
- 1号店を除く複数店:1店あたり月額10万円減額
- 水道光熱費:本部80%・加盟店20% → 本部50%・加盟店50%
- 不良品原価相当額:本部15%・加盟店85% → 本部50%・加盟店50%※本部負担上限あり
などの変更があります。
加盟店にとって、これらは一定のメリットがあります。
しかし、私はこれだけで根本的な問題が解決するとは考えていません。
9.第134話でも述べた「延命処置」という側面
第134話でも書きましたが、今回の新制度には、
現在の厳しい経営環境を乗り切るための「延命処置」という側面もある
と私は考えています。
もちろん、新制度を否定する意味ではありません。
負担を軽減して時間を作ることは非常に重要です。
ただし、
最低賃金が今後も上昇するという構造そのものがなくなるわけではありません。
売上・粗利益の成長より人件費の上昇が速い状態が続けば、再び利益が圧迫される可能性があります。
だから最終的には、
時代に合わせた新しいビジネスモデル
が必要になるのだと思います。
10.私は、本部が次世代の仕組みを作ることを信じている
私は、本部が何も考えていないとは思っていません。
人口減少、人手不足、最低賃金の上昇、インフレ。
こうした問題に対して、本部も次の時代に向けた仕組みを考えていると思います。
私は、
セブン‐イレブンは、これからも時代に合わせてビジネスモデルを変えていく
と信じています。
ただし、経営者として一つ問題があります。
それは、
不明確な未来は、経営計画に組み込めない
ということです。
「将来もっと効率化されるだろう」
「新しい仕組みができるだろう」
という期待はできます。
しかし、その期待を現在の利益として計算することはできません。
だから、
本部の未来は信じる。
しかし、自分の経営計画は現在の制度を前提に考える。
この両方が必要だと思っています。
11.「まだ戦える」からこそ、今から準備する
私は、
「コンビニ経営はもうダメだ」
と言いたいわけではありません。
現在の制度でも、まだ戦える店舗はあります。
新制度や加盟年数に応じたインセンティブなどによって、現在の働き方でもまだ数年間は戦える可能性があります。
だからこそ重要なのは、
その時間をどう使うか
です。
利益がなくなってから考えるのではなく、
利益がまだ残っている今から準備する。
私は、これが非常に重要だと考えています。
12.資産形成には「新NISA」を活用する
では、具体的に何をすればいいのでしょうか。
私は、資産形成を始めるなら、まず新NISAを活用することを検討すべきだと思っています。
現在のNISAでは、
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 合計:年間最大360万円
- 非課税保有限度額:1,800万円
- そのうち成長投資枠:1,200万円まで
となっています。
NISAの大きなメリットは、投資によって得られる配当や売却益などが非課税になることです。
通常の課税口座では、上場株式の配当や譲渡益には税金がかかります。
しかし、NISAの非課税枠を利用すれば、その範囲内で税負担を抑えながら長期的な資産形成を行うことができます。
だからこそ、
「コンビニ経営で得た利益の一部を、将来のための資産へ移す」
という考え方とNISAは相性がいいと私は考えています。
13.夫婦でNISAを活用する
NISAの非課税保有限度額は1人につき1,800万円です。
したがって、夫婦それぞれがNISAを活用すれば、世帯として最大3,600万円の非課税保有限度額を持つことができます。
ただし、成長投資枠は1人あたり1,200万円までです。
そのため、夫婦でそれぞれ1,200万円を成長投資枠に投資することは可能ですが、それだけで1人1,800万円の枠をすべて使い切るわけではありません。
ここでは、分かりやすい例として、
夫婦それぞれ1,200万円、合計2,400万円
を長期的な資産として保有するケースを考えてみます。
14.2,400万円を5%で運用するとどうなるか
例えば、夫婦合計2,400万円を高配当株などで運用し、
平均5%の配当利回りが得られた
と仮定します。
すると、
2,400万円 × 5% = 年間120万円
です。
月換算すると、
年間120万円 ÷ 12か月 = 月10万円
となります。
もちろん、これはあくまでシミュレーションです。
株価は変動します。
配当金も減配・無配になる可能性があります。
5%の配当利回りが将来にわたって維持されることも保証されません。
したがって、
「5%なら必ず年間120万円もらえる」
という意味ではありません。
ここでは、
「もし平均5%の配当収入を得られる資産を作れたら、どれくらいの余力になるのか」
を考えています。
15.年間120万円あれば、2年以上の利益減少を補える
ここで、前半の5年間シミュレーションとつながります。
仮にCタイプの店舗で、
毎年50万円ずつ利益が減少する
とします。
すると、
50万円 × 5年 = 250万円
です。
一方、年間120万円の配当収入があれば、
120万円 ÷ 50万円 = 2.4年
となります。
つまり単純計算では、
年間50万円ずつ本業の利益が減少しても、年間120万円の配当収入があれば、2.4年分の利益減少に相当する
ことになります。
もちろん、実際には配当をすべて補填に使う必要はありません。
再投資してもいい。
現金として残してもいい。
生活費に使ってもいい。
重要なのは、
本業とは別に年間120万円を生み出せる可能性のある資産を持っている
ということです。
16.資産形成は「利益が減ってから」では遅い
ここで重要なのが、時間です。
利益が減ってから、
「資産形成を始めよう」
と思っても、すぐに2,400万円の資産を作ることはできません。
だからこそ、
まだ利益を出せているうちに準備する
必要があります。
今の利益から少しずつ資産へ移す。
新NISAを活用する。
長期で運用する。
そして、将来、本業の利益が減ったときに、その資産が支えになる。
これが資産形成の大きな意味だと思っています。
17.資産形成によって「時間」を買う
私は、資産形成のメリットは、お金そのものだけではないと思っています。
「時間」を買えること
も大きなメリットです。
本業の利益が大きく減ったとき、資産収入がなければ、
「すぐに何とかしなければならない」
という状況になるかもしれません。
しかし、一定の資産があれば、
「少し様子を見る」
「経営改善の時間を取る」
「本部の新制度を待つ」
「別の事業を考える」
といった選択肢が生まれます。
つまり、
資産があることで、追い込まれてから判断するのではなく、余裕を持って判断できる
ようになります。
18.真面目に働いても、未来を見据えた計画がなければ追い込まれる
私は、真面目に働くことを否定しているわけではありません。
売上を伸ばす。
発注精度を上げる。
人件費を管理する。
廃棄を減らす。
スタッフを大切にする。
こうした努力は、これからも必要です。
しかし、
真面目に働いているだけでは、未来を守れない可能性があります。
なぜなら、自分ではコントロールできない環境変化があるからです。
インフレ。
最低賃金の上昇。
人手不足。
水道光熱費の上昇。
社会保障負担。
制度変更。
どれだけ努力しても、自分一人でこれらを止めることはできません。
だから、
「今日を頑張ること」と「未来を準備すること」
の両方が必要なのです。
19.資産形成は「コンビニを辞めるため」ではない
私は、資産形成をコンビニ経営から逃げるためのものだとは考えていません。
むしろ、
コンビニ経営を続けるためのリスク管理
だと考えています。
本業で利益を出す。
その利益の一部を資産に変える。
時間をかけて資産を育てる。
そして、将来の選択肢を増やす。
コンビニ経営が順調なら、そのまま続ければいい。
環境が厳しくなったら、資産を支えにして次の選択肢を考えればいい。
20.本部を信じることと、自分で備えることは両立できる
私は、セブン‐イレブンの将来を悲観しているわけではありません。
本部がこれからも時代に合わせて新しいビジネスモデルを作っていくことを期待しています。
しかし、
「本部が将来どう変えるか」
は、自分では決められません。
だから、自分で決められることを今からやっておく。
店舗経営を改善する。
利益を守る。
借入や支出を管理する。
そして、余裕があるうちに資産を作る。
これは、本部を信用していないからではありません。
未来が分からないからこそ、自分自身でも備えておく。
経営者としてのリスク管理です。
おわりに
「真面目に働けば何とかなる」
私は、この言葉を完全に否定するつもりはありません。
真面目に働くことは、今でも非常に大切です。
しかし、
真面目に働くだけでは、未来を守れない可能性があります。
未来を見据えた計画がなければ、環境が変わったときに少しずつ選択肢を失い、最後には追い込まれてしまう可能性があります。
だから私は、
本業を頑張る。
経営を改善する。
そして、資産を作る。
この3つが必要だと考えています。
本部が次世代のビジネスモデルを作ることを信じる。
現在の制度でも、まだ戦える。
だから、その時間を最大限に利用する。
そして、新NISAなどを活用して、利益の一部を将来の資産へ移していく。
例えば、夫婦で合計2,400万円の資産を作り、仮に年間5%の配当を得られれば、年間120万円の配当収入になります。
これは、年間50万円ずつ本業の利益が減少すると仮定した場合、単純計算で2.4年分に相当します。
もちろん、投資には価格変動や減配などのリスクがあります。
しかし、重要なのは、
「利益が減ってから考える」のではなく、「利益がある今から備える」
ということです。
資産形成は、お金持ちになるためだけではありません。
追い込まれないため。
将来の選択肢を残すため。
経営者として余裕を持って判断するため。
そのための準備でもあります。
真面目に働く。
未来を計画する。
そして、少しずつ資産を作る。
まだ戦える今だからこそ、追い込まれる前に準備する。
私は、それがこれからのコンビニオーナーにとって重要な経営戦略だと考えています。
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