競合店の出店は、コンビニオーナーにとって最も大きな経営リスクの一つです。
「近くにドラッグストアができるらしい。」
「同じ道路沿いにコンビニがオープンする。」
そんな情報が入るだけで、不安になるオーナーは少なくありません。
私自身も、これまで商圏内に何度も競合店が出店する経験をしてきました。
結論から言えば、競合店ができれば売上も利益も影響を受けます。
これは避けることはできません。
だからこそ、「どうすれば売上を落とさないか」を考えるのではなく、「売上が下がることを前提に、どう経営していくか」を考えることが重要だと私は考えています。
競合店は非常に怖い存在
競合店ができると、多くの場合、売上や利益は低下します。
私の経験でも、競合店ができた年は売上が**昨対93%**まで下がりました。
経営者としては決して小さな数字ではありません。
一般的にコンビニの商圏は約500m前後と言われています。
特に住宅地や店舗が密集している地域では、同じ商圏内に競合店ができると影響はさらに大きくなります。
一方で、大型幹線道路や河川、線路など、人の流れを分断する要素がある場合は、比較的影響が小さいケースもあります。
競合はコンビニだけではありません。
大型スーパー、ドラッグストア、小型スーパーも強力なライバルです。
特に価格ではスーパーやドラッグストアに勝つことは簡単ではありません。
コンビニ同士でも取り扱う商品は似ているため、大きな差別化は難しいのが現実です。
信頼関係だけでは売上は守れない
「常連のお客様が多いから大丈夫。」
「接客には自信がある。」
そう考えたい気持ちはよく分かります。
しかし、私はそうは思いません。
どれだけお客様との信頼関係を築いていても、売上は影響を受けます。
現在のお客様は、一つのお店だけを利用する時代ではありません。
価格が安い商品はドラッグストアで購入し、食品はスーパーで買い、必要な時だけコンビニを利用する。
そんな買い回りが当たり前になっています。
お客様が求めているのは、接客だけではありません。
「近い」「便利」「必要な商品がある」「価格に納得できる」。
こうした利便性も、お店を選ぶ大きな理由です。
だからこそ、競合店ができたときは「売上が下がるのは当然」と受け入れることが、最初の一歩だと私は考えています。
最初の2週間は何もしない
競合店がオープンすると、多くのオーナーは焦ります。
発注を変える。
セールを始める。
スタッフへ「もっと頑張ろう」と声を掛ける。
しかし、私は最初の約2週間は普段どおり営業することをおすすめします。
オープン直後は、オープンセールや物珍しさで競合店へお客様が集中します。
この期間だけの数字で判断すると、誤った対策を取る可能性があります。
まずはデータを集めること。
焦らず、冷静に現状を把握することが最優先です。
競合店出店後の行動フロー
| 時期 | やること | やってはいけないこと |
|---|---|---|
| 出店前 | 家計・納税資金・年間予算を確認する | 「何とかなる」と楽観視する |
| オープン~約2週間 | 普段どおり営業し、売上・客数などのデータを集める | 発注やシフトを大きく変更する |
| 約2週間後 | データを分析し、発注や基本スケジュールを見直す | 感覚だけで判断する |
データが集まってから判断する
約2週間が経過すると、売上や客数、カテゴリーごとの変化が見えてきます。
そこで初めて、
- 発注数量
- 基本スケジュール
- 人員配置
- 商品構成
などを見直します。
私は、競合店ができても感情で動くことはしません。
数字を見て判断し、必要なことだけを修正します。
競合店ができたときに一番避けたいのは、オーナーが慌てることです。
オーナーの不安は、そのままスタッフにも伝わります。
だからこそ、冷静にデータを集め、普段どおり営業を続けることが、結果的に店舗全体の安定につながると私は考えています。
店舗の本当の実力が分かるのは1~2年後
競合店がオープンすると、多くのオーナーは「今月の売上」に目が行きます。
しかし、私はオープン直後の数字だけで店舗を評価することはありません。
小売業では、前年と比較した昨対比で店舗の状況を判断するのが基本です。
オープン直後は、オープンセールや物珍しさで競合店へお客様が集中します。
その数字だけを見て、「失敗した」「このまま売上が戻らない」と判断するのは早すぎます。
私が本当に店舗の実力が分かると考えているのは、競合店がオープンして1~2年後です。
もちろん、商圏内に大きな人口変動や再開発などがないことが前提ですが、2年目以降に売上や客数が回復傾向にあれば、自店が競合店より支持され始めている可能性があります。
逆に、1年以上経過しても地区全体の動向より悪い状態が続くのであれば、店舗運営を見直す必要があります。
自店だけで判断してはいけない
売上を分析するときは、自店の数字だけを見るのでは不十分です。
私が必ず確認するのは、地区全体の昨対比です。
もし、自店の昨対比が地区全体を下回っているのであれば、店舗運営に改善できる点があるかもしれません。
反対に、自店の数字が地区全体より良ければ、自店だけの問題ではなく、チェーン全体の動向や市場環境など、外部要因の影響を受けている可能性があります。
つまり、「売上が下がった」という結果だけを見るのではなく、「地区全体と比較してどうなのか」を確認することが重要です。
昨対比の判断基準
| 判断材料 | 考えられる要因 |
|---|---|
| 自店昨対が地区昨対を下回る | 店舗運営や品揃え、発注、販売方法など内部要因を確認する |
| 自店昨対が地区昨対とほぼ同じ | 商圏全体や市場環境の影響が大きい可能性がある |
| 自店昨対が地区昨対を上回る | 競合店に対して優位に営業できている可能性が高い |
※商圏内に大きな人口増減や再開発がないことを前提としています。
私の店舗で実際に起きたこと
私の店舗でも、これまで商圏内に複数の競合店が出店しました。
最も影響を受けたときは、**売上が昨対93%**まで下がりました。
もちろん、不安がなかったと言えば嘘になります。
しかし、その時に私が考えたのは、「競合店を意識しすぎないこと」でした。
発注や基本スケジュールを数字に合わせて少しずつ修正しながら、スタッフには普段どおり営業してもらうことを心掛けました。
焦った雰囲気は、お客様にもスタッフにも伝わります。
だからこそ、オーナーが冷静でいることが大切だと思っています。
その結果、2年目以降は売上が少しずつ回復し始めました。
そして5年後には、競合店が出店する前の売上水準まで戻すことができました。
一方、その競合店だった大手ドラッグストアは閉店しました。
その後、半年ほど空いた同じ場所に、現在は大手小型スーパーが出店しています。
競合は変わっても、経営の基本は変わりません。
数字を分析し、慌てず改善を積み重ねる。
私は、それが長く店舗を守るための一番確実な方法だと考えています。
私の店舗の実例
| 時期 | 状況 |
|---|---|
| 競合店出店 | 商圏内に大手ドラッグストアがオープン |
| 初年度 | 売上は昨対93%まで低下 |
| 2年目以降 | 売上・客数ともに徐々に回復 |
| 5年後 | 競合店出店前の売上水準まで回復 |
| その後 | ドラッグストアは閉店 |
| 現在 | 同じ場所に大手小型スーパーが出店 |
競合店ができたら、最初に見直すのは予算管理
競合店ができると、多くのオーナーは売上ばかり気にしてしまいます。
しかし、私が最初に見直すのは売上ではありません。
予算管理です。
売上が下がれば利益も減ります。
だからこそ、「今の利益で何を守らなければいけないのか」を最初に整理しておく必要があります。
私が最優先で確保するのは、家計と納税資金です。
特に注意しなければならないのが税金です。
税金は今年の売上ではなく、前年の利益を基に計算されます。
つまり、昨年の業績が好調だった場合、今年は競合店の影響で利益が減っていても、高い税金を納めなければなりません。
「利益が減ったから払えません。」
これは通用しません。
だからこそ、競合店の出店が決まった時点で、まず納税資金を確保することが重要です。
次に、家計の年間予算を見直します。
年間で生活費はいくら必要なのか。
そのためには、毎月最低いくらの利益を確保しなければならないのか。
最低限必要な利益が見えれば、その数字を基準に店舗予算を組み直します。
競合店ができても、経営者が冷静な判断を続けられるのは、この予算管理ができているからです。
慌てて動かないことが最大の対策
競合店ができると、不安になるのは当然です。
しかし、その不安はオーナーだけのものではありません。
オーナーが焦れば、その空気はスタッフにも伝わります。
スタッフが不安になれば、接客や店舗の雰囲気にも影響します。
だから私は、競合店ができても普段どおり営業することを心掛けています。
コンビニで扱う商品は、どのチェーンも似ています。
価格だけを比較すれば、スーパーやドラッグストアに勝つことは簡単ではありません。
だからといって、一時的な値引きや無理な販売施策を続けても、長く続けられなければ意味がありません。
私は加盟店として、チェーンのブランドを信じ、自店でできることを積み重ねるしかないと考えています。
競合店は変えられません。
しかし、自店の運営は変えることができます。
数字を見て改善を続けること。
スタッフを動揺させないこと。
そして、いつもどおり営業を続けること。
これが、私が何度も競合店を経験してたどり着いた答えです。
最後に
競合店は非常に怖い存在です。
売上も利益も、ほぼ確実に影響を受けます。
だからこそ、現実から目を背けず、まず受け入れることが大切です。
慌てて行動するのではなく、データを集め、分析し、必要な改善だけを積み重ねる。
私は、この姿勢が結果として店舗を守ることにつながると考えています。
そして、もう一つ忘れてはいけないことがあります。
それは加盟契約の違いです。
同じように売上が5%下がったとしても、Aタイプ契約とCタイプ契約では利益への影響は大きく異なります。
売上だけを見て経営判断をすると、本当に守るべき利益を見誤る可能性があります。
競合店対策では、「売上」ではなく「利益」を見ることが重要です。
この契約条件の違いについては、次回の記事で実際のシミュレーションを使いながら詳しく解説したいと思います。
競合店は避けられません。
しかし、正しい知識と冷静な判断があれば、乗り越えることはできます。
私はこれからも、数字と向き合いながら、一歩ずつ店舗経営を続けていきたいと思います。
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