先日、ダイヤモンド・チェーンストアオンラインに掲載された、
「セブン-イレブンのファッション参入に異議あり」
という記事を読みました。
「セブン-イレブンのファッション参入に異議あり」|ダイヤモンド・チェーンストアオンライン
2026年9月、セブン-イレブンはアンドエスティHDグループのアンドエスティと共同で、ファッション雑貨シリーズを展開しました。
ローソンは無印良品、ファミリーマートは「コンビニエンスウェア」を展開する中、セブン-イレブンもファッション分野へ進出した形です。
では、今回のファッション参入を、現役コンビニオーナーとして私はどう考えるのか。
今回は、**「なぜファッションなのか」「誰をターゲットにしているのか」「未来のコンビニエンスにつながるのか」**という視点から考えてみたいと思います。
セブン-イレブンのファッション参入、その狙いは?
セブン-イレブンは今回の取り組みについて、従来の「緊急時の買い足し」にとどまらず、ファッションを目的に来店してもらうことで、コンビニの「来店価値」を広げる狙いを示しています。
また、これまで十分に接点を持てていなかった若年層、とりわけ20〜40代女性との接点を強化することも明らかにしています。
つまり、単純に衣料品を販売するだけではなく、
「新しい客層にセブン-イレブンへ来てもらう」
という目的があるわけです。
セブン-イレブンの客数はどうなっているのか
そこで気になるのが、
「客数が伸び悩む中で、ファッションによって誰を取り込みたいのか?」
ということです。
セブン-イレブン・ジャパンの2027年2月期の月次営業情報を見ると、既存店客数の前年同月比は、
- 3月 99.0%
- 4月 97.5%
- 5月 100.8%
- 6月 96.5%
- 7月 97.8%
- 8月 98.1%
となっています。
5月は前年を上回っていますが、3月から8月までの6か月のうち5か月は前年を下回っています。
一方で、客単価は前年を上回っており、売上高も多くの月で前年を上回っています。
つまり、
「売上が伸びていても、客数が同じように増えているわけではない」
という状況です。
だからこそ、今回のファッション参入では、
「何を売るのか」だけではなく、「誰に来てもらうのか」
という視点が重要だと思います。
私も「ユニクロが良かった」と思う
今回の記事を読んで、私が感じたのは、
「セブン-イレブンと組むなら、私はユニクロが良かったのではないか」
ということです。
もちろん、アンドエスティHDが悪い会社だと言っているわけではありません。
私がユニクロに魅力を感じる理由は、
品質、ブランド力、そしてコンセプト
です。
ユニクロは、特定の年齢層だけを対象としたブランドではありません。
男性、女性、若い世代から高齢者まで、幅広い人が普段使いできる商品を展開しています。
そして、単なる「ファッション」ではなく、
「普段の生活で使う衣料品」
という分かりやすいコンセプトがあります。
Tシャツ、靴下、下着、インナー、ルームウェアなど、流行を追うためだけではなく、日常生活の中で使う商品が多い。
私は、この
「幅広い人が普段使いできる」
という部分が、セブン-イレブンとの相性を考えるうえで大きいのではないかと思います。
アンドエスティHDとユニクロの違い
ここで、今回の話を考えるうえで、アンドエスティHDとユニクロの違いを整理してみます。
アンドエスティHDは、複数のファッションブランドを展開するマルチブランド型の企業グループです。
GLOBAL WORK、niko and …、LOWRYS FARMなど、さまざまなブランドを展開し、それぞれ異なるテイストや客層に商品を提供しています。
一方、ユニクロは、
「UNIQLO」というブランドを軸に、幅広い人の日常着を提供する
という考え方が特徴です。
あえて大きく分けると、
アンドエスティHD
= 多様なブランド・ファッションを提供する
ユニクロ
= 幅広い人の日常着を提供する
という違いがあります。
もちろん、これはどちらが優れているという話ではありません。
重要なのは、
「セブン-イレブンが衣料品を扱う目的に、どちらの考え方が合っているのか」
ということだと思います。
20代〜40代女性を狙うなら、ユニクロでもよかったのでは?
セブン-イレブンは今回の取り組みで、
若年層、とりわけ20〜40代女性との接点を強化する
としています。
これは明確な戦略です。
ただ、私はここで一つ疑問があります。
「20代〜40代女性を取り込みたいのであれば、ユニクロでも十分にその層に届いたのではないか?」
ということです。
ユニクロは女性向け商品も幅広く展開しており、若い世代から高齢者まで利用できる商品があります。
つまり、
20代〜40代女性を狙いながら、同時に男性や高齢者など、さらに幅広い客層にもアピールできる。
ここがユニクロの大きな特徴だと思います。
客数が伸び悩む中であれば、
「特定の客層を取り込む」だけではなく、「幅広い客層との接点を作る」
という考え方もあってよかったのではないでしょうか。
私は、
幅広い客層にアピールでき、普段使いできる品質が支持されているユニクロ
との組み合わせが良かったのではないかと感じています。
これは、アンドエスティHDが特定の客層しか相手にしていないという意味ではありません。
今回のセブン-イレブンの戦略が「若年層との接点強化」であることに対して、
「その目的なら、20〜40代女性にも届きながら、さらに幅広い客層へ広げられる選択肢もあったのではないか」
という、私自身の考えです。
「服を買いにセブンへ行く」のではない
私がイメージしているのは、
「服を買いにセブンへ行く」
ということではありません。
そうではなく、
「セブンに行ったら、必要な衣料品も買える」
という状態です。
例えば、
- 靴下
- 下着
- Tシャツ
- インナー
- ルームウェア
- 防寒用品
- 雨の日に必要になる商品
などです。
こうした商品は、必ずしも「ファッションを楽しむため」に購入するものではありません。
生活の中で、
「今、必要だから買う」
という商品です。
だからこそ、品質、ブランド力、そして普段使いというコンセプトを持つユニクロとの組み合わせは、セブン-イレブンとの親和性が高かったのではないかと私は感じます。
セブンの店舗網とユニクロの商品力
もちろん、ユニクロにも一つの制約があります。
それは、
「近くに店舗があるとは限らない」
ということです。
ユニクロの商品を買いたくても、近くに店舗がなければ、車で出掛けたり、オンラインで購入したりする必要があります。
一方、セブン-イレブンは2025年度末で国内21,927店舗を展開しています。
もしセブン-イレブンの店舗網を活用して、ユニクロの日常商品を購入できるようになれば、
「ユニクロの商品が、もっと生活圏の近くにある」
という新しい価値を作れる可能性があります。
セブン-イレブンの店舗網と、ユニクロの商品力。
この組み合わせは、単純な「コンビニ×ファッション」ではなく、
「日常生活を支える企業同士の組み合わせ」
になったのではないかと私は思います。
ここで思い出す、鈴木敏文氏の経営思想
ここで思い出すのが、セブン-イレブンの元会長である鈴木敏文氏の経営思想です。
鈴木氏は、
「本当の競争相手はお客様のニーズの変化」
という考え方を示してきました。
また、
「モノマネではついていけない」
という趣旨の発言もしています。
つまり、
「他社がやっているから、自社もやる」
という発想ではなく、
「お客様が何を求めているのか」
を考え、コンビニエンスビジネスそのものを進化させていく。
私はここが重要だと思います。
「他社がやっているから」ではなく「お客様が求めているから」
ローソンが無印良品を扱い、ファミリーマートがコンビニエンスウェアを展開している。
だからセブン-イレブンもファッションをやる。
それだけでは少し物足りない気がします。
むしろ、
「今のお客様は、コンビニに何を求めているのか?」
というところから考えてほしい。
客数が伸び悩む中で、
「どの客層に来てもらうのか?」
そして、
「その人たちに、どんな価値を提供するのか?」
が重要だと思います。
未来のコンビニエンスとは何か
今回の取り組みは、まだ始まったばかりです。
アンドエスティHDとの協業が、これからどのような結果につながるのかは、実際の店舗で見ていく必要があります。
私が今回考えたいのは、
「アンドエスティHDとユニクロ、どちらが良い会社なのか」
という話ではありません。
大切なのは、
「未来のコンビニエンスとして、お客様にどんな価値を提供していくのか?」
ということだと思います。
客数が伸び悩む中で、新しい商品を扱うことで、どんなお客様に来てもらいたいのか。
そして、
「今までになかった、どんな便利を提供できるのか?」
ここが重要なのではないでしょうか。
鈴木敏文氏が大切にしてきた、
「他社のマネをするのではなく、お客様の変化を見る」
という考え方。
今回のファッション参入も、単に「衣料品を売る」という話ではなく、
セブン-イレブンがこれからのコンビニエンスをどう進化させていくのか。
その一つの挑戦なのだと思います。
現役コンビニオーナーとして、これから実際の店舗でどんな変化が起きるのか、注目していきたいと思います。
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