店長と社員の間で起きた「パワハラ騒動」|信頼関係が崩れた組織で学んだこと【第22話】

コンビニ経営

こんにちは、コンビニ大家です。

前回は、2号店の人手不足を解消するため、前職の後輩だった社員を採用した経緯をお話ししました。

その時、私はこう考えていました。

「この人を採用するなら、その人の人生にも責任を持とう。」

前職と同じ給料を保証する。

休日を確保する。

将来は店長を目指してもらう。

そして、店長にも人を支える責任を理解してほしい。

そんな思いで採用を決めました。

新しい社員が入ったことで、それまで休みなく働いていた店長も、少しずつ休めるようになりました。

週に一度は休める体制も整い始めました。

人を採用したこと自体は、間違いではありませんでした。

しかし――

人を採用すれば、人の問題がなくなるわけではありません。

むしろ、ここから新しい問題が始まりました。


店長と社員の間に生まれたズレ

店長は、店舗運営や数字の管理については能力のある人でした。

売上を見る。

人件費を管理する。

発注を考える。

利益を残す。

そうした仕事は、きちんとこなしていました。

一方で、人を育てたり、相手の気持ちを考えながら信頼関係を築いたりすることは、得意ではありませんでした。

以前から私には、

「何度説明しても理解してくれません。」

「こんなこともできなくて困っています。」

と相談することがありました。

私は、そのたびに、

「相手が理解できないなら、伝え方を変える必要がある。」

と伝えていました。

しかし、簡単には変わりません。

新しく入った社員も、真面目に仕事をする人でした。

与えられた仕事は責任を持ってこなします。

ただ、自分から店長の考えを理解しようと歩み寄る姿勢も、十分とは言えませんでした。

何か新しい仕事を任されると、不安を感じたり、不満を抱えたりすることもありました。

つまり、

店長にも問題があり、社員にも問題があった。

私はそう感じていました。

どちらか一方だけが悪い問題ではありません。

お互いに、相手を理解しようとする余裕が足りなかったのです。


「それはパワハラではないですか」

そんな二人の関係を象徴する出来事がありました。

新しい社員を採用したことで、人件費は大きく増えていました。

会社として利益を維持するためには、業務の効率化も必要です。

そこで店長は、自分の判断で深夜勤務を一人体制、いわゆるワンオペに変更することを決めました。

これは私からの指示ではありません。

当時、1号店でも行っていた運営方法でした。

もちろん、誰にでも任せられる仕事ではありません。

深夜のレジ対応。

品出し。

清掃。

発注。

そして、トラブルが起きた時の対応。

一人で一通りの仕事ができることが前提です。

店長は、

「彼ならできる。」

と判断しました。

そして、

「これから深夜勤務はワンオペでお願いします。」

と伝えました。

ところが、新しい社員はその説明を、

「一人では無理な仕事を押し付けられた。」

と受け止めました。

そして店長に、

「それはパワハラではないですか。」

と言ったそうです。

店長は何も言い返せず、私に電話をしてきました。


私が考えたのは「どちらが悪いか」ではなかった

私は、まず二人からそれぞれ話を聞きました。

そこで分かったのは、二人の間に大きな認識のズレがあったことです。

まず、店長にも反省すべき点がありました。

店長は、

「ワンオペでお願いします。」

という結論を伝えただけで、

なぜワンオペにする必要があるのか。

会社の人件費がどういう状況なのか。

なぜ業務効率化が必要なのか。

一人で勤務する場合、どこまでできることを求めているのか。

トラブルが起きた時はどうするのか。

そこまで十分に説明していませんでした。

これでは、社員が不安になるのも無理はありません。

一方で、社員にも改善すべきところはありました。

もし不安があるなら、

「一人でできるか心配です。」

「一度やり方を教えてください。」

「トラブルが起きたらどうすればいいですか。」

そう相談すればよかったのです。

しかし、話し合う前に、

「パワハラではないですか。」

という言葉が先に出てしまいました。

私は、この問題を単純に、

「店長が悪い。」

「社員が悪い。」

と決めることはしませんでした。

問題の本質は、

お互いに説明すること、理解すること、歩み寄ることが足りなかったこと

だと思ったからです。


管理者には「伝える責任」がある

この出来事を通して、私は店長に何度も伝えました。

「指示を出すことだけが店長の仕事ではない。」

人に仕事を任せるなら、

なぜお願いするのか。

何を期待しているのか。

どこまで任せるのか。

困った時はどうするのか。

そこまで伝える必要があります。

人は、理由が分からない仕事を突然任されれば、不安になります。

逆に、理由を理解し、必要なサポートがあれば、難しい仕事にも挑戦できます。

だから私は、

「人を動かす前に、人に伝えることが店長の仕事だ。」

と考えるようになりました。


私が教えていたのは、仕事だけではなかった

その後も、2号店ではさまざまな問題が起きました。

スタッフとの関係。

労務管理。

税金や年末調整。

取引業者とのやり取り。

提出期限。

約束した時間。

一つ問題が解決すると、また次の問題が起きる。

2号店のスタッフ体制が本当の意味で安定するまでには、3年以上かかりました。

私は問題が起きるたびに、店長と話し合いました。

ただし、私がすべて答えを出すことはしませんでした。

まず、

「あなたならどう考える?」

と聞く。

そして、自分で考えて解決することを繰り返してもらいました。

店長として成長してもらうためです。

仕事が終わった後や休日には、管理者として必要な知識も一つひとつ教えました。

スタッフから預かる住民税や所得税。

年末調整。

労務管理。

管理監督者としての責任。

さらに、取引業者への接し方についても何度も話しました。

当時の店長は、業者に対して高圧的な態度を取ることもありました。

私は、

「仕事ができることと、信用されることは違う。」

「期限を守る。」

「約束を守る。」

「相手への感謝を伝える。」

「管理者である前に、一人の社会人として信頼される人になる。」

と何度も伝えました。

正直、

「ここまで社会人としての基礎から教えなければならないのか。」

と思ったことも、一度や二度ではありません。

私は仕事を教えているつもりでした。

しかし、振り返ってみると、教えていたのは仕事だけではありませんでした。

人との向き合い方そのものだったのです。


人は一日では変わらない

もちろん、すぐに変わるわけではありません。

人との接し方。

考え方。

価値観。

そう簡単に変えられるものではありません。

それでも私は、何度も伝えました。

問題が起きるたびに、一緒に考えました。

そして少しずつ、店長自身も、

「自分の伝え方が悪かった。」

「もっと相手の立場を考えなければいけなかった。」

と考えるようになっていきました。

私は、この変化こそが大切だと思っています。

完璧な人間になる必要はありません。

間違えた時に、

「自分にも問題があった。」

と認められること。

そこから人は成長できるからです。


あれから10年以上が経って

あれから10年以上が経ちました。

今では二人とも多くの経験を積み、それぞれの役割を果たしています。

人には相性があります。

考え方の違いもあります。

すべてを理解し合うことは、簡単ではありません。

今でも二人の間に、完全な信頼関係ができているとは私は思っていません。

それでも、私が忘れてほしくないことがあります。

店長が自分の能力を正しく把握できず、心身ともに限界まで追い詰められていた時期がありました。

その状況を救ってくれた一人が、間違いなく新しく入った社員でした。

そして第21話で書いたように、

「彼を採用するなら、その人の人生にも責任を持つ。」

という話をした時、最後に採用を認めたのも店長自身でした。

だからこそ私は、今でも思います。

あの時、自分を支えてくれた人への感謝を忘れないでほしい。

そして、自分が口にした「責任」という言葉の重さを、忘れないでほしい。

ただ、これは店長だけの問題ではありません。

振り返れば、私自身にも反省すべきところがありました。

店長に「人を育ててほしい」と求めるだけではなく、店長自身が人を育てられるようになるまで、もっと早い段階から組織として支えるべきだったのです。

経営者である私にも、

「人を採用した後、どうすればその人たちが一緒に働ける組織になるのか」

を考える責任がありました。


二号店経営で私が学んだこと

第21話では、

「人を採用することは、その人の人生を預かること」

だと書きました。

しかし、実際に採用してみて分かったことがあります。

採用しただけでは、責任を果たしたことにはなりません。

その人が働く環境をつくる。

上司と部下が信頼関係を築けるようにする。

問題が起きた時には、逃げずに向き合う。

そして、管理者自身も成長させる。

そこまで含めて、経営者の仕事なのだと思います。

数字は、努力すれば改善できます。

仕組みも、時間をかければ整えられます。

しかし、

人と人との信頼関係は、仕組みだけではつくれません。

お互いが歩み寄り、相手を理解しようとすることで、少しずつ築かれていくものです。

私は2号店の経営を通して、その難しさを身をもって経験しました。

そして同時に、

人を育てることは、経営者が一方的に教えることではない。

ということも学びました。

相手を変えようとするだけでは、人は変わりません。

経営者自身も、管理者自身も、そして働く側も、それぞれが自分の役割を考えなければ、組織は良くなりません。

だから私は今でも、

経営とは、利益をつくることだけではない。

と思っています。

人を育て、人から信頼される組織をつくること。

それもまた、経営者に与えられた大切な仕事です。

そして2号店の経験は、その後の私の「人の見方」を大きく変えることになりました。

人への責任の考えは今後もっと難しくなる 責任を持てない人材は採用すべきではない

はい。この考えは第22話の最後に入れる価値があります。
むしろ今回の話を単なる「昔のパワハラ騒動」で終わらせず、現在の経営にもつながる教訓にできます。

ただし、「責任を持てない人材は採用すべきではない」とだけ書くと少し厳しく見えるので、採用する側・される側の双方に責任があるという形にすると説得力が増します。

第22話の終盤をこう変更するのがおすすめです


これからの時代、人を採用する責任はもっと重くなる

今回の経験を通して、私は人を採用することについて、以前よりも慎重に考えるようになりました。

これからは、人を採用することの責任は、さらに重くなっていくと思っています。

人手不足だからといって、

「誰でもいいから採用する。」

という考え方では、経営は続きません。

一人を採用すれば、人件費が発生します。

教育する時間も必要です。

その人と一緒に働くスタッフもいます。

そして、もし管理者として採用するのであれば、その人の判断によって会社やスタッフの生活まで影響を受けることになります。

だから私は今、

「採用する側にも、採用される側にも責任がある。」

と考えています。

会社は、その人を成長させる環境を用意する責任があります。

教育する責任もあります。

必要なサポートをする責任もあります。

しかし同時に、働く側にも、

「自分も責任を背負う。」

という覚悟が必要です。

何か問題が起きた時に、

「会社が何とかしてくれる。」

「上司が解決してくれる。」

という考えだけでは、組織は成り立ちません。

もちろん、会社がすべての責任を個人に押し付けてはいけません。

しかし、自分の仕事や判断について、最後まで向き合う姿勢は必要です。

だから私は、これからの採用では、

「仕事ができるか」だけではなく、「責任を背負える人か」を見ることが、ますます重要になる

と考えています。


責任を持てない人を、安易に採用してはいけない

人手不足になると、

「とにかく人が欲しい。」

そう考えてしまいます。

私自身も、過去にはそうなりかけたことがあります。

しかし、今回の経験を振り返ると、

責任を持つ覚悟のない人を、安易に採用するべきではない。

そう思います。

これは、その人を否定しているわけではありません。

まだ責任を背負える状態ではないのであれば、その人に合った仕事や役割を考える必要があります。

特に店長や社員など、他の人を管理する立場であればなおさらです。

自分の判断に責任を持つ。

人の生活に責任を持つ。

会社の信用に責任を持つ。

問題が起きた時に逃げずに向き合う。

それができない人に、安易に管理者の立場を任せてはいけない。

そして、それを見極めることも、

経営者である私の責任です。


私自身も、この経験で考え方が変わった

以前の私は、

「人は育てれば変わる。」

そう強く信じていました。

もちろん、人は成長します。

環境が変われば、考え方が変わることもあります。

私自身も、たくさんの失敗を経験して変わってきました。

しかし、

本人に変わる意思がなければ、周囲がどれだけ教えても変えることはできません。

経営者ができるのは、

成長する機会を与えること。

必要な教育をすること。

挑戦する環境をつくること。

そして、その人が責任を背負えるかを見極めることです。

最終的に責任を背負うのは本人です。

この経験から、私はそう考えるようになりました。


最後の締め

そして私は今でも思っています。

経営とは、人を採用することではありません。

人を信じ、育て、そして責任を持って任せることです。

だからこそ、

「誰を採用するか」

は、経営者にとって最も重要な経営判断の一つです。

人手不足だから採用する。

能力が高いから採用する。

それだけでは足りません。

「この人に責任を任せられるか。」

そこまで考えて採用する。

それが、長く会社を続けるために必要なことなのだと、私はこの2号店の経験から学びました。

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