こんにちは、コンビニ大家です。
新しい社員が入社したことで、会社はようやく最悪の状況を脱することができました。
それまで休みなく働き続けていた店長も、少しずつ睡眠時間を確保できるようになり、週に一度は休める体制が整い始めました。
もちろん、一人社員が増えただけで、すべての問題が解決したわけではありません。
しかし、店長が倒れることなく店舗運営を続けられるようになったことは、この採用の大きな成果でした。
一方で、本当の課題はここから始まります。
店長と社員のすれ違い
店長は店舗運営や数値管理はできる人でした。
しかし、人を育てることや、相手を理解しながら信頼関係を築くことは得意ではありませんでした。
以前から私には、
「何度説明しても理解してくれません。」
「こんなこともできなくて困っています。」
と相談することがよくありました。
一方、新しい社員も真面目に仕事へ取り組んでいました。
与えられた仕事は責任を持ってこなします。
しかし、自分から店長の考えを理解しようと歩み寄る姿勢は、私にはあまり感じられませんでした。
何か新しい仕事を任されるたびに、不安そうな表情を見せたり、不満を抱えたまま受け入れたりすることもありました。
お互いに相手を理解しようとする姿勢が足りなかったのです。
店長は口では、
「社員は大切にしなければいけない。」
と言っていました。
しかし、実際に自分から信頼関係を築こうと行動していたかと言われれば、十分ではありませんでした。
私は以前から思っています。
信頼は部下から生まれるものではありません。
まず管理者が歩み寄り、相手を理解しようとすること。
それが信頼関係の第一歩です。
「パワハラではないですか」
そんな二人の関係を象徴する出来事がありました。
新しい社員を採用したことで、人件費は大きく増えていました。
利益を維持するためには、業務の効率化が必要です。
そこで店長は、自らの判断で深夜勤務を一人体制(ワンオペ)へ変更することを決めました。
これは私の指示ではありません。
当時、一号店でも実施しており、地区内でも珍しい運営方法ではありませんでした。
もちろん、誰にでも任せられる仕事ではありません。
深夜業務を一人でこなし、レジ、品出し、清掃、発注など一通りの仕事ができること。
そして、万が一のトラブルにも対応できること。
店長は、新しい社員なら十分できると判断していました。
そこで、
「これから深夜勤務はワンオペでお願いします。」
と伝えました。
しかし、新しい社員は、
「一人では無理な仕事を押し付けられた。」
と受け止めたそうです。
そして返ってきた言葉は、
「それはパワハラではないですか。」
店長は何も言い返せず、私へ電話をかけてきました。
双方に原因があった
私は双方から話を聞きました。
まず、店長にも反省すべき点がありました。
店長は結論だけを伝え、その理由を十分説明していませんでした。
なぜワンオペにする必要があるのか。
会社の状況。
業務効率化の目的。
仕事の進め方。
トラブル時の対応。
そこまで説明していれば、新しい社員の受け止め方も違っていたと思います。
一方で、新しい社員にも改善すべき点はありました。
不安があるのであれば、
「一人でできるか心配です。」
「どう進めればいいですか。」
そう相談すればよかったのです。
しかし、理解しようとする前に、
「パワハラではないですか。」
という言葉が先に出ました。
私は彼に伝えました。
業務上必要で合理的な指示を出すことが、直ちにパワハラになるわけではありません。
また、根拠なくパワハラと決めつけて管理者が必要な指示を出せなくなる状況は、組織として健全ではありません。
本来であれば、この問題は私が間に入らなくても、店長と社員が話し合い、解決できる内容だったと思います。
私が教えていたのは仕事ではなかった
結果として、二号店のスタッフ体制が本当の意味で安定するまでには、3年以上の時間がかかりました。
問題が起きるたびに店長と話し合い、まずは店長自身が考え、自ら解決することを繰り返しました。
私が答えを出すのではなく、管理者として成長してもらうことを優先したのです。
仕事が終わった後や休日には、管理監督者として必要な知識も一つひとつ教え直しました。
管理監督者としての責任。
スタッフから預かる住民税や所得税の仕組み。
年末調整の流れ。
こうした手続きを間違えたり、提出を忘れたりすれば、スタッフの会社に対する信用は簡単に失われます。
さらに、取引業者への接し方も何度も指導しました。
当時の店長は、業者に対して高圧的な態度を取ることがありました。
提出期限を守ること。
約束した時間を守ること。
相手への感謝を伝えること。
どれも社会人として当たり前のことです。
私は何度も伝えました。
「仕事ができることと、信用されることは違う。」
「期限や約束を守れない人は、スタッフからも取引業者からも信用されない。」
「管理者である前に、一人の社会人として信頼される人間にならなければならない。」
正直に言えば、
「ここまで社会人としての基礎から教え直さなければならないのか。」
そう感じたことは、一度や二度ではありませんでした。
私は仕事を教えているつもりでした。
しかし、振り返ると教えていたのは仕事ではありませんでした。
期限を守ること。
約束を守ること。
人への接し方。
感謝を伝えること。
責任から逃げないこと。
社会人として当たり前と言われることばかりでした。
それでも私は諦めませんでした。
人は一日では変われません。
だからこそ、何度でも伝え、何度でも向き合い続けました。
余談ですが
あれから10年以上が経ちました。
今では二人とも経験を積み、それぞれの役割を果たしています。
しかし、私から見ると、店長は今でも新しい社員を心から認めているようには見えません。
表面上は普通に接していますが、自分から歩み寄ろうとする姿勢は、あまり感じられません。
人には相性があります。
考え方の違いもあります。
だから、すべてを理解し合うことは難しいのかもしれません。
それでも、忘れてはいけない事実があります。
店長が自分の能力を正しく把握できず、心身ともに限界まで追い詰められていたあの頃。
その状況を救ってくれた一人が、間違いなく彼でした。
そして、
「彼を採用するなら、その人の人生にも責任を持つ。」
そう私に覚悟を示したのも、店長自身です。
だから私は今でも願っています。
あの時救ってくれたことへの感謝を忘れず、自分が口にした責任の重さを、もう一度思い出してほしい。
そして、管理者としてだけではなく、一人の人間として、もう一歩彼に歩み寄ってくれることを期待しています。
私は二号店経営を通じて、多くのことを学びました。
数字は努力で改善できます。
仕組みも時間をかければ整えられます。
しかし、人と人との信頼関係だけは、お互いが歩み寄ろうとしなければ築くことはできません。
経営とは、利益をつくることだけではありません。
人を育て、人から信頼される組織をつくること。
それが、二号店経営で私が学んだ最も大きな教訓でした。
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