「個人事業主と法人、どちらが有利ですか?」
コンビニオーナーから、この質問を受けることがよくあります。
私の答えはシンプルです。
「事業の規模や利益、そして将来どのような経営を目指すのかによって変わる。」
法人だから有利。
個人事業主だから有利。
そんな単純な話ではありません。
私は10年以上コンビニを経営し、資産形成を続ける中で、税理士と何度もシミュレーションを重ねてきました。
その結果、現在の私にとっては、
「コンビニ事業は個人事業主」「不動産事業は法人」
という形が最も合理的だという結論に至っています。
今回は、その理由を私自身の経験を交えながらお話しします。
個人事業主だからこそできること
私が個人事業主の最大のメリットだと感じているのは、
利益・税金・キャッシュフローを自分で設計しやすいことです。
例えば、事業で使用する車やパソコン、通信機器などは、税法上の要件を満たせば必要経費として計上できます。
コンビニは消費税の課税事業者です。
例えば、事業で使用する税込330万円(税抜300万円)の新車を購入した場合、支払った30万円の消費税は、一定の要件を満たせば仕入税額控除の対象となり、納付する消費税を抑えられる可能性があります。
さらに、車両本体300万円は普通乗用車であれば法定耐用年数6年で減価償却を行うため、毎年必要経費として計上できます。
つまり、一つの設備投資でも、
- 事業の効率を高める
- キャッシュフローを改善する
- 消費税負担を軽減できる可能性がある
- 利益を計画的にコントロールできる
という複数の効果が期待できます。
もちろん、節税だけを目的に設備投資をすることは本末転倒です。
必要だから投資する。
その結果として税務上のメリットも受けられる。
私は、この順番がとても大切だと思っています。
また、会社員の場合は、一般的に仕事で使用する車やパソコンなどを、自分の判断で必要経費として計上することはできません。
給与所得控除という制度はありますが、事業に必要な投資を自ら計画し、利益や税負担まで考えながら経営できることは、個人事業主ならではの魅力です。
だから私は、個人事業主の魅力は単に節税ではなく、
「制度を理解し、お金が一番残る仕組みを自分で設計できること」
だと考えています。
一方で、大きなデメリットもあります
もちろん、個人事業主にはデメリットもあります。
私が最も大きいと感じているのは、
国民健康保険料の負担です。
国民健康保険料は所得に応じて増えるため、利益が増えるほど負担も大きくなります。
自治体によって異なりますが、年間100万円を超えるケースも珍しくありません。
さらに、会社員が加入する健康保険と比べると、保障内容にも違いがあります。
例えば、会社員の健康保険には、一定の条件を満たせば傷病手当金などの制度があります。
一方、国民健康保険では、こうした給付は原則としてありません。
つまり、病気やケガなどで働けなくなった時の備えは、自分自身で準備しておく必要があります。
だから私は、
- 生活防衛資金を準備する
- 資産形成を続ける
- 配当金や家賃収入など複数の収入源を作る
この3つを特に大切にしています。
個人事業主は自由度が高い反面、自己責任も大きい働き方です。
社会保険という選択肢もある
現在、私の店舗では、加入要件を満たしたスタッフは社会保険へ加入しています。
一方で、私は個人事業主として国民健康保険へ加入しており、自身は社会保険へ加入していません。
社会保険には傷病手当金など、国民健康保険より手厚い保障があります。
しかし、その一方で会社負担分と本人負担分の保険料が発生します。
利益がそれほど大きくない段階では、その負担が毎月のキャッシュフローを圧迫することもあります。
だから私は、
- 所得税
- 住民税
- 国民健康保険料
- 社会保険料
- キャッシュフロー
まで含めて毎年シミュレーションしています。
税金だけを見ても、本当の答えは見えてきません。
「最終的に手元へいくら残るのか」
そこまで考えることが、経営では何より重要だと思っています。
私は「個人」と「法人」を使い分けています
ここまで個人事業主のメリットをお話ししてきましたが、私は法人化を否定しているわけではありません。
実際に、不動産事業は法人で運営しています。
つまり、
個人事業主が良いと言っているのではありません。
事業によって最適な形は違うということです。
私の場合は、
- コンビニ事業は個人事業主
- 不動産事業は法人
という形を選択しています。
また、加盟店支援制度の見直しなどにより、以前よりコンビニ経営は改善していくことを期待しています。
その点は前向きに評価しています。
しかし私は、常に10年後を見据えて経営を考えています。
最低賃金の上昇。
人材不足。
店長育成の難しさ。
こうした課題を考えると、コンビニ事業だけに依存することにはリスクを感じています。
だから私は、コンビニで得た利益を不動産や株式などへ振り分け、一つの収入源に依存しない資産形成を続けてきました。
私が目指しているのは、事業を際限なく拡大することではありません。
穏やかに経営を続けながら、資産を積み上げ、人生の選択肢を増やすこと。
それが、私自身の経営スタイルです。
おわりに
第111話・第112話では、投資や事業経営、税金について私自身の考え方をお話ししてきました。
私は10年以上コンビニ経営を続ける中で、利益だけではなく、税金や社会保険、キャッシュフローまで含めて考えることの重要性を学んできました。
ただ、一つだけお伝えしたいことがあります。
私は税務の専門家ではありません。
この記事でご紹介した内容は、実際の経営経験と税理士とのシミュレーションをもとにした、あくまで私自身の考え方です。
事業内容や利益規模によって、最適な答えは変わります。
一方で、納税は国民の義務です。
「知らなかった」では済まされないことも多く、場合によっては追徴課税や加算税などの負担が生じることもあります。
だからこそ私は、信頼できる税理士と契約し、必ずシミュレーションを行ったうえで判断・実行することを大切にしています。
以前の記事で、
「社労士は必要ですか?」
という質問に対して、
「人を雇うのであれば必要だと思います。」
とお答えしました。
税理士についても同じ考えです。
この規模のコンビニ経営であっても、私は税理士は必要だと考えています。
税理士報酬は決して安いものではありません。
しかし、節税のアドバイス、税務申告の正確性、そして安心して経営に集中できることを考えれば、私は十分に価値のある投資だと感じています。
私が一番伝えたいことは、「節税すること」ではありません。
税金・社会保険・キャッシュフロー・資産形成を一つの仕組みとして考え、長く安心して経営を続けられる環境を作ることです。
それこそが、私が10年以上コンビニ経営を続ける中で学んだ、一番大きな財産です。
経営者は、すべてを一人で抱え込む必要はありません。
専門家と協力しながら、自分は経営に集中する。
それが、10年以上コンビニ経営を続けてきた私がたどり着いた、長く事業を続けるための答えです。
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