なぜ加盟店利益に差が出るのか?|人と店舗オペレーションから考える持続可能なコンビニ経営【第190話】

セブン・ファミリーマート・ローソンの店舗とスタッフを背景に、加盟店利益と店舗オペレーションの違いを考えるイメージ画像 コンビニ経営

コンビニ経営を取り巻く環境は、年々厳しくなっています。

最低賃金の上昇、人手不足、水道光熱費の上昇、物価高。

しかし、これらはセブン‐イレブンだけが抱えている問題ではありません。

ファミリーマートもローソンも、同じ日本で店舗を運営しています。

それでも、近年の加盟店利益を見ると、各社で違いが生まれています。

では、なぜ同じ厳しい環境の中で、利益の結果に差が出るのでしょうか。

私は、その答えを考えるうえで重要なのが、

「人」と「店舗オペレーション」を経営の基準にできているか

という点ではないかと考えています。

最低賃金の上昇は3社に共通する問題

現在、コンビニ経営で大きな負担となっているのが人件費です。

最低賃金は上昇を続け、人手不足も深刻になっています。

さらに、水道光熱費、物流費、商品原価など、店舗を運営するためのコストも上昇しています。

しかし、これらの環境はセブン‐イレブンだけのものではありません。

ファミリーマートもローソンも、同じように人件費や物価上昇の影響を受けています。

つまり、

「環境が厳しいから利益が減った」

だけでは、3社の結果の違いを説明できません。

重要なのは、

厳しい環境の中で、どのように利益を生み出す仕組みを作っているのか

ということではないでしょうか。

社員の人件費が上昇しても加盟店利益の結果は同じではない

各社とも、本部社員の待遇改善や賃上げを進めています。

ファミリーマートでは平均年間給与が上昇し、ローソンも継続的な賃上げを行っています。

つまり、

本部社員の人件費が上昇していること自体は、3社に共通する流れです。

一方、加盟店利益を見ると違いがあります。

ファミリーマートでは平均加盟店利益が5年連続で増加。

ローソンでもオーナー1人あたりの店利益が継続的に増加しています。

一方、セブン‐イレブンでは2024年度、2025年度と加盟店利益が前年を下回りました。

もちろん、これだけで利益の差の原因を断定することはできません。

チャージ制度、商品政策、店舗運営、生産性、出店政策など、さまざまな要因があります。

しかし、少なくとも、

「人件費が上がったから利益が減った」

だけでは説明しきれないことが分かります。

「人件費」を削るだけでは店舗経営は悪循環になる

人件費を単純なコストとして考えれば、削減することが利益改善に見えます。

しかし、店舗で働く人が減れば、残ったスタッフの負担が増えます。

人手不足
↓
スタッフの負担増
↓
店舗オペレーションの不安定化
↓
接客・品出し・発注などへの影響
↓
生産性の低下
↓
利益の低下

という悪循環につながる可能性があります。

逆に、

人への適切な投資
↓
人材の定着
↓
店舗運営の安定
↓
生産性の向上
↓
店舗利益の改善

という好循環も考えられます。

だからこそ、

人件費を単純なコストとして削るのではなく、「人が利益を生み出せる環境」を作ることが重要です。

問題は「時給」だけではなく「必要労働時間」にある

最低賃金が上昇すると、人件費は増えます。

しかし、本当に考えるべきなのは時給だけではありません。

その店舗を営業するために、年間何時間の労働が必要なのか。

ここを明確にする必要があります。

例えば、日販35万円の店舗と日販70万円の店舗では、必要な作業量が同じではありません。

品出し、清掃、レジ対応、発注、商品管理、廃棄処理、各種サービス対応など、売上規模や店舗特性によって必要な作業量は変わります。

だからこそ、

売上に応じて必要な労働時間を考える基準

が必要なのではないでしょうか。

店舗オペレーションの基準がなければ本当の問題は見えない

店舗ごとの必要労働時間が明確でなければ、

「人が足りない」のか、

「作業量が多すぎる」のか、

「必要以上に人を配置している」のか、

判断することが難しくなります。

さらに、オーナー自身が長時間働くことで人件費を抑えている店舗では、帳簿上の利益が出ていても、その利益の一部はオーナー自身の労働によって生み出されている可能性があります。

したがって、店舗の収益性を見るときには、

店舗利益だけでなく、オーナーの労働時間まで含めて考える必要があります。

ここを見なければ、

「利益が出ている店舗」

なのか、

「オーナーが自分の労働を無償に近い形で投入して、利益を作っている店舗」

なのかが分からなくなります。

売上は結果であって、店舗を動かすための基準ではない

コンビニでは、どうしても「売上」が重要な指標になります。

しかし、

売上は結果であって、店舗を動かすための基準そのものではありません。

重要なのは、

その売上を作るために、

何人必要なのか。

何時間必要なのか。

いくら人件費が必要なのか。

そして、

最終的にオーナーにいくら利益が残るのか。

ということです。

例えば、売上を10万円増やすために20時間の追加労働が必要だった場合、その売上増加が本当に店舗利益の改善につながっているのかを検証する必要があります。

反対に、売上を大きく増やさなくても、作業時間や人員配置を見直すことで利益を増やせる場合もあります。

だからこそ、

「売上をいくら増やしたか」ではなく、「どれだけ効率よく利益を残したか」

を見ることが重要になります。

ファミリーマートやローソンの取り組みから考える

ファミリーマートやローソンでは、加盟店利益を重要な経営指標として扱う取り組みが確認できます。

特にローソンは、2020年から経営目標を「売上」から**「加盟店利益」へ変更**し、社員の賞与KPIにも店利益を組み込んでいます。

これは、

本部社員の成果

と

加盟店の利益

をできるだけ同じ方向に向ける考え方です。

ファミリーマートでも加盟店利益の改善が続いており、2025年度には平均加盟店利益が5年連続増益、3年連続で過去最高となっています。

もちろん、これだけで各社の結果をすべて説明できるわけではありません。

ただ、

「何を経営指標として重視するか」

が現場の行動に影響することは考えられます。

現場を活性化するには「利益につながる基準」が必要

現場を活性化するためには、

「もっと売上を上げましょう」

だけでは十分ではないと思います。

現場で働く人が、

何を改善すれば店舗利益が増えるのか

を理解できることが重要です。

例えば、

  • 必要労働時間
  • 人員配置
  • 作業量
  • 人件費
  • 廃棄
  • 光熱費
  • オーナー労働時間
  • 最終利益

を同じ指標で確認できれば、現場の問題を具体的に発見できます。

つまり、

現場を活性化するためには、「頑張ること」ではなく「利益につながる行動」を明確にすることが必要です。

OFC・SVの役割も「売上」から「店舗利益」へ

店舗オペレーションの基準が明確になれば、本部社員の役割も変わります。

例えば、

「もっと売上を上げましょう」

だけではなく、

「この店舗の日販なら、必要労働時間は○時間です」

「現在は○時間なので、○時間超過しています」

「その結果、人件費が年間○万円増えています」

「ここを改善すれば、オーナー利益を○万円改善できます」

というところまで数字で示す。

そうなれば、OFCやSVの役割は、

売上を伸ばすことだけではなく、店舗の生産性とオーナー利益を改善すること

になります。

そして、その改善結果を数字で検証できれば、アドバイスそのものの効果も確認できます。

SEMCで「売上から利益まで」を見える化する

私がSEMCを作っている理由も、ここにあります。

売上がいくらならチャージがいくらになるのか。

それだけでは、店舗経営の本当の姿は分かりません。

その売上を作るために、

何時間の労働が必要なのか。

その労働時間に、

どれだけの人件費が必要なのか。

さらに、

オーナー自身が何時間働いているのか。

そして最終的に、

オーナーにいくら利益が残るのか。

ここまで見る必要があります。

つまり、

売上 → 労働時間 → 人件費 → 店舗利益 → オーナー利益

という流れを見える化することです。

持続可能なビジネスモデルは「人」を起点に考える

コンビニ店舗を動かしているのは人です。

本部社員も人。

OFC・SVも人。

オーナーも人。

パート・アルバイトも人。

そして、お客様も人です。

だからこそ、

人を削って売上を作る経営には限界があります。

人が無理なく働ける。

店舗が安定して運営できる。

オーナーにも適正な利益が残る。

その利益によって、さらに人へ投資できる。

この循環を作ることが、持続可能な経営につながるのではないでしょうか。

まとめ|売上を追う経営から「人と利益」を基準にする経営へ

最低賃金の上昇、人手不足、物価高、水道光熱費の上昇。

これらは、セブン‐イレブン、ファミリーマート、ローソンに共通する問題です。

それでも、加盟店利益の動きには違いがあります。

だからこそ、

「環境が厳しいから利益が減った」

だけで終わらせるのではなく、

「厳しい環境でも利益を生み出せる店舗オペレーションを作れているか」

を見る必要があります。

売上だけを見るのではなく、

人 → 必要労働時間 → 人件費 → 生産性 → 店舗利益 → オーナー利益

という流れで店舗を考える。

そして、本部と加盟店が共通の基準で店舗を見ることができれば、現場で何が起きているのかも見えやすくなります。

売上を増やすことだけが経営ではありません。

人が働き、店舗が利益を生み、その利益がさらに人へ還元される。

この循環を作ることこそ、これからのコンビニに求められる持続可能なビジネスモデルではないでしょうか。

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