コンビニ経営は「店ガチャ」?日販・商圏・最低賃金から考える店舗選び【第169話】

コンビニ経営の店ガチャをテーマに日販・商圏・最低賃金から店舗選びを考えるイメージ コンビニ経営

コンビニオーナーを目指すとき、多くの人が気にするのは、

「どのチェーンに加盟するか」

ではないでしょうか。

もちろん、チャージや契約条件、本部のサポートなどは重要です。

しかし、それと同じくらい重要なのが、

「どの地域の、どの店舗で経営するのか」

です。

同じチェーンでも、店舗によって日販は大きく違います。

そして、その差には、オーナーの努力だけでは変えにくい地域や商圏の違いがあります。


各社の平均日販と地域別の日販

2025年度の全国平均日販は、

  • セブン‐イレブン:約69.9万円
  • ローソン:約59.8万円
  • ファミリーマート:約58.5万円

です。

一方、コンビニ市場の日販は地域によっても差があります。

地域別・チェーン別の日販推計

順位都道府県コンビニ全体セブンローソンファミマ
1東京約73.6万円約81.6万円約69.8万円約68.3万円
2神奈川約69.0万円約76.6万円約65.5万円約64.1万円
3千葉約68.5万円約76.0万円約65.0万円約63.6万円
4福岡約66.4万円約73.6万円約63.0万円約61.6万円
5埼玉約65.8万円約72.9万円約62.4万円約61.0万円
6大阪約65.9万円約73.2万円約62.6万円約61.3万円
7兵庫約62.5万円約69.4万円約59.4万円約58.1万円
8静岡約60.4万円約67.1万円約57.4万円約56.2万円
9愛知約58.7万円約65.2万円約55.8万円約54.6万円
10北海道約57.6万円約64.0万円約54.7万円約53.6万円

※コンビニ全体は公的統計等を基にした参考値。チェーン別は各社の全国平均日販等を基準に算出した参考推計であり、各都道府県のチェーン別実測日販ではありません。

この数字を見ると、

「コンビニなら、どこで経営しても同じ」ではない

ことが分かります。


県平均だけでは店舗の実力は分からない

ここで注意したいのが、都道府県の平均日販です。

例えば静岡県。

県全体で見ると比較的高い水準に見えます。

しかし、静岡県は東西に長く、県内でも商圏が大きく異なります。

静岡県東部は首都圏に近く、人口規模の大きい地域や観光地もあります。

そのため、

東部の比較的高い日販が、県全体の平均を押し上げている可能性があります。

一方、静岡県西部は愛知県との経済圏・生活圏のつながりが強く、

日販も愛知県に近い商圏特性を持つ店舗があります。

つまり、

「静岡県だから日販が高い」

とは一概に言えません。

重要なのは、県名ではなく、

その店舗がどんな商圏にあるのか

です。


コンビニ経営は「商圏選び」が重要

コンビニの売上を考えるとき、見るべきなのは都道府県だけではありません。

駅前なのか。

幹線道路沿いなのか。

住宅地なのか。

工業地帯なのか。

観光地なのか。

商業施設の周辺なのか。

さらに、

人口・昼間人口・交通量・周辺企業・学校・競合店舗・駐車場

なども店舗の売上に影響します。

だから、

「何県でオーナーになるか」だけでは不十分です。

見るべきなのは、

「その店舗が、どんな商圏にあるのか」

です。


魚のいないところで、いくら餌をまいても釣れない

コンビニ経営を釣りに例えると、分かりやすいと思います。

魚のいないところで、いくら餌をまいても魚は釣れません。

もちろん、釣り方を工夫することはできます。

餌を変える。

仕掛けを変える。

釣る時間を変える。

しかし、そもそも魚が少ない場所なら、努力にも限界があります。

コンビニも同じです。

接客を改善する。

売場を改善する。

発注精度を上げる。

従業員を育成する。

こうした努力はもちろん大切です。

しかし、

そもそも来店客が少ない商圏では、努力だけで日販を大きく伸ばすことは簡単ではありません。


オーナーになる前の商圏予測は難しい

では、

「オーナーになる前に商圏を見極めればいい」

と思うかもしれません。

しかし、これも簡単ではありません。

知り合いでもいない限り、オーナーになる前の人が、その商圏の本当の力を正確に判断するのは難しいものです。

特に新規出店の場合は、さらに難しくなります。

過去の店舗実績がないからです。

人口、交通量、競合店、周辺施設などから予測することはできます。

それでも、

実際に何人のお客様が来店し、日販がいくらになるのかは、店を開けてみなければ分からない部分があります。

だから、新店にはどうしても不確実性があります。


一番判断しやすいのは「実績のある既存店」

では、これからオーナーを目指す人にとって、比較的判断しやすい店舗はどんな店でしょうか。

一つの有力な選択肢が、

既存店で、過去の日販実績が高い店舗を引き継ぐこと

です。

既存店なら、

  • 過去の日販
  • 客数
  • 売上の推移
  • 周辺競合
  • 時間帯別の動き

など、実際の営業実績を確認できます。

新店のように、ゼロから日販を予測する必要がありません。

もちろん、オーナーが変われば日販が変わる可能性もあります。

それでも、

「実績がある」ということは大きな判断材料です。


高日販店を引き継げるかは「タイミングと運」もある

問題は、

高日販の既存店が、いつでも募集されているわけではない

ことです。

優良店舗ほど、現在のオーナーが長く経営している場合もあります。

そのため、

  • オーナーの引退
  • 契約更新
  • 店舗の募集時期
  • 本部の店舗政策
  • 自分自身の加盟タイミング

などが関係します。

つまり、

「高日販店を引き継ぎたい」と思っても、自分がオーナーになりたいタイミングで、その店が空いているとは限りません。

ここには、どうしても

タイミングと運

があります。


高日販店舗は「プラスの循環」が生まれやすい

高日販店舗には、もう一つ大きな特徴があります。

それは、

プラスの循環が生まれやすい

ことです。

売上がある
↓
利益を確保しやすい
↓
人員や売場に投資できる
↓
店舗の状態が良くなる
↓
お客様の満足度が上がる
↓
さらに売上につながる

こうした循環が生まれれば、

「もっと良い店にしたい」

というオーナーのモチベーションも上がりやすくなります。


低日販店舗は「削る作業」が中心になりやすい

一方、低日販店舗では逆の循環が起こることがあります。

売上が少ない
↓
利益が残りにくい
↓
人件費などを削る
↓
店舗運営に余裕がなくなる
↓
売場やサービスを維持しにくくなる
↓
さらに売上が伸びにくくなる

つまり、

マイナスの循環

です。

もちろん、低日販だから必ずこうなるわけではありません。

しかし、

「何を改善すれば売上が伸びるか」より、「どこを削れば利益を残せるか」

を考える時間が増えてしまうことがあります。

これが低日販店舗の厳しいところです。


最低賃金の上昇は「お店の寿命」にも関わる

そして、これから特に重要になるのが最低賃金の上昇です。

最低賃金が上がれば、店舗の人件費は上昇します。

売上が同じでも、

人件費が増える → 利益が減る

ということになります。

高日販店舗であれば、売上にある程度の余力があるため、人件費の上昇を吸収できる可能性があります。

一方、低日販店舗では、もともとの利益に余裕がないため、

最低賃金の上昇が、そのまま店舗利益を圧迫しやすくなります。

さらに人件費を削ろうとして人員を減らせば、オーナー自身の負担が増えたり、店舗運営に影響が出る可能性もあります。

つまり、

低日販店舗では、最低賃金が上がるたびに「削れるもの」が少しずつなくなっていく。

そして最終的には、

「この店舗を、この先も営業し続けられるのか」

という問題にもつながります。

日販の差は、単なる現在の売上の差ではありません。

将来の店舗経営を続けられる余力の差にもなり得るのです。


高日販と低日販では「オーナーの仕事」まで変わる

高日販店舗では、

プラスを積み上げる経営

を目指しやすい。

低日販店舗では、

マイナスを減らす経営

になりやすい。

この違いは、単なる数字の差ではありません。

オーナー自身のモチベーションにも影響します。

頑張った結果が売上や利益として返ってくれば、

「もっと改善しよう」

という気持ちになります。

一方で、頑張っても利益が残らず、コストを削ることばかりを考える状態では、精神的にも厳しくなります。


だからこそ「オーナーになる前」が重要

オーナーになってから努力することは、もちろん重要です。

しかし、

努力で変えられるものと、努力だけでは変えにくいものがあります。

接客、売場、発注、従業員教育。

これらは努力で改善できます。

一方、

人口・交通量・駅の位置・周辺施設・商圏そのもの

をオーナーが自由に変えることはできません。

だからこそ、

努力で変えられるものは、オーナーになってから変える。

努力だけでは変えにくいものは、オーナーになる前に選ぶ。

この考え方が大切なのだと思います。


まとめ|「店ガチャ」はオーナーになってからでは引き直せない

コンビニ経営は、オーナーの努力だけで決まるものではありません。

地域によって日販は違います。

同じ県でも、商圏によって日販は違います。

新店では、その日販を事前に正確に予測することも難しい。

だからこそ、選択肢があるなら、

実績のある高日販店舗を引き継ぐこと

は、一つの有力な選択肢になります。

ただし、そうした店舗が自分のタイミングで募集されるとは限りません。

そこには、

タイミングと運

もあります。

そして、もし低日販店舗を選んでしまえば、オーナーになってからできることが本当に限られてしまう場合があります。

さらに最低賃金が上昇する時代には、その差が店舗の将来の寿命にも関わってくる可能性があります。

魚のいないところで、いくら餌をまいても釣れません。

だからこそ、

どこで釣るのか。

そして、

どの店でオーナーになるのか。

これが重要なのです。

オーナーになれる店を探すのではなく、経営を続けやすい店を選ぶ。

店ガチャは、オーナーになってからでは引き直せません。

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