結論から言います
オーナーが一番大切にすべきなのは、お客様だけではありません。
スタッフです。
私は10年以上コンビニを経営してきて、こう考えるようになりました。
スタッフは、お客様を大切にする。
オーナーは、スタッフを大切にする。
これが、私が考えるコンビニ経営の基本です。
オーナーが直接すべてのお客様を満足させることはできません。
しかし、
スタッフが気持ちよく働ける環境をつくることはできます。
そして、スタッフが安心して働ける店は、結果としてお客様にも選ばれる店になります。
私は10年以上の経営を通じて、それを実感してきました。
以前の私は「お客様第一」だと思っていました
コンビニオーナーになった頃の私は、
「お客様第一」
それが経営者の役割だと思っていました。
接客にも少し自信がありました。
できるだけ自分がお客様と会話をする。
常連のお客様の名前を覚える。
「オーナーさんがいるから、この店に来るよ。」
そんなお客様を増やすことが、良い経営だと思っていたのです。
もちろん、お客様を大切にすることは今でも重要だと思っています。
しかし、経営を続ける中で、私は少しずつ考え方を変えるようになりました。
お店の主役はオーナーではなくスタッフ
今、お客様と一番多く接しているのは誰でしょうか。
レジに立つスタッフです。
品出しをするスタッフです。
掃除をするスタッフです。
宅配便を受け付けるスタッフです。
つまり、お客様が日々接している「お店」は、
スタッフそのものです。
オーナーではありません。
オーナーがどれだけ良い考えを持っていても、現場のスタッフが疲れていたり、不満を抱えていたりすれば、それは自然とお客様にも伝わります。
逆に、
スタッフが安心して働いている。
仕事にやりがいを感じている。
お互いに助け合っている。
そんな職場では、その雰囲気がお客様にも伝わります。
だから私は、
お店を良くするためには、まずスタッフを大切にすることが必要だ
と考えるようになりました。
接客に正解は一つではない
私はスタッフに接客を教えるとき、細かなマニュアルを作って、自分と同じ接客を求めることはありません。
伝えることは、基本的には三つです。
迅速であること。
正確であること。
感じが良いこと。
この三つを守った上で、その先は一人ひとりの個性だと思っています。
事務的だけれど仕事が早いスタッフ。
お客様への気配りが自然にできるスタッフ。
言葉遣いは少しくだけていても、常連のお客様から親しまれているスタッフ。
接客の形は、人それぞれです。
私は、どれもコンビニでは正解になり得ると思っています。
コンビニは高級ホテルではありません。
お客様が短い時間で、気持ちよく買い物ができればいい。
だから私は、
自分の理想とする接客をスタッフに押し付けない
ようにしています。
基本を共有したら、その先は一人ひとりの個性を大切にする。
それが、スタッフを信頼するということだと思っています。
身だしなみも同じです
髪型や服装についても、私は同じように考えています。
もちろん、本部のルールや店舗として守るべき基準はあります。
経営者として、そこは守らなければなりません。
その上で私が一番大切だと思っているのは、
清潔感です。
髪型が少し違ってもいい。
服装の着こなしに多少の個性があってもいい。
大切なのは、お客様に不快感を与えないことです。
コンビニには学生もいます。
主婦の方もいます。
シニアスタッフもいます。
年齢も価値観も違う人たちが、一緒に働いています。
だからこそ、
最低限のルールを守りながら、一人ひとりの個性を尊重する。
私はそれが大切だと思っています。
スタッフを大切にすることは「甘やかすこと」ではない
ここは、オーナーとして非常に重要だと思っています。
スタッフを大切にすることと、
スタッフの言うことを何でも聞くことは違います。
仕事でミスをすれば、改善してもらう。
ルールを守らなければ、注意する。
お客様に迷惑をかければ、指導する。
必要なことは、きちんと伝えます。
ただし、
人格を否定することはしない。
私は、ここを大切にしています。
「仕事のミス」と「その人自身の価値」は別のものです。
スタッフを大切にするというのは、
何でも許すことではありません。
一人の人間として尊重しながら、必要なことはきちんと伝えること
だと思っています。
オーナーがスタッフを大切にすると、信用が生まれる
第23話・第24話で、私は「信用」について書きました。
信用は、一日で作れるものではありません。
毎日の小さな行動の積み重ねです。
これはスタッフとの関係でも同じです。
約束を守る。
話を聞く。
困ったときに相談に乗る。
頑張ったことを認める。
間違いがあれば一緒に考える。
そうしたことを積み重ねていくと、
「このオーナーなら相談できる」
「この店なら安心して働ける」
という気持ちが生まれてきます。
そして、その信用はスタッフ同士にも広がっていきます。
私は、
スタッフとの信用も、店の大切な資産
だと思っています。
私の採用基準
スタッフを採用するとき、私には一つ大切にしている基準があります。
「この人のためなら、自分が頭を下げられるか。」
もちろん、能力や経験も大切です。
しかし、それ以上に人柄を重視しています。
なぜなら、
採用した以上、
その人が安心して働ける環境をつくる責任がオーナーにはあるからです。
能力は、後から教えることができます。
経験も、働きながら身につけることができます。
しかし、
誠実さ。
責任感。
人への思いやり。
こうした部分は、簡単には身につきません。
だから私は、
「一緒に働きたいと思える人か」
を大切にしています。
一番の功労者は妻でした
以前の記事でも書きましたが、
私はスタッフとの関係を考える上で、妻から多くのことを学びました。
妻は、
お客様にも、
スタッフにも、
取引先にも、
誰に対しても態度を変えませんでした。
困っている人がいれば自然に声を掛ける。
新人スタッフにも優しく接する。
誰でも話しやすい空気を作る。
それを特別なこととしてではなく、当たり前のように続けていました。
私は数字ばかり見ていました。
売上はいくらか。
利益はいくらか。
人件費はいくらか。
しかし妻は、人を見ていました。
その姿を見ているうちに、
私自身も少しずつ変わっていきました。
スタッフを大切にすると、人が人を呼ぶ
開業した頃は、求人広告を出してもなかなか人が集まりませんでした。
しかし、時間が経つにつれて、
「この店で働きたい」
とお客様から声を掛けてもらえるようになりました。
さらに、
働いているスタッフが友人を紹介してくれるようになりました。
紹介された人が、また別の人を紹介してくれる。
開業から数年後には、
採用したスタッフの約9割がお客様やスタッフからの紹介
になっていました。
これは、単純に求人広告を出した結果ではありません。
「この店なら安心して働ける」
という評判が、少しずつ広がっていったのだと思います。
私はこの経験から、
スタッフを大切にすることが、採用にもつながる
と実感しました。
スタッフが安心すると、お客様にも伝わる
スタッフが安心して働ける。
↓
仕事に集中できる。
↓
お客様への対応が良くなる。
↓
お客様が気持ちよく買い物できる。
↓
お店の印象が良くなる。
↓
また来てもらえる。
私は、この循環が大切だと思っています。
だから、
「お客様を大切にするために、スタッフを大切にする」
という考え方は、決して矛盾していません。
むしろ、
スタッフを大切にすることが、お客様を大切にする近道
なのだと思います。
オーナーの本当の役割
オーナーが、すべての仕事を自分でやる必要はありません。
レジに立ち続けることでもありません。
品出しを続けることでもありません。
オーナーの本当の仕事は、
人が安心して働ける環境をつくること。
そして、
スタッフが自分の力を発揮できるようにすること。
私はそう考えています。
スタッフが頑張ってくれるから、
オーナーは次のことを考えられる。
店舗の改善を考えられる。
人材育成を考えられる。
資金繰りを考えられる。
将来の投資を考えられる。
つまり、
スタッフを大切にすることは、オーナー自身が経営者として仕事をするためにも必要なのです。
まとめ
コンビニ経営を始めた頃の私は、
「お客様第一」
という言葉をそのまま、
「オーナーがお客様を大切にすること」
だと考えていました。
しかし、10年以上経営してきて、考え方は変わりました。
スタッフは、お客様を大切にする。
オーナーは、スタッフを大切にする。
これが、私が考えるコンビニ経営の基本です。
スタッフを大切にすることは、甘やかすことではありません。
必要なことは伝える。
間違いは改善する。
その上で、
一人の人間として尊重する。
そして、安心して働ける環境をつくる。
それがオーナーの仕事だと思っています。
スタッフとの間に信用が生まれる。
その信用がスタッフ同士に広がる。
そして、
お客様にもその雰囲気が伝わる。
結果として、
スタッフを大切にすることが、お客様を大切にすることにつながる。
私は10年以上コンビニを経営してきて、そう実感しています。
そして、スタッフを大切にするだけではありません。
オーナーには、スタッフを守らなければならない場面もあります。
次回は、
「お客様よりスタッフを守ることを選んだ理由」
について、私自身の経験を書きたいと思います。
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