結論から言います
コンビニで本当に良い接客とは、丁寧な接客だけではありません。
私は10年以上コンビニを経営し、スタッフ教育を続けてきました。
その中でたどり着いた答えは、
「お客様の時間を大切にする接客」
です。
だから私は、スタッフにこう伝えています。
第一に、迅速。
第二に、正確。
第三に、感じが良い。
この順番です。
笑顔も大切です。
丁寧な言葉遣いも大切です。
しかし、
どれだけ笑顔でもレジで長時間待たせれば、お客様の時間を奪ってしまいます。
どれだけ丁寧でも会計を間違えれば、信用を失います。
コンビニは、一流ホテルとは違います。
お客様が求めているのは、
短い時間で、正確に、気持ちよく用事を済ませられること。
私は、それこそがコンビニの接客だと考えています。
コンビニが提供している最大の価値は「時間」
セブン‐イレブンには、
「近くて便利」
というコンセプトがあります。
私は、この言葉にコンビニの本質が詰まっていると思っています。
お客様が買いに来ているのは、商品だけではありません。
お弁当を買う。
飲み物を買う。
ATMを利用する。
公共料金を支払う。
宅配便を送る。
コピーをする。
チケットを発券する。
コンビニでは、さまざまな用事を短時間で済ませることができます。
忙しい毎日の中で、
「できるだけ早く用事を済ませたい」
というお客様も多いでしょう。
つまり、
お客様は商品だけではなく、「時間」という価値も買っている。
私はそう考えています。
だからコンビニは、
「時間を提供するサービス業」
でもあると思っています。
良い接客には順番がある
私はスタッフに、
「良い接客には順番がある」
と伝えています。
私が考える順番は、
第一に、迅速
お客様を必要以上に待たせない。
第二に、正確
会計を間違えない。
商品を正しくお渡しする。
必要な処理を正確に行う。
第三に、感じが良い
笑顔。
挨拶。
気持ちの良い言葉遣い。
困っているお客様への気配り。
です。
もちろん、感じの良い接客は大切です。
しかし、
迅速さと正確さという土台があってこそ、感じの良さが価値になる。
私はそう考えています。
「笑顔だけ」が良い接客ではない
新人スタッフに、
「良い接客とは何ですか?」
と聞くと、
「笑顔です。」
と答える人が多くいます。
もちろん、間違いではありません。
笑顔は、お客様を安心させます。
感じの良い接客は、お店の印象を良くします。
しかし、
笑顔だけでは良い接客とは言えません。
例えば、
レジで長時間待たされる。
会計を間違える。
商品の入れ忘れがある。
質問しても答えてもらえない。
こうした状態で、スタッフが笑顔だったとしても、お客様は満足しないでしょう。
だから私は、
「笑顔を作ること」より、「お客様の時間を無駄にしないこと」
を先に教えています。
一流ホテルとコンビニは違う
私は新人スタッフに、
「一流ホテルとコンビニでは、求められる接客が違う」
と話すことがあります。
ホテルでは、
丁寧なお辞儀。
ゆっくりとした案内。
細かな気配り。
特別感のあるサービス。
それ自体が価値になります。
しかし、コンビニでは状況が違います。
朝の通勤前。
仕事の休憩中。
学校へ向かう途中。
仕事帰り。
お客様が急いでいる場面も少なくありません。
そこでホテルのように時間をかけて接客すれば、
かえってお客様の時間を奪ってしまうことがあります。
だから私は、
「丁寧であればあるほど良い接客」というわけではない
と考えています。
そのお客様が求めているものを考えることが大切です。
敬語よりも大切なもの
もちろん、言葉遣いは大切です。
失礼な言葉遣いをしていいわけではありません。
しかし私は、
敬語を完璧に使うことだけを接客の目的にはしていません。
大切なのは、
お客様が気持ちよく買い物を終えられること。
例えば、
商品を探しているお客様に声をかける。
困っているお客様に案内する。
急いでいるお客様を必要以上に待たせない。
小さな子ども連れのお客様に配慮する。
こうした行動の方が、
お客様にとって価値がある場面もあります。
だから私は、
接客とは、
言葉遣いの上手さを競うことではなく、相手の立場を考えて行動すること
だと思っています。
接客はマニュアルだけではできない
私はスタッフ教育で、
細かなマニュアルを覚えることだけを重視していません。
もちろん、基本的なルールや業務手順は必要です。
しかし、
すべての状況をマニュアルに書くことはできません。
例えば、
レジで困っている高齢のお客様。
商品を探しているお客様。
日本語での対応に困っている外国人のお客様。
急いでいる会社員。
小さな子どもを連れたお客様。
それぞれ求めている対応が違います。
だから私は、
「この場合は、この言葉を使いなさい」
と教えるだけではなく、
「このお客様は、今何を求めていると思う?」
と考えてもらうようにしています。
接客は「価値観」から始まる
私がスタッフ教育で一番大切にしているのは、
接客技術よりも、
「お客様の時間を大切にする」
という価値観です。
この価値観を共有できれば、
マニュアルに書かれていない場面でも、
スタッフ自身が考えて行動できるようになります。
「今は急いでいるお客様だから、素早く対応しよう。」
「このお客様は商品を探しているから、声をかけよう。」
「困っているようだから、こちらから案内しよう。」
そうやって、
自分で考えるようになります。
私は、
良い接客とは、マニュアル通りに動くことではなく、お客様の立場に立って考えること
だと思っています。
スタッフに求めすぎないことも大切
第25話でも書きましたが、
私はスタッフに自分と同じ接客を求めていません。
人にはそれぞれ個性があります。
話すことが得意なスタッフ。
仕事がとても速いスタッフ。
気配りが得意なスタッフ。
常連のお客様と親しく話せるスタッフ。
それぞれに良さがあります。
だから、
基本を守った上で、その人らしい接客をしてもらう。
私はそれでいいと思っています。
接客の形を一つに決めてしまうより、
スタッフの個性を活かした方が、
自然な接客になることも多いからです。
接客は信用を積み重ねる仕事
第23話・第24話では、
「信用」について書きました。
接客も同じです。
一回の接客だけで、お店の信用が決まるわけではありません。
毎日、
迅速に。
正確に。
気持ちよく。
それを繰り返していく。
すると、
「あの店は早い。」
「あの店は安心できる。」
「あの店なら気持ちよく買い物できる。」
そんな印象が少しずつ積み上がっていきます。
そして、その積み重ねが、
お店の信用になります。
信用は一日では作れません。
だからこそ、
毎日の何気ない接客が大切なのです。
良い接客は「また来たい」につながる
お客様が、
「この店なら安心して買い物できる。」
と思ってくださる。
それが、
「また来よう。」
につながります。
そして、
また来てくださるお客様が増えれば、
お店の売上にもつながります。
私は、
接客そのものを売上のためにやるべきだとは思っていません。
しかし、
良い接客を積み重ねた結果として、売上がついてくる
という考え方は大切だと思っています。
まとめ
コンビニで本当に良い接客とは何か。
私は10年以上スタッフ教育を続けてきて、
一つの答えにたどり着きました。
お客様の時間を大切にすることです。
そのために、
第一に、迅速。
第二に、正確。
第三に、感じが良い。
この順番を大切にしています。
笑顔も大切です。
丁寧な言葉遣いも大切です。
しかし、
コンビニで一番大切なのは、
お客様が必要なことを、必要な時間で、気持ちよく終えられること。
私はそう考えています。
コンビニは一流ホテルではありません。
だからこそ、
一流ホテルとは違う価値を提供する必要があります。
それは、
「近くて便利」だけではなく、「時間を無駄にしない便利さ」
だと思っています。
そして、
その価値を提供するのは、
オーナーではありません。
毎日お客様と接している、
スタッフです。
だからこそ第25話で書いたように、
スタッフを大切にすることが、良い接客を生み出す土台になる。
そして、
スタッフが安心して働き、
自分で考えて接客できる店ほど、
お客様からの信用も積み上がっていく。
私はこれからも、
「お客様の時間を大切にする」
という考え方をスタッフと共有しながら、
また来たいと思っていただけるお店を作っていきたいと思っています。
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