コンビニ店長に任せた結果、人の問題が次々と起きた|2号店出店で学んだ経営判断【第20話】

現場で考えるのは「次の10年」のこと 体験談

こんにちは、コンビニ大家です。

前回お話ししたように、私は最後まで迷った末、二号店を彼に任せる決断をしました。

「人は責任を背負うことで成長することもある。」

その可能性を信じての決断でした。

しかし、その期待とは裏腹に、店長就任後の二号店では、人に関する問題が次々と起こります。

今回は、店長を任せた直後に起きた出来事と、経営者として私が学んだことをお話しします。


店長就任直後から見えた不安

最初に不安を感じたのは、スタッフとの面談でした。

新しい店長として、一人ひとりのスタッフと向き合う大切な時間です。

私も同席しましたが、彼はほとんど会話を広げることができませんでした。

質問が続かない。

相手の話を引き出せない。

場の空気も作れない。

私は、その姿を見て正直、想像以上だと感じました。

しかし、それでも私は、

「店長という責任が人を成長させる。」

そう信じていました。

ところが店舗運営が始まると、状況はさらに厳しくなります。

スタッフとの人間関係。

労務管理。

発注業務。

一号店では普通にできていたことが、新しい環境では思うようにいかなくなっていました。


私が求めていた店長像

私は以前から思っています。

店長に必要なのは、数字を見る力ではありません。

数字を実現する力です。

コンビニは24時間365日営業です。

店長一人で営業できる店舗など存在しません。

スタッフがいて初めて、お店は回ります。

だから店長という仕事は、人に支えられて初めて成り立つ仕事なのです。

私は極端な言い方をすれば、

数値管理だけなら中学生でもできる。

そう思っています。

売上や人件費、利益などの数字を見ること自体は難しくありません。

本当に難しいのは、その数字を現場で実現することです。

スタッフを採用し、

育成し、

辞めない職場をつくり、

一人ひとりの力を引き出す。

そして、

「この店長についていきたい。」

そう思ってもらえる信頼を築くこと。

その積み重ねが、結果として数字になります。

私は、それこそが店長の本当の仕事だと思っています。


「困ったら助けてもらえる」という甘え

最初のうちは、私も積極的にフォローしました。

しかし、その頃の彼には危機感があまり感じられませんでした。

どこかで、

「困ったらオーナーが助けてくれる。」

そう考えているように見えたのです。

私は彼に伝えました。

「それでは店長の意味がない。」

店長は、現場で作業をする人ではありません。

責任を負う人です。

私は店長を任せる前に、その責任について何度も説明していました。

管理監督者として働くこと。

残業や休日出勤についての考え方。

店舗で起きる問題は、まず店長自身が責任を持って向き合うこと。

もちろん、無理な働き方をさせるつもりはありません。

人件費予算は、週休二日、週四十時間程度で運営できるように組んでいました。

それでも、責任だけは店長が負う。

それが私の考えでした。


現実は想像以上に厳しかった

この頃、私は正式に社会保険労務士と顧問契約を結びました。

店舗数が増え、労務管理や雇用の問題は、自分一人では対応しきれないと感じていたからです。

それほど、人の問題は経営の中心課題になっていました。

しかし、社労士と契約したからといって、現場の問題がなくなるわけではありません。

オープンから半年もしないうちに、引き継いだスタッフの約半数が退職しました。

私は一号店では、店長として送り出した彼の穴を埋めなければなりません。

一方で二号店では、人間関係や労務問題への対応に追われます。

毎日、二つの店舗を行き来しながら、自分自身の仕事も進めなければなりませんでした。

人が辞めれば採用する。

スタッフの相談を受ける。

店長を支える。

そして経営者として判断を下す。

一つの問題を解決しても、翌日にはまた新しい問題が起きる。

そんな毎日でした。

振り返ると、この時期が私の人生で最も苦労した時期だったと思います。

資金繰りや借金に苦しんだ時期もありました。

しかし、お金の問題は努力次第で改善できます。

一方で、人の問題には正解がありません。

だからこそ、私は経営の難しさを痛感しました。


それでも救われたこと

そんな厳しい状況の中でも、一つだけ救われたことがありました。

それは、店長自身が自分の能力不足を認め始めたことです。

最初は、自分に足りないものが見えていませんでした。

しかし、現実の厳しさを経験する中で、自分一人では解決できない問題があることに気付き始めたのです。

以前とは違い、私の話にも真剣に耳を傾けるようになりました。

スタッフとの接し方。

店長としての考え方。

人との向き合い方。

一つひとつを吸収しようと努力していました。

毎日のようにスタッフへ頭を下げ、何とか信頼を取り戻そうと必死でした。

もちろん、努力したからといってすぐに変われるものではありません。

人との接し方や信頼関係の築き方は、一朝一夕で身に付くものではないからです。

それでも、「変わろう」と努力する姿勢は、私にとって唯一の救いでした。


私自身も評価されていた

しかし、現実は甘くありませんでした。

店長の人間性を否定する声は、やがて私自身にも向けられるようになります。

「こんな店長を任せるオーナーは、どんな人なんだ。」

そんな目で見られているように感じることもありました。

店長だけが評価されるわけではありません。

店長の評価は、そのままオーナーである私の評価にもつながります。

私は何度も自分に問いかけました。

「本当に、この人に任せて良かったのだろうか。」

その答えは、最後まで出ませんでした。


まとめ

今でも、あの判断が正しかったのかは分かりません。

しかし、一つだけ確信していることがあります。

経営で最も難しいのは、お金ではありません。

「人」です。

数字は分析できます。

利益も改善できます。

仕組みも作れます。

しかし、人の成長だけは、経営者が思いどおりにコントロールすることはできません。

だから私は今でも思っています。

店長に必要なのは、数字を見る力ではありません。

人を育て、信頼を築き、その結果として数字を実現する力です。

この経験は、私の経営者人生の中でも、最も大きな学びの一つになりました。

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