兵庫県尼崎市のコンビニで、売上金などを盗んだとして女性従業員が誤認逮捕された事件がありました。
報道によると、女性は約14時間30分拘束されました。
その後、盗まれたとされていた現金は、実際には本部へ送金されていたことが判明しました。
兵庫県は女性に60万円を支払う方針を決め、運営会社についても和解案が示されています。
誤認逮捕によって被害を受けた女性への補償は必要です。
しかし、現役コンビニオーナーとして、私はそれだけで終わる問題ではないと感じています。
私が最も気になったのは、
「なぜ、女性が逮捕される前に、送金という可能性に気づけなかったのか?」
ということです。
これは警察だけの問題ではありません。
店舗、本部、そして警察。
それぞれの段階で、もう一度確認する機会があったのではないでしょうか。
誤認逮捕に至るまでに何があったのか
報道によれば、店舗側は従業員が現金を盗んだとして警察に届け出ました。
女性は一貫して窃盗を否認していました。
防犯カメラには、女性が両替箱を開ける様子が映っていたとされています。
しかし、その後の確認によって、盗まれたとされていた現金は本部へ送金されていたことが判明しました。
つまり、
「現金がない」ことと「現金が盗まれた」ことは、同じではなかった
ということです。
ここに今回の事件を考えるうえで、大きなポイントがあると思います。
現金が不足したら、まず送金を確認する
コンビニでは、店舗の売上金を本部へ送金するという通常業務があります。
私自身の店舗運営で大きな現金不足が発生した場合、まず確認するのは、
「送金していないか?」
ということです。
帳簿を確認する。
現金の残高を確認する。
送金記録を確認する。
本部側の受領状況を確認する。
こうした通常の業務確認を行います。
もちろん、今回の店舗や本部が実際にどのような確認を行ったのかは、公開されている情報だけでは分かりません。
したがって、特定の担当者が確認を怠ったと断定することはできません。
それでも現役オーナーとして、
「なぜ逮捕前に送金の事実を確認できなかったのか?」
という疑問は残ります。
「現金がない」と「盗難」は違う
これはコンビニ経営において非常に重要なことです。
現金が合わない。
だからスタッフが盗んだ。
この二つの間には、確認すべきことがたくさんあります。
例えば、
- 本部への送金
- 集計ミス
- 記録ミス
- 保管場所の間違い
- レジや金庫の処理ミス
などです。
まず、
「本当に店舗から現金が消えたのか?」
を確認する。
そのうえで、それでも説明できなければ盗難の可能性を考える。
私は、この順番が大切だと思っています。
スタッフを疑うことは、経営者にとって非常に重い
コンビニ経営者にとって、スタッフを疑うという判断は決して軽いものではありません。
もし、
「あなたが盗んだのではないか」
と伝えてしまえば、仮に盗難ではなかったとしても、信頼関係が壊れる可能性があります。
スタッフからすれば、
「自分は信用されていなかった」
と感じるかもしれません。
一度壊れた信頼関係を、元に戻すことは簡単ではありません。
だからこそ、スタッフを疑うときほど、慎重な確認が必要だと思います。
私自身もスタッフの盗難を経験した
私自身の店舗でも、スタッフによる盗難を疑った経験があります。
しかし、すぐに本人を犯人扱いすることはしませんでした。
事件が発覚してから、証拠を集めるために1週間以上かけました。
防犯カメラなどを確認し、状況を一つずつ整理しました。
最終的には本人が罪を認め、弁償してもらったうえで解雇しました。
盗難を疑っていたからこそ、慎重に確認したのです。
もし間違っていたら、そのスタッフとの信頼関係を壊してしまいます。
私は、
「犯人を見つけること」と「間違った人を犯人にしないこと」
の両方が、経営者の責任だと考えています。
なぜ本部は逮捕前に確認できなかったのか
今回、特に気になっているのが本部の対応です。
店舗から、
「従業員が数十万円を盗んだ」
という重大な報告があった。
警察が事件として動いた。
その段階で、本部側でも、
「本当に店舗から現金が消えたのか?」
を確認することはできなかったのでしょうか。
報道によれば、その後、本部のエリアマネージャーが警察に連絡し、被害額を修正する必要がある可能性を伝えています。
その後の確認で、現金は盗まれたのではなく、本部へ送金されていたことが分かりました。
つまり、結果的には送金を確認することで誤りが判明したわけです。
だからこそ、
「なぜ、その確認を逮捕前にできなかったのか?」
という疑問が残ります。
もちろん、実際に誰がいつ何を確認したのかは、公開情報だけでは分かりません。
だから「本部の職務怠慢だった」と断定することはできません。
しかし、再発防止を考えるのであれば、ここは検証する必要があると思います。
店舗だけでなく、本部にも確認する役割がある
今回の事件では、店舗側の確認についても検証が必要です。
そして、兵庫県警も裏付け捜査が不十分だったことを認めています。
しかし、私は警察だけの問題として終わらせるべきではないと思います。
店舗で重大な金銭トラブルが発生したとき、
店舗 → 本部 → 警察
というそれぞれの段階で確認する機会があったのではないでしょうか。
特にフランチャイズでは、本部には店舗を支える役割があります。
だからこそ、
「店舗からそう報告されたから、その前提で対応する」
だけではなく、
「本当にその報告が正しいのかを確認する」
という役割も重要なのではないでしょうか。
コンビニにとって「人」は最も大切な経営資源
コンビニは、人材集約型のビジネスです。
商品を発注するのも人。
商品を売場に並べるのも人。
接客するのも人。
清掃するのも人。
店舗の安全を守るのも人。
そして、お客様との信頼関係を作るのも人です。
だから私は、
スタッフはコンビニにとって最も大切な経営資源の一つ
だと考えています。
一人のスタッフを失うことは、単に一人分の労働力を失うことではありません。
その人が持っている経験や技術、店舗への理解、他のスタッフとの関係まで失う可能性があります。
だからこそ、スタッフを犯罪者として扱う判断は、経営者にとって非常に重いものです。
人を大切にするとは、盗難を見逃すことではない
ここは誤解してはいけません。
スタッフを大切にするからといって、盗難を見逃すわけではありません。
盗難が事実なら、毅然と対応する必要があります。
私自身も、最終的には本人に罪を認めてもらい、弁償してもらったうえで解雇しました。
重要なのは、
「疑わしいから犯人」ではなく、「証拠を確認してから判断する」
ことです。
人を大切にするということは、疑わないことではありません。
間違った人を犯人にしないことも、人を大切にするということです。
「補償して終わり」ではなく、なぜ起きたのかを検証する
今回、女性への補償や和解が進むことは重要です。
しかし、それだけで終わらせてはいけないと思います。
必要なのは、
なぜこの誤認が起きたのか。
そして、
どの段階で確認すれば防ぐことができたのか。
を検証することです。
店舗側の確認は十分だったのか。
本部は何を確認したのか。
警察はどこまで裏付けを取ったのか。
それぞれの段階を振り返る必要があります。
犯人を探す前に、本当に事件なのかを確認する
コンビニ経営では、盗難が発生した場合、毅然と対応することが必要です。
しかし、その前に、
「本当に盗難なのか?」
を確認しなければなりません。
現金が合わない。
だからスタッフが盗んだ。
その判断を急いでしまえば、一人のスタッフの信用だけでなく、店舗全体の信頼関係まで壊してしまう可能性があります。
コンビニのような人材集約型のビジネスでは、
人こそが店舗を支える重要な経営資源です。
だからこそ、
「少しでも早く犯人を見つける」ことより、「間違った人を犯人にしない」ことが重要な場面があります。
今回の事件は、誤認逮捕という結果だけを見るのではなく、
「人を最も大切な経営資源と考えるなら、なぜこのような結果になったのか」
を、コンビニ経営そのものに問いかけているのではないでしょうか。
補償して終わりではなく、二度と同じことを起こさないために、店舗・本部・警察、それぞれの確認体制を見直す必要があると私は思います。
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