コンビニトイレで起きた脅迫事件|現役オーナーが考える「善意」と「ルール」の境界線【第117話】

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「無料で使えて当たり前」は、本当に当たり前なのか

「コンビニのトイレを貸してください。」

私たちコンビニオーナーは、毎日のようにこの言葉を耳にします。

日本では、コンビニのトイレを無料で利用できることが当たり前になっています。しかし、その「当たり前」は店舗の善意によって支えられています。

2026年7月、栃木県宇都宮市で、コンビニのトイレ利用を巡る脅迫事件が報じられました。

報道によると、コンビニオーナーらがトイレ利用者を脅迫した疑いで逮捕されたとされています。

事件の詳しい経緯や背景は現時点では明らかになっておらず、今後の捜査や司法判断を見守る必要があります。

しかし、報道内容が事実であるとすれば、現役コンビニオーナーとして、その対応は行き過ぎだったと言わざるを得ません。

店舗には利用ルールを設ける権利があります。しかし、利用者を脅迫するような行為は決して許されるものではありません。

一方で、この事件はコンビニトイレが抱える別の問題も私たちに投げかけています。

コンビニトイレは「善意」で成り立っている

私は10年以上コンビニを経営しています。

コンビニのトイレは、お店の利益を生む設備ではありません。

それでも、多くの店舗が地域へのサービスとして無料で開放しています。

急な腹痛で困っている人。

小さなお子さんを連れた家族。

妊婦さんや高齢者。

長距離ドライバー。

多くの人がコンビニのトイレに助けられています。

だからこそ、私はこの文化をできる限り守りたいと思っています。

無料だからこそ発生する問題

海外では、公衆トイレや駅、商業施設のトイレが有料となっている国も少なくありません。

一方、日本では無料で、しかも清潔なトイレを利用できることが珍しくありません。

これは世界に誇れる文化だと思います。

しかし、その清潔さは決して無料ではありません。

水道代、電気代、洗剤、トイレットペーパーなどの消耗品費。

さらに、便座やウォシュレットの故障、詰まり、配管修理など、多くの維持管理コストを店舗が負担しています。

利用者には見えない部分で、多くの店舗が時間と費用をかけて環境を維持しています。

防犯カメラを設置できない場所だからこそ

コンビニのトイレは、店舗の中でも最も管理が難しい場所の一つです。

トイレ内部は利用者のプライバシーを守るため、防犯カメラを設置することができません。

そのため、店舗は利用者の良識を信じるしかありません。

だからこそ、法律だけではなく、お互いを思いやる「暗黙のマナー」が必要なのだと思います。

私の店舗でも被害を経験しました

残念ながら、私の店舗でも迷惑行為を経験しています。

トイレットペーパーが持ち去られたことがあります。

また、商品をトイレへ持ち込み、そのまま万引きされるという被害もありました。

もちろん、そのような利用者はほんの一部です。

ほとんどのお客様はルールを守り、きれいに利用してくださっています。

しかし、ごく一部の迷惑行為によって、店舗は大きな負担を負うことになります。

その結果、「トイレ使用禁止」「お客様専用」「時間制限あり」といった対応を取る店舗が増えているのも現実です。

コンビニトイレで実際に報じられた事件

宇都宮市の事件以外にも、コンビニトイレを巡る事件は各地で報じられています。

  • 2026年7月 栃木県宇都宮市
     コンビニトイレ利用者への脅迫事件
  • 2022年 兵庫県神戸市
     コンビニトイレに小型カメラを設置し、利用者を盗撮したとして逮捕。
  • 2024年 山形県
     複数のコンビニトイレで100人以上を盗撮したとして逮捕・起訴。
  • 2024年 静岡県掛川市
     コンビニトイレで盗撮したとして警察官が書類送検。

このほかにも、薬物事件や公然わいせつ、万引き商品の隠匿、設備の破壊など、コンビニトイレが犯罪や迷惑行為の舞台となった事例が各地で報じられています。

こうした事件は決して多数ではありません。

しかし、ごく一部の悪質な利用者によって、多くの善良なお客様まで不便を強いられてしまうのです。

トイレを有料にする時代は来るのか

近年では、コンビニトイレを有料化すべきではないかという議論も聞かれるようになりました。

私は、現時点では無料で利用できる文化を守りたいと考えています。

ただ、その文化を維持するには、店舗だけの努力では限界があります。

「無料だから使って当たり前」ではなく、「善意で使わせてもらっている」という気持ちを持つことが、この文化を守る第一歩ではないでしょうか。

まとめ

今回の宇都宮市の事件は、報道内容が事実であれば、店舗側の対応は決して許されるものではありません。

しかし、この事件はコンビニトイレという「善意のサービス」が抱える現実も私たちに考えさせました。

店舗には冷静で適切な対応が求められます。

利用者にはルールとマナーが求められます。

その両方があって初めて、日本が世界に誇る「無料で清潔なトイレ文化」は守られていくのだと思います。

最後に、一つだけお願いがあります。

コンビニのトイレは「公共トイレ」ではありません。

一店舗一店舗の善意によって支えられているサービスです。

この素晴らしい文化を未来へ残すためにも、利用する私たち一人ひとりが、少しだけ相手の立場を考えて行動できれば、コンビニも利用者も気持ちよく過ごせる社会になるのではないでしょうか。


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