セブン‐イレブンの深夜ワンオペは儲かるのか?人件費とスタッフレス化を現役オーナーが検証【第195話】

セブン‐イレブンの深夜ワンオペと最低賃金上昇の課題を解説。時給1,500円から毎年5%上昇した場合の2033年までの賃金推移を試算し、すでにワンオペの店舗では追加の人員削減が難しいことや、スタッフレス化・省力化への投資の必要性を紹介するインフォグラフィック。 コンビニ経営

セブン‐イレブンが、加盟店の利益改善に向けてワンオペ(1人での店舗運営)を推進しています。

2026年4月10日の報道では、加盟店の利益が2年連続で減少するなか、人件費の抑制に向けた省人化の取り組みが紹介されました。セルフレジへの切り替えが可能な新型レジや、1人でも接客しやすいカウンターへの変更、安全確認のためのシステム導入などが進められるとされています。

人件費の上昇が続くなか、省人化はコンビニ経営にとって重要な課題です。

しかし、私は疑問を感じています。

深夜のワンオペは、今になって新しく推進するような取り組みなのでしょうか。

私は10年以上前、店舗をオープンした当初から、本部社員の勧めもあって深夜帯のワンオペを実施してきました。

現場では、限られた人員で店舗を運営する工夫が以前から求められてきたのです。

もちろん、ワンオペそのものを否定するつもりはありません。人件費を抑える効果があることも理解しています。

ただ、人を減らすだけで、本当に加盟店の利益は改善するのでしょうか。

今回は、深夜帯の売上と人件費をシミュレーションしながら、ワンオペの採算と限界、そしてセブン‐イレブン本部が取り組むべきスタッフレス化について考えます。

1. コンビニの深夜売上は日販の何%?0時〜5時の売上を検証

まず、深夜帯の売上を考えてみます。

今回は、店舗の日販を60万円、深夜0時から朝5時までの売上構成比を5〜8%と仮定します。

この割合は今回のシミュレーションに用いる想定値であり、全国の店舗に共通する実績値ではありません。

深夜帯の売上構成比0時〜5時の日販
5%30,000円
6%36,000円
7%42,000円
8%48,000円

深夜帯の売上は、1日3万〜4万8,000円という計算になります。

今回は、この範囲の中から日販4万円を基準に試算します。

日販4万円が30日続いた場合、深夜帯の月間売上は120万円です。

この120万円から、本部チャージや廃棄原価を差し引くと、オーナー側にはどれだけの金額が残るのでしょうか。

2. 深夜ワンオペの採算は?月間売上120万円から残る金額

次の条件でシミュレーションします。

  • 深夜帯の日販:4万円
  • 月間営業日数:30日
  • 粗利益率:30%
  • 本部チャージ率:60%
  • 廃棄原価率:3%
  • 廃棄原価の本部負担率:15%

いずれも今回の試算に用いる仮定です。実際の契約条件や店舗の精算方法によって結果は変わります。

項目計算月額
売上4万円×30日1,200,000円
粗利益120万円×30%360,000円
本部チャージ36万円×60%▲216,000円
チャージ控除後36万円−21万6,000円144,000円
廃棄原価120万円×3%▲36,000円
本部負担分3万6,000円×15%+5,400円
オーナー側の廃棄負担3万6,000円×85%▲30,600円
廃棄控除後の残額14万4,000円−3万600円113,400円

今回の試算では、深夜帯の売上120万円から、本部チャージとオーナー側の廃棄負担を差し引くと、月11万3,400円が残ります。

ただし、これは最終的な利益ではありません。水道光熱費や消耗品費などは差し引いておらず、店舗全体の費用配分も考慮していません。

また、本部チャージや廃棄負担の実際の計算方法は、契約・精算条件に合わせて確認する必要があります。

それでも、深夜帯の売上規模に対して、残る金額が限られていることは分かります。

3. 深夜ワンオペの人件費はいくら?時給1,500円で試算

では、深夜帯を1人で運営する場合の人件費を考えてみます。

時給1,500円、1日5時間、月30日営業と仮定します。

項目計算金額
1日あたりの人件費相当額1,500円×5時間7,500円
月間の人件費相当額7,500円×30日225,000円
廃棄控除後の残額前章の試算113,400円
残額と人件費相当額の差113,400円−225,000円▲111,600円

この比較では、深夜帯の廃棄控除後の残額11万3,400円に対して、5時間のワンオペを時給換算した人件費相当額は22万5,000円です。

残額は、人件費相当額を下回っています。

ただし、この差額がそのまま店舗の赤字を意味するわけではありません。オーナー自身が働く場合、時給換算した金額が実際に給与として支払われるとは限らず、店舗全体の費用や他の時間帯との業務分担も関係するためです。

この試算だけで、深夜営業そのものの採算を断定することはできません。

一方で、深夜帯の売上規模と、そこで必要になる人員や業務量のバランスを考える材料にはなります。

ワンオペによって人件費を抑えられたとしても、必要な仕事がなくなるわけではありません。

4. 最低賃金の上昇でコンビニ経営はどう変わる?ワンオペの限界

今後も最低賃金の上昇が続けば、店舗が負担する人件費は増えていきます。

時給が上がることは、働く人にとって重要なことです。一方で、加盟店の売上や粗利益が同じ割合で増えるとは限りません。

そのため、店舗は人件費の上昇分を吸収するために、シフトの見直しや業務の効率化を迫られます。

しかし、すでに深夜帯を1人で運営している店舗では、さらに人員を減らす余地が限られています。

ワンオペを導入すれば、一定の人件費を抑えられる可能性があります。それでも、レジ対応、納品、品出し、清掃、商品管理、トラブル対応など、必要な仕事そのものがなくなるわけではありません。

人員を減らすだけでは、業務量と人件費の両方を解決できないのです。

同じ仕事を少ない人数でこなす努力には限界があります。これから必要なのは、人が行う仕事そのものを減らす仕組みではないでしょうか。

5. 深夜ワンオペに必要な経験と教育、安全対策の課題

深夜帯を1人で運営するためには、単に勤務人数を1人にすればよいわけではありません。

レジや接客だけでなく、納品対応、品出し、清掃、商品管理、トラブル対応など、幅広い業務を1人で判断しながら進める必要があります。

複数の業務が重なったときには、何を優先し、何を後回しにするかという判断も求められます。

そのためには、店舗全体の仕事を理解し、状況に応じて動ける経験が必要です。

新人を採用しても、すぐに1人で店舗を任せられるわけではありません。教育する時間も必要ですし、十分に業務を習得するまでは、経験者によるフォローも欠かせません。

つまり、ワンオペの実現には、採用費だけでなく、教育や習熟にかかる時間と労力も関係します。

また、1人勤務では休憩時間の確保や、急な体調不良、事故・トラブル時の対応も重要です。休憩中も接客対応を求められる状態では、適切な休憩を確保できているとは限りません。

本部がワンオペを推進するのであれば、人数の削減だけを目標にするのではなく、安全性、業務量、休憩、緊急時の応援体制まで含めた運営モデルを示す必要があります。

6. セブン‐イレブン本部が投資すべきなのはスタッフレス化ではないか?

私は、ワンオペそのものを否定しているわけではありません。

10年以上前から深夜ワンオペを実施してきた立場だからこそ、限られた人員で店舗を運営する難しさを感じています。

だからこそ、本部に考えてほしいことがあります。

それは、単に少ない人数で運営する方法を広げるだけでなく、人が行う業務そのものを減らすための投資を、もっと進めるべきではないかということです。

例えば、次のような取り組みです。

  • セルフレジなどを活用し、会計業務の負担を減らす
  • 検品や品出しなどの作業時間を短縮する
  • 清掃や商品管理の手順を見直し、作業量を減らす
  • 深夜帯の来店状況や納品量に合わせた運営モデルをつくる
  • 1人勤務でも休憩や安全を確保できる仕組みを整える

大切なのは、設備を導入すること自体を目的にしないことです。

導入によって何分の作業時間を削減できたのか。人件費の上昇をどれだけ吸収できたのか。加盟店の利益や従業員の負担がどう変わったのか。

こうした効果を検証し、実際に加盟店の経営改善につながる仕組みをつくる必要があります。

本部が持つ資金、人材、技術、開発力を、加盟店の現場負担を減らすことに活用してほしいと思います。

7. まとめ|深夜ワンオペの推進だけでなく業務そのものを減らす

今回の試算では、深夜帯の日販4万円、月間売上120万円という条件で、本部チャージと廃棄負担を差し引いた残額は月11万3,400円となりました。

ここから水道光熱費や消耗品費などを考慮する必要があり、実際の店舗利益をそのまま示す数字ではありません。

それでも、深夜帯の売上規模と、そこで必要になる人員や業務量のバランスを考える材料にはなります。

私は10年以上前から深夜ワンオペを実施してきました。

だからこそ、今になってワンオペを推進するだけで、加盟店の経営課題が解決するとは考えていません。

最低賃金の上昇が続くなか、現場の努力だけで人件費の増加を吸収することには限界があります。

これから必要なのは、少ない人数で無理をして店舗を回すことではありません。

少ない人数でも、安全に、無理なく、利益を確保できる店舗運営の仕組みをつくることです。

そのために、本部にはワンオペの推進だけでなく、スタッフレス化や業務の省力化に本格的に投資してほしいと思います。

人を減らすことだけを考えるのではなく、人が行う仕事を減らすこと。

それが、加盟店の利益改善と、持続可能なコンビニ経営につながるのではないでしょうか。

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