こんにちは、コンビニ大家です。
2号店をオープンして間もなく、深刻な人手不足に陥りました。
店長も私も毎日現場に入り、休みらしい休みはありません。
「このままでは二人とも倒れてしまう。」
本気でそう感じていました。
今振り返ると、この頃は開業直後の「地獄の半年間」よりも苦しかったと思います。
開業当初は、自分一人が踏ん張れば何とかなる場面もありました。
しかし、2号店を出店してからは違います。
1号店の問題。
2号店の問題。
店長の育成。
スタッフの退職。
人手不足。
私一人が頑張るだけでは解決できない問題ばかりでした。
経営者として、自分だけではなく、二人の社員を支えながら会社全体を前に進めなければなりません。
精神的な負担は、開業当初以上だったと感じています。
採用には大きな責任がある
ただ、人を採用することには大きな迷いがありました。
大企業であれば、人事異動という選択肢があります。
店長が合わなければ配置転換もできます。
しかし、私の会社はまだ2店舗だけの小さな会社です。
社員も少なく、一人の採用や配置が会社全体に大きく影響します。
さらに、セブン‐イレブンの契約期間は15年間です。
一度店長を任せた以上、簡単に交代させることはできません。
だから私は、人を採用する時も、店長を任せる時も、人一倍慎重になっていました。
経営者の判断一つで、その人の人生だけでなく、会社の未来も大きく変わります。
だからこそ、採用には大きな責任があると考えていました。
思い浮かんだのは前職の後輩
そんな時、頭に浮かんだのが前職の後輩でした。
彼は2号店の店長の後輩でもあり、私とは釣り仲間でもありました。
退職後も時々連絡を取り合う関係で、人柄はよく知っていました。
店長は彼のことをあまり高く評価していませんでした。
仕事は決して器用ではありません。
要領が良いタイプでもありませんでした。
しかし、私は違うところを見ていました。
嘘をつかない。
不正をしない。
私は、その二つを何より信用していました。
そして、もう一つ理由がありました。
彼は店長の後輩です。
店長が今どれだけ苦しい状況に置かれているのか、その事情をきちんと話せば、途中で辞めることなく店長を支えてくれる。
私は、そう考えました。
能力は経験によって伸ばすことができます。
しかし、信用は簡単には築けません。
だから私は、能力よりも信用を選びました。
一人の人生を預かる覚悟
ただ、一つ大きな問題がありました。
彼は当時、上場企業に勤めていました。
将来を考えれば、私の会社より安定した環境です。
一方で、会社での評価は高くなく、労働環境の厳しい部署へ異動となり、心身ともに疲弊していることも知っていました。
だから私は、軽い気持ちで誘うことはできませんでした。
本人には、
「前職の給料は保証する。」
「残業は月20時間までにする。」
「休日は週休二日を基本とする。」
この三つを約束しました。
そして、もう一つ約束したことがありました。
それは、将来は店長を目指してもらうことです。
当時の彼は、店長を任せられるほどの経験はまだ十分ではありませんでした。
まずは社員として経験を積み、私と店長が責任を持って育てる。
その先で店長として会社を支える存在になってほしい。
そのことも本人に伝えたうえで採用を決めました。
当時の彼は、過酷な労働環境の中で働いていました。
前職の給料を保証し、残業時間や休日、そして将来の目標を明確に示したことは、転職を決断するうえで安心材料の一つになったのではないかと思います。
しかし、この判断は人件費の面では非常に重い決断でした。
コンビニは利益率が決して高い業種ではありません。
当時の会社の利益状況を考えれば、本来なら選ぶべきではない採用だったと思います。
それでも私は、お金をかけずに人の問題を先送りしても、何も解決しないと考えました。
このままでは店長が心身ともに限界を迎え、倒れてしまう。
店長が倒れれば、二号店だけでなく会社全体の経営にも大きな影響が出ます。
利益は後から取り戻すことができます。
しかし、一度壊れてしまった人や組織を立て直すことは簡単ではありません。
だから私は、利益よりも人を守ることを優先し、この採用を決断しました。
そして、私はこう伝えました。
「この選択は、将来の安定を手放す決断になるかもしれない。必ず家族やご両親にも相談し、本当によく考えたうえで返事をしてください。」
社員を採用するということは、人件費を増やすことではありません。
私は、一人の人生を預かることだと思っています。
その人だけではありません。
家族の生活や将来にも関わる大きな決断です。
だからこそ、私は安易に「うちへ来ないか」と声を掛けることはできませんでした。
店長にも伝えたこと
私は店長にも同じ話をしました。
「彼が来てくれるなら、その人の人生にも責任を持つ覚悟が必要だ。」
しかし返ってきた言葉は、
「そこまでの責任は持てません。」
でした。
私はその言葉を聞き、一度は採用を見送ることを伝えました。
「その覚悟がないのであれば、今回は採用しない。」
そう話すと、店長はしばらく考えた後、頭を下げました。
「お願いします。採用してください。」
その姿を見て、私はもう一度だけ店長を信じることにしました。
まとめ
責任は、言葉で教えられるものではありません。
実際に背負って初めて分かるものです。
この採用は、人手不足を解消するためだけではありませんでした。
店長に責任の重さを学んでほしい。
そして会社としても、もう一度「人を信じる」という選択をしたかったのです。
この決断が、その後の会社を大きく変えていくことになります。
あわせて読みたい記事





コメント