はじめに
こんにちは、コンビニ大家です。
オープンセールの3日間は、夢のような時間でした。
本部社員の皆さんや近隣店舗から応援に来てくださったスタッフの皆さんに支えられ、店舗は大きな混乱もなく営業することができました。
毎日多くのお客様にご来店いただき、3日間の平均日販は100万円を超えました。
もちろん、うれしい気持ちはありました。
しかし私は、この売上が自分の実力だとは思っていませんでした。
本部社員の皆さん。
応援スタッフの皆さん。
そしてオープンセールという特別な環境。
多くの方々の支えがあって生まれた数字だと分かっていたからです。
むしろ私が不安だったのは、
「応援スタッフがいなくなったあと、本当に自分たちだけで店を運営できるのだろうか。」
ということでした。
その不安は、すぐに現実となります。
店内は一気に静かになった
オープンセールが終わると、本部社員や応援スタッフは、それぞれの店舗へ戻っていきました。
お祭りのような賑わいはなくなり、店内はいつものコンビニへ戻ります。
お客様の数も、一気に落ち着きました。
ここからは、自分たちだけで店を運営していかなければなりません。
本当のコンビニ経営が始まった瞬間でした。
研修で教わったことが、まるでできない
研修では何度も教わった仕事も、実際の店舗では思うようにできませんでした。
レジ操作。
発注。
品出し。
公共料金の収納。
宅配便の受付。
一つひとつは研修で経験したはずなのに、実際のお客様を前にすると頭が真っ白になります。
さらに、お客様からは研修では聞いたことのない言葉や質問が次々と飛び交います。
分からないことがあれば調べ、本部へ電話をし、一つずつ確認しながら対応する毎日でした。
売上を気にする余裕などありません。
毎日の営業を大きなトラブルなく終えること。
そのことだけで精一杯だったのです。
毎日、売上を見るのが怖かった
オーナーになると、毎朝最初に確認するのは前日の売上です。
昨日はいくら売れたのか。
客数は何人だったのか。
最初は、
「今日はたまたまだろう。」
そう思っていました。
しかし、その数字は翌日も、その次の日も大きく変わりません。
売上を見るたびに、不安だけが大きくなっていきました。
朝から数字を見て落ち込み、その気持ちを引きずったまま一日が始まります。
夜になっても売上のことが頭から離れません。
翌朝になれば、また売上を確認する。
そんな毎日の繰り返しでした。
説明会で聞いた数字とは違った
説明会では、地区平均の日販は約65万円と聞いていました。
私は、
「2割くらい低くても50万円は売れるだろう。」
そう考えていました。
しかし、現実の日販は40万円前後。
最低の日は30万円台まで落ち込みました。
地区平均を大きく下回る数字です。
頭の中が真っ白になりました。
「何か計算を間違えたのではないか。」
本気でそう思いました。
親には反対されながら独立し、多額の借金をして始めたコンビニ経営です。
「本当にこの店はやっていけるのだろうか。」
その不安は日に日に大きくなっていきました。
売上は努力だけでは変えられない
私は、人・物・お金を管理することには自信がありました。
会社員時代に積み重ねてきた経験があるからです。
しかし、売上だけは違いました。
立地。
商圏。
認知度。
競合。
天候。
季節。
イベント。
売上には、自分ではコントロールできない要素が数多くあります。
開業して初めて、その現実を思い知りました。
一方で、利益は違います。
人件費。
廃棄。
品揃え。
発注精度。
こうした数字は、自分たちの努力で改善できます。
この経験が、後に私の
「コントロールできることに集中する。」
という経営の考え方につながっていきます。
地獄の半年間の始まり
当時の借金は約600万円。
家族もいます。
親には反対されながら始めたコンビニ経営でした。
失敗は許されません。
だから毎日、売上ばかり気にしていました。
しかし、何を改善すればいいのか分かりません。
売上が悪い。
原因も分からない。
改善方法も分からない。
ただ数字を見て落ち込むだけでした。
今振り返ると、この頃は経営をしていたというより、不安と戦っていた半年間だったように思います。
そして、私以上に大変だったのは妻でした。
慣れない仕事を覚えながら毎日店舗に立ち続け、疲労と精神的なプレッシャーから、見る見るうちに痩せていきました。
周囲が心配するほどでした。
当時の私は、自分も毎日必死で、その変化に十分気付いてあげることができませんでした。
今でも、そのことは妻に対して申し訳なく思っています。
一番大変だったのは夫婦の価値観を合わせること
10年以上経営してきた今だからこそ、はっきり言えることがあります。
私が最も苦労したのは、売上でも発注でもありませんでした。
妻との価値観を合わせることです。
私は利益や効率を優先して考えるタイプです。
一方、妻はお客様やスタッフの気持ちを何より大切にしていました。
どちらが正しいという話ではありません。
経営には利益も必要ですし、人への思いやりも欠かせません。
だから何度も話し合いました。
時には意見がぶつかることもありました。
それでも、その積み重ねがあったからこそ、少しずつ同じ方向を向いて経営できるようになったのだと思います。
私は今でも思っています。
コンビニ経営で最初に築かなければならないチームは、スタッフではありません。
夫婦です。
夫婦の価値観が揃わなければ、スタッフに同じ方向を示すことはできません。
この経験は、私が経営で最初に学んだ、そして今でも最も大切にしている教訓の一つです。
まとめ
オープンセールが終わり、私は初めて経営の現実を知りました。
コンビニ経営は、オープンすることがゴールではありません。
そこから毎日、数字と向き合い、判断を積み重ねていく仕事です。
そして、その土台となるのは、夫婦が同じ方向を向いて経営することでした。
当時の私は、何を改善すればいいのかも分からず、不安ばかり抱えていました。
それでも、この半年間の経験があったからこそ、数字を分析し、改善を繰り返す現在の経営スタイルにつながっています。
次回予告
売上が悪い。
でも、何が原因なのか分からない。
私はまず、
「現状を正しく知ること」
から始めました。
売上。
客数。
時間帯別の販売。
商品構成。
毎日数字を確認し、仮説を立て、改善する。
今では当たり前に続けているPDCAは、この頃の失敗から始まりました。
次回、第13話
「売上が悪い原因は何だったのか?|私が最初に始めたPDCA」
数字と向き合うようになったことで、私の経営は少しずつ変わり始めます。
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