加盟店利益は本当に増えたのか?現役セブンオーナーが2027年2月期第1四半期決算を読み解く【第102話】

SEMC Ver2.0による15年以上契約オーナーとセブン新契約制度の利益比較シミュレーション結果 セブン新制度・ニュース
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2027年2月期第1四半期決算でセブン&アイは「加盟店利益は前年同期を上回った」と発表しました。しかし、本当に加盟店経営は改善しているのでしょうか。現役セブン‐イレブンオーナーが、昨年度の加盟店利益やファミリーマート・ローソンとの比較、AI・経済圏への投資を踏まえながら決算を実務目線で分析します。

参考ニュース: 流通ニュース「セブン&アイ 決算/2月期は減収増益、国内コンビニ事業は1.2%増収」

前回の第101話では、セブン&アイがPayPay・ソフトバンクグループとの提携を通じて、「商品競争」から「経済圏」と「AI」を軸とした競争へ進もうとしていることについてお話ししました。

そして今回発表された2027年2月期第1四半期決算は、その未来への投資が少しずつ数字として表れ始めた決算だったように感じます。

しかし、現役オーナーとして私が本当に気になったのは、「加盟店利益は前年同期を上回った」という一言でした。

国内事業は売上・粗利とも改善

決算では、

  • 既存店売上高 前年同期比2.0%増
  • チェーン全店売上高 前年同期比2.4%増
  • 商品荒利率も改善

となりました。

カウンターフーズやオリジナル商品の販売が伸び、売上・粗利ともに改善しています。

一方で、店内調理設備や次世代店舗システムなどへの先行投資により、国内コンビニ事業の営業利益は前年同期比4.2%減となりました。

つまり、短期的な利益よりも、将来の競争力強化を優先した決算と言えるでしょう。

海外事業が全社利益を押し上げた

今回の大幅増益を支えた最大の要因は、海外事業です。

特に北米では、

  • ガソリン収益の増加
  • 円安効果

が追い風となり、営業利益は前年同期の約7.5倍となりました。

会社全体としては好決算ですが、その利益の多くは国内コンビニ事業ではなく、海外事業によるものです。

海外事業の営業利益は前年同期比約7.5倍となりました。

決算資料では、円安やフランチャイズ化、コスト改善なども要因として挙げられていますが、今回の利益を最も押し上げたのは、エネルギー価格の変動によって生まれたガソリンマージンの改善です。

もちろん商品改革も進められています。しかし、現時点では海外事業の利益を大きく押し上げるほどの具体的な成果はまだ限定的であり、私は今回の決算は石油市場という外部環境の追い風に支えられた側面が大きいと考えています。

昨年度はセブンだけが苦戦していた

今回の決算では、「加盟店利益は前年同期を上回った」と説明されました。

この言葉の意味を理解するには、昨年度の状況を振り返る必要があります。

セブン‐イレブンでは、2025年度(2026年2月期)の加盟店利益が前年を下回りました。

  • 上期:前年同期比 ▲4.2%
  • 下期:前年同期比 ▲0.7%

人件費や光熱費などのコスト上昇を売上増だけでは吸収しきれず、加盟店利益は2年連続で前年を下回る結果となりました。

一方、競合他社は対照的でした。

コンビニ加盟店利益の状況
セブン‐イレブン2年連続で前年を下回る
ファミリーマート5年連続で増加(平均加盟店利益は過去最高)
ローソン約10%増(7年連続で過去最高を更新)

つまり、2025年度は同じコンビニ業界でも加盟店利益の伸びに大きな差が生まれていました。

だからこそ、今回「加盟店利益は前年同期を上回った」という発表は、セブンにとって非常に重要な意味を持ちます。

ただし、現時点では具体的な改善額や店舗当たりの利益までは公表されていません。

この改善が一時的なものなのか、それとも継続的な利益体質への転換なのかは、今後の決算を見守る必要があります。

AIや経済圏だけでは利益は残らない

前回の記事では、セブンが目指す「経済圏」について書きました。

私もその方向性には期待しています。

しかし、どれだけAIが進化し、決済サービスや経済圏が拡大しても、それだけで加盟店の利益が増えるわけではありません。

店舗経営では、

  • 人件費
  • 廃棄
  • 品減り
  • 粗利益
  • チャージ
  • キャッシュフロー

まで含めて管理する必要があります。

売上が増えても、利益が残らなければ意味がありません。

セブンはAIや経済圏への投資を進めています。

私もその方向性には大きな期待をしています。

しかし、どれだけテクノロジーが進化しても、加盟店の利益が安定しなければ、その未来は長続きしません。

皆さんは今回の決算をどう受け止めましたか。

私は現役オーナーとして、これからも数字を通して、その変化を見続けていきたいと思います。

私がSEMCを開発している理由

私は利益管理システム「SEMC」を開発しています。

その理由は、売上を見るためではありません。

必要利益から逆算して年間予算を作成し、人件費・廃棄・チャージ・利益を毎月管理するためです。

今回の決算を見て改めて感じたのは、本部は未来への投資を進めていますが、加盟店もまた「数字で利益を管理する力」がこれまで以上に求められる時代になったということです。

まとめ

今回の決算は、セブン&アイが未来への投資を進めながら、加盟店利益にも改善の兆しが見え始めた決算でした。

一方で、全社の大幅増益は海外事業やガソリン収益の影響が大きく、国内加盟店の収益力が完全に回復したと判断するには、まだ材料が足りません。

第101話でお伝えしたように、これからのコンビニ業界は「経済圏」と「AI」が競争の中心になっていくでしょう。

しかし、現場で店舗を経営する私が最も大切だと考えているのは、利益を数字で管理し、安定して利益を残し続けることです。

技術が進化しても、その本質はこれからも変わらないと私は考えています。


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