こんにちは、コンビニ大家です。
10年以上コンビニを経営していると、本部から新規出店の提案を受けることがあります。
私もこれまで何度か声を掛けていただきました。
提案に来るのは、リクルート担当者と地区責任者です。
紹介されるのは、新店だけではありません。
直営店や、オーナーが退店した既存店など、さまざまな候補です。
私が提案を受けた店舗の多くは、以前はCタイプ契約だった店舗をAタイプ契約として募集していた店舗でした。
既存店なので、過去の売上実績や平均日販も確認できます。
私が見た店舗は、おおむね平均日販55万円前後でした。
そして、その資料と一緒に提示されるのが本部の収支シミュレーションです。
私はこの資料を否定するつもりはありません。
本部が持つ膨大なデータをもとに作られた、非常に参考になる資料です。
しかし、私は一度もその数字だけで出店を判断したことはありません。
なぜなら、
シミュレーションは前提条件によって結果が大きく変わるからです。
私が最初に確認するのは利益ではなく前提条件
多くの人は、一番下の利益を見ます。
しかし私は違います。
最初に確認するのは、
「どのような前提条件で利益を計算しているのか」
です。
私が見たシミュレーションでは、
・24時間営業減額適用
・複数店減額適用
・加盟5年以上優遇適用
という、比較的有利な条件で計算されていました。
さらに、
店舗運営はPA(パート・アルバイト)のみでシフトを組む前提でした。
シフトも余裕を持った配置ではなく、
必要最低限の人数で利益を確保する前提です。
つまり、
かなり利益が出やすい条件になっています。
その結果、
Cタイプでは月約12万円。
Aタイプでは月約40万円。
という利益になっていました。
数字だけを見ると、
「Aタイプは利益が大きく残る。」
そう感じるかもしれません。
しかし私は、
ここから先が本当の経営判断だと思っています。
店長年収300万円という前提に違和感を覚えた
私が最も気になったのは、
店長の待遇でした。
シミュレーションでは、
店長年収約300万円という前提でした。
会社負担の社会保険料を含めても、
年間約345万円。
月額約28万7,500円程度です。
一方、
PAの平均時給を1,100円として171時間働くと、
給与は約18万8,000円です。
差額は、
約10万円しかありません。
私はこの数字を見た時、
強い違和感を覚えました。
店長の仕事はアルバイトとは全く違う
現在のコンビニ店長は、
単なる販売員ではありません。
スタッフ採用。
教育。
シフト作成。
売上管理。
利益管理。
発注。
労務管理。
クレーム対応。
本部との打ち合わせ。
店舗全体のマネジメント。
店舗経営の中心となる存在です。
責任も、
求められる能力も、
アルバイトとは比較になりません。
私は、
この仕事の難易度を考えると、店長には年収500万円以上は必要だと考えています。
優秀な人材ほど、
他社でも活躍できます。
待遇が責任に見合わなければ、
長く働いてもらうことは難しくなります。
人件費は単なるコストではありません。
会社の未来を支える投資でもあります。
私がシミュレーションで不足していると感じたこと
私が確認したかったのは、
利益ではありません。
その利益が、
本当に15年間続くのか。
ということでした。
例えば、
・店長年収300万円という前提
・最低賃金上昇を十分に反映していないこと
・会社負担の社会保険料
・有給休暇取得によるコスト
・労働保険料
・将来の待遇改善
こうした長期的なコストまで考えると、
利益は大きく変わります。
私は、
「今利益が出るか。」
ではなく、
「10年後、15年後も利益が残るのか。」
という視点で数字を見ていました。
Aタイプは利益だけでは判断できない
もちろん、
私はAタイプ契約を否定しているわけではありません。
利益が大きく残る店舗もあります。
しかし、
Aタイプは利益だけ見て判断する契約ではありません。
例えば、
加盟時には、
加盟金など約250万円。
さらに店舗在庫約500万円。
合計で、
約750万〜800万円
程度の資金が必要になります。
さらに既存店では、
建物や設備の老朽化も考えなければなりません。
建物更新。
設備更新。
大規模修繕。
建て替え。
こうした費用は、
将来必ず経営へ影響します。
さらに家賃だけでも、
月50万〜60万円程度かかるケースもあります。
つまり、
月40万円利益が残るように見えても、
将来の固定費や設備投資まで考えると、
利益の見え方は大きく変わります。
私は必ず自分でシミュレーションを作る
だから私は、
本部のシミュレーションとは別に、
必ず自分でもシミュレーションを作ります。
しかも、
楽観的には計算しません。
売上は低め。
最低賃金は毎年上昇。
店長年収は500万円以上。
社会保険料も反映。
修繕費も多め。
将来の設備更新も考慮。
厳しい条件で利益が残るか。
そこを確認します。
経営とは、
良い時に利益が出ることではありません。
悪い時でも会社を続けられることです。
私は、
その確認をすることが経営者の仕事だと思っています。
本部とオーナーは立場が違う
私は本部を批判したいわけではありません。
本部には本部の役割があります。
加盟店を増やし、
ブランド全体を成長させること。
一方、
オーナーにはオーナーの役割があります。
利益を守ること。
社員を守ること。
家族を守ること。
契約書へサインするのはオーナーです。
15年間その契約と向き合うのもオーナーです。
だから、
最後の判断は、
自分自身で行わなければなりません。
まとめ
現在の加盟契約は15年間です。
15年という時間の中で、
最低賃金。
社会保険料。
物価。
人手不足。
設備の老朽化。
経営環境は必ず変わります。
未来は誰にも分かりません。
だからこそ、
私は未来を予測することより、
変化に耐えられる利益体質を最初から作ることの方が重要だと考えています。
利益に余裕があれば、
人材へ投資できます。
待遇改善もできます。
設備更新もできます。
新しい挑戦もできます。
しかし、
利益に余裕がなければ、
経営は守りに入るしかありません。
選択肢がなくなります。
私は本部のシミュレーションを否定しているわけではありません。
本部が持つデータや経験は、出店を判断する上で非常に重要な情報です。
しかし、
本部のシミュレーションは、あくまでも参考資料です。
最終的な経営判断をするのはオーナー自身です。
だから私は、
これから出店を考えている方へ一つだけ伝えたいことがあります。
必ず、自分自身でもシミュレーションを作ってください。
売上が計画より低かったらどうなるのか。
最低賃金が毎年上がったらどうなるのか。
店長へ十分な待遇を支払っても利益は残るのか。
15年間、本当に経営を続けられるのか。
そこまで確認したうえで、
「それでも出店したい。」
そう思えた時が、本当の出店のタイミングだと私は考えています。
経営とは、未来を当てることではありません。
未来が予想どおりにいかなくても、生き残れる会社をつくることです。
それが、10年以上コンビニ経営を続けてきた私がたどり着いた結論です。
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