考えているだけでは何も変わらない
前回の記事では、私がコンビニ経営で得た利益をもとに、不動産賃貸業へ挑戦しようと決意した理由を書きました。
しかし、「不動産賃貸業を始めよう」と決意したからといって、すぐに物件を購入できたわけではありませんでした。
当時の私は、本やインターネットで不動産について勉強を続けていました。
利回りやキャッシュフロー、融資の仕組み、税金など、一通りの知識は身についたつもりでした。
それでも、「本当に購入しても大丈夫なのか」「どんな物件を選べばいいのか」という不安は消えませんでした。
そんなとき、自分に言い聞かせたのが、
「考えているだけでは何も変わらない。まずは行動しよう。」
という言葉です。
本やインターネットで勉強することは大切です。
しかし、それだけでは相場観は身につきませんし、実際の不動産市場や融資の現場を知ることもできません。
そこで私は、インターネットで比較的評判の良かった大手不動産会社へ連絡し、中古の収益物件について相談しました。
当時の私は、新築物件を購入するつもりはなく、まずは中古物件を見ながら不動産市場を知りたいと考えていたからです。
ところが、相談した会社は新築投資用マンションや新築木造アパートを中心に取り扱っており、紹介された物件の多くは新築のサブリース物件でした。
当時もインターネットでは、「サブリースはやめた方がいい」「初心者が新築投資に手を出すのは危険」といった意見を数多く目にしていました。
もちろん、不安はありました。
しかし、ネット上の情報だけで結論を出すのではなく、自分で話を聞き、自分で判断しようと考えました。
結果として、この一歩が、私の不動産賃貸業のスタートになりました。
知識だけでは相場観は身につかなかった
勉強を続けたことで、利回りや融資、キャッシュフローについては理解できるようになっていました。
しかし、一番足りなかったのは**「相場観」**でした。
数字や利回りは調べれば分かります。
しかし、「この価格は適正なのか」「この立地なら長く入居者に選ばれるのか」という判断は、実際に物件を見て比較しなければ身につきません。
建物の状態や設備、周辺環境、管理状況なども含め、総合的に判断する力が必要でした。
その感覚は、本やインターネットだけでは身につきません。
実際に物件を見て、担当者の話を聞き、自分で考える。
その積み重ねによって、少しずつ相場観が養われていくのだと感じました。
最初に購入した物件
数多くの話を聞き、検討を重ねた結果、私が最初に購入したのは、大手不動産会社が販売していた新築のサブリース物件でした。
私が重視したのは、高い利回りではありません。
「大きく利益を出すこと」より、「大きく失敗しないこと」。
それが当時の判断基準でした。
当時の私は、不動産賃貸業はまったくの初心者でした。
入居者募集や家賃滞納への対応、退去手続き、建物管理など、自分で賃貸管理を行う自信もありませんでした。
そのため、最初の一棟は賃貸管理まで任せられるサブリースという仕組みの方が、自分には合っていると考えました。
ただし、サブリースだから購入を決めたわけではありません。
紹介された物件は、新幹線が停車する主要駅から徒歩圏内という立地で、部屋も周辺の競合物件より広く、長期的な賃貸需要が期待できると判断しました。
また、販売会社は全国の主要立地を中心に物件を展開し、独自の入居者募集体制も整えていました。
こうした点を総合的に考え、この物件なら長く安定した経営ができる可能性が高いと判断しました。
もちろん、その場で契約したわけではありません。
物件資料は必ず自宅へ持ち帰り、何度も収支をシミュレーションしました。
家賃が見直された場合はどうなるのか。
修繕費が発生したら対応できるのか。
返済を続けながら経営していけるのか。
さまざまなケースを想定し、一つひとつ確認しました。
そして、収支が悪化した場合でもコンビニ経営の利益で対応できると判断できたため、契約を決断しました。
私が基準にしたのは、
「失敗しない物件」を探すことではなく、「万が一のことが起きても対応できる計画になっているか」。
それが、最初の一棟を購入する決め手になりました。
リスクをどう考えたのか
もちろん、サブリースだから安心だと考えていたわけではありません。
当時もインターネットでこの会社について調べると、サブリースに関する否定的な情報を数多く目にしました。
しかし、ネット上の情報だけで判断するのではなく、自分自身で納得できるかどうかを大切にしました。
私が一番怖いと思っていたのは、一部屋だけ空室になることではありません。
一番心配していたのは、全室が空室となり、家賃収入がまったく入らなくなることでした。
だからこそ、「この物件は長く入居者に選ばれるだろうか」という視点で物件を見ていました。
紹介された物件は、新幹線が停車する主要駅から徒歩圏内という立地で、部屋も周辺の競合物件より広く、長期的な賃貸需要が期待できると判断しました。
また、販売会社は当時上場企業で、全国の主要な立地を中心に物件を展開し、独自の入居者募集体制も整えていました。
私は、サブリース契約である以上、将来的に家賃が見直される可能性はあると考えていました。
それでも、物件の競争力や契約内容などを総合的に判断すると、仮に家賃が引き下げられたとしても、その影響は一定の範囲に収まる可能性が高いと考えました。
もちろん、それは保証ではなく、あくまでも当時の私自身の判断です。
私が見ていたのは、
「リスクがあるかどうか」ではなく、「そのリスクが現実になっても対応できるかどうか」。
それが、購入を決断する際の一番大切な判断基準でした。
銀行融資で感じたこと
融資については、購入した大手不動産会社から提携銀行を紹介していただき、比較的スムーズに話が進みました。
銀行には直近3期分の確定申告書を提出しました。
当時のコンビニ経営は毎年増収・増益を続け、金融資産もある程度保有していました。
もちろん、融資が承認された理由は一つではありません。
物件の収益性や返済能力などを総合的に判断した結果だと思います。
ただ、本業で利益を積み重ねてきたことは、銀行からの信用につながる一つの要素になっていたと感じています。
この経験を通じて、本業で安定して利益を生み出すことも、不動産賃貸業を始めるための大切な土台なのだと実感しました。
現在どうなっているのか
現在、この最初の一棟は安定したキャッシュフローを生み続けています。
また、現地の不動産会社からは、購入時より高い価格で売却してほしいという相談をいただいたことも何度かありました。
そのため、この物件は保有を続けても安定した収益が期待でき、売却しても利益が見込める可能性があります。
私にとって、この物件は**「保有してもメリットがあり、売却してもメリットがある物件」**になりました。
一方で、反省していることもあります。
それは、最初の一棟をサブリース物件にしたことで、不動産賃貸業の経験値を十分に積めなかったことです。
入居者募集や家賃設定、空室対策、管理会社との打ち合わせなど、多くを任せていたため、オーナーとして実務を経験する機会は限られていました。
もし最初から自主管理や管理委託という形で運営していれば、賃貸経営の知識や判断力は、もっと早く身についていたかもしれません。
しかし、当時の私は賃貸管理の経験がなく、自分で管理する自信もありませんでした。
だからこそ、リスクを抑えながら不動産賃貸業へ踏み出せたという意味では、当時の自分にとって最善の選択だったと思っています。
この一棟は、成功も失敗も含めて、私に不動産賃貸業の基礎を教えてくれた大切な物件です。
私が伝えたいこと
私が伝えたいのは、「サブリースだから安心」ということでも、「サブリースは良くない」ということでもありません。
大切なのは、その物件の競争力やリスクを自分なりに分析し、その結果に納得したうえで判断することだと思っています。
初心者だった私は、自分で賃貸管理を行う自信がありませんでした。
だから最初はサブリースという選択をしました。
その一方で、サブリースだったからこそ経験できなかったこともありました。
どちらも、実際に経験したからこそ分かったことです。
利益だけを見るのではなく、自分がどのような経験を積み、どのような経営者になりたいのかという視点も大切です。
成功も失敗も含めて、その経験が次の判断につながります。
私にとって最初の一棟は、そのことを教えてくれた忘れることのできない一棟になりました。
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